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被差別部落の原点は、日本の封建社会において、政治、社会等の諸要因によって形成されてきた身分制度のもとで、他の身分と分離させられ、衣・職・住等あらゆる生活面で厳しい状態におかれてきた地域です。これに端を発しながら、その後の社会体制の影響を受け、今日まで差別的状態が続いている地域が被差別部落です。このように、歴史的、社会的に形成されてきた被差別部落に生まれ、育ったという理由だけで、人間として当然受けるべき権利を長い間奪われ続けてきた問題が、部落問題といわれるものです。
1965年に出された内閣同和対策審議会答申では「同和問題とは、人類普遍の原理である人間の自由と平等に関する問題であり、日本国憲法によって保障された基本的人権にかかわる課題である」ことを明らかにしています。
しかしながら、今日においても数多くの悪質な差別事件が後を絶たない状況にあります。世界人権宣言では、「すべての人間は生まれながらにして自由・平等で平和に生きる権利がある」ことを明記しています。この精神を活かし、私たち1人ひとりの努力で、あらゆる差別を撤廃させなければなりません。
部落解放同盟とは、部落差別から部落民集を完全に解放することを目的として組織された被差別部落民自身の大衆団体です。その前身は、1922年に結成された全国水平社であります。現在、東京都中央区内に置かれた部落解放同盟中央本部のもと、全国32都府県に都府県連合会が組織されています。
部落解放同盟兵庫県連合会もその1つであり、県内の被差別部落に210余の支部を組織しており、部落差別をはじめ、あらゆる差別の撤廃に向けた取り組みを日常的に展開しています。
①「人権侵害救済に関する法律」
現在、人権擁護行政を担当している法務省の人権擁護局や法務局の人権擁護委員は、差別事件や人権侵害が起きた場合に「人権侵犯事件調査処理規定」に基づいて啓発をおこなうだけで、被害者への救済、差別行為の禁止、差別事件の再発防止といった機能を持っていません。日本国憲法では人権尊重・保障が謳われていますが、差別行為が野放し状態になっているのが現状です。だからこそ、1日も早い「人権侵害救済に関する法律」の制定が求められているのです。
②「狭山差別裁判再審要求」
2つ目は、狭山事件の再審要求の取り組みです。狭山事件は、今から55年前に、埼玉県狭山市内の被差別部落出身である石川一雄さんが予断と偏見によって不当逮捕された冤罪事件です。現在、弁護団は第3次再審の取り組みを展開しており、私たちは再審開始を実現させるために、広範な県民への情宣行動などをおこなっています。また、裁判を通じて、「取調べの全面可視化」や「証拠開示の法制度化」など、司法の民主化にも取り組んでいます。
③「差別事件」
3つ目は悪質な差別事件への取り組みです。近年、インターネットを利用した悪質な差別書き