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差別事件

部落差別などもうないのでは、という声があります。とんでもありません。 部落差別の実態を明らかにし、差別を支えるすべての障壁を打ち壊していくことこそ、部落解放運動の使命です。 目の前に立ち現れた差別事件を、一つひとつしっかりと取り上げて闘っています。私たちが取り組んでいる主な差別事件は、以下の通りです。

■インターネット差別書き込み事件

 インターネットを使った差別事件は、ますます悪質かつ狡猾化しています。2003年に、尼崎市の解放同盟員である個人を名ざしで誹謗中傷し、脅すことを目的としてホームページを立ち上げるという事件が発生しました。実行者が特定できないように、国外のプロバイダを使うという本事件の手口は、インターネットの利便性を悪用したものです。
私たちは、①実行者の特定と厳正な対処、②侵害された被害者の権利回復、③人権侵害情報に対する即応体制等について、行政や関係機関と話し合いを重ねています。


■興信所と行政書士の結託による戸籍謄本等の不正取得事件

 2004年12月に、県内の住民から「興信所と行政書士が結託して、大量の戸籍謄本や住民票の控えが不正に取得されている。それを部落地名総鑑と照合して身元調査しているようだ」との告発がありました。司法書士や行政書士等は、職務上請求書という用紙を行政に提出することによって、戸籍謄本等を簡単に入手することができます。これは、このような職に携わる人が不正を行なわない、正当な職務にしか使用しないという前提に立って与えられた特別な権限です。それを悪用した事件が発生したのです。差別を商いにする行為であり、許すことはできません。
 私たちは、兵庫県行政や兵庫県行政書士会に対して事実確認作業を要請しました。また、独自に、興信所に対する確認作業を行なう中で、真相が明らかになってきました。神戸・宝塚・大阪の行政書士が不正に請求した件数は、4000件を超すと見られています。
 日本行政書士会連合会は、従来の職務上請求書の点検作業が不十分であったとして、チェック体制を強化し、2005年8月からは、新しい様式に統一した用紙でないと申請できないこととしました。今回の不正に関与した神戸の行政書士は4月に廃業し、過料処分を受けました。宝塚の行政書士は、2005年6月に県から「業務禁止」の処分を受けたにもかかわらず、7月にこの行政書士が職印を押した職務上請求書が兵庫・大阪・京都で不正に使用されました。これは、行政書士法違反に当たるだけでなく、詐欺罪・私文書偽造罪に当たるとして、県は関係者7名を刑事告訴しました。
 このように、実態が次々と明らかになり、不正を行なったものに対して厳正な対処が講じられてきたこと、不正を防止するためのシステムが構築されてきたことは、大きな成果です。
 しかし、不正に取得した戸籍謄本等を興信所が何に使ったのか、あるいは部落地名総鑑の使用実態はどうなっているのか、まだまだ解明しなければならないことがあります。今後の課題として、①興信所による身元調査の実態解明、②部落地名総鑑に関わる真相解明、③不正に戸籍謄本等を取得された被害者の救済、④差別身元調査に対する法的規制、⑤職務上請求書の使用を許された8業種に対する人権啓発、⑥戸籍等を扱う行政における人権研修と不正防止策の徹底、⑦戸籍制度の撤廃に向けた運動、等があります。
 私たちは、差別を商う者に対する糾弾闘争を展開します。


■動画サイトへの動画掲載

 2012年1月、部落解放同盟兵庫県連合会事務局に市民からの情報提供を受け、確認したところ、グーグル社が提供する動画投稿サイト「You Tube」で、阪神間の被差別部落の様子を録画した動画がアップされていました。
 それは、一般的に見られる不良住宅・不法駐車や、ゴミ捨て場、在日外国人の団体事務所を強調したもので、徒歩または自転車で撮影し、いかにも被差別部落が不法な状況にあるかのように意図的に撮影し、さらには動画のBGMに映画「荒野のウエスタン」を流し、効果音までも活用しながら、被差別部落が危険なところのように強調した動画です。
 県連、地元組織の削除要請により一部は削除されましたが、現在もこういった動画はいくつも投稿されています。こうしたインターネットによる差別書き込みや、差別的動画に対し兵庫県人権推進課、神戸法務局に対し削除要請をおこなっています。県連では兵庫県人権推進課を通じて神戸地方法務局に削除要請をおこないました。また、こうした差別書き込みの早期発見と抑止のため、尼崎市や伊丹市で実施しているモニタリング制度の活用を県下すべての市町で取り組んで行くことも重要です。


■結婚に関わる被差別部落問い合わせ

 2013年に実施された「兵庫県人権意識調査」においても、結婚相手がいわゆる被差別部落の人であったときの行動で「自分の意思を貫いて結婚する(計)」は47.8%であり、「わからない」とした人も31%となっています。
 また、親にあっては子どもの結婚相手がいわゆる被差別部落の人の場合の行動をみると、「子どもの意思を尊重する」とした人が44.7%で最も高く、約4割の人が賛成している一方で、約3 割弱が「親として反対するが、子どもの意志が強ければしかたない」や「家族や親戚の反対があれば結婚を認めない」、「絶対に認めない」などの否定的な回答をしています。交際相手が被差別部落出身者であれば、結婚を懸念する傾向が未だに根強く残っている社会状況があります。
 結婚に対する被差別部落問い合わせは、被差別部落への偏見や忌避意識が招く事象です。その意識は、社会構造に部落差別が脈々と生き続けている証であり、その意識がまたも部落差別を温存助長していきます。

①A市 問い合わせ事件
2012年10月、県連事務所に東京在住の60歳ぐらい女性(匿名)から1本の電話がありました。内容は「娘の交際相手がA市の○○在住で仕事が葬儀屋だと聞き心配している。役所等いろんなところに連絡したが、どこの誰に聞いても教えてくれない。困っている。A市○○は部落なのか?」というものでした。
 県連事務局員の「これは明らかに差別身元調査であり、お教えすることはできない。なぜ、そこまでして知りたいのか?」との問いに、嗚咽しながら「30年ほど前にB市の皮革業の人と恋愛したが家族の反対で結婚できなかった。同じような辛い思いを娘にはさせたくない」と語りました。この女性とは「辛い思いをしたならば、なぜそういった発想になるのか?結婚相手の人が同和地区であると何か不利益があるのか。身元調べは、そもそも間違っている。結婚は憲法でも明記されているように双方の合意によるものです。交際相手や結婚相手をその人の人柄でなく、生まれた所で判断しようとすること自体、娘さんや相手の人を不幸にする考え方です」という問答が続きました。
 このように部落差別は「される」側だけでなく「する」側も不幸にする、一人ひとりを生きづらくさせます。


■差別落書き事件

 差別落書きも県内で数多く発見されています。その中には特定の個人や団体を誹謗中傷する物も報告されています。「たかが落書き…」と考える人も多いだろうが、差別落書きは見る物を不快にさせるだけでなく、身体への危険を感じさせ、恐怖を与えます。ナチス時代のドイツで「ユダヤ人を皆殺しにしろ!」などの扇動的な落書きが増加したという歴史を思い出すとき、近年、大きな社会問題となったヘイトスピーチと同様に、差別落書きが社会への不満やうっ憤を晴らすための行為であり、決して許されるものではないことをあらためて考えさせられます。

①JR車両内での落書き
 場所:JR車両のトイレ内
 内容:「○○ブラクノクセニ エラソウニユウナ シネ ボケ」

②電柱への差別落書き
 場所:神戸市東灘区
 内容:「韓国人死ね」

③家電量販店での差別落書き
 場所:神戸市内の大手家電量販店のトイレ内
 内容:「エタ・ヒニン・神戸○○」


■『兵庫におけるあいつぐ差別事件』

ひょうごにおけるあいつぐ差別事件

 今日、インターネットを利用した差別書き込み、身元調査を目的とした戸籍謄本等不正取得事件や土地差別調査事件といった極めて悪質な差別事件が起きています。長引く経済不況や政治不信、そして格差社会等混沌とした社会状況が国民の人権意識を希薄化させ、差別事件を続発させていると言えるのではないでしょうか?
 私たちは県内で起きた差別事件を「兵庫におけるあいつぐ差別事件」という冊子にまとめて紹介しています。
 今後も県内各地域での人権啓発活動や学習会の教材として本書を活用していただきたいと考えています。お問い合わせは県連事務局まで。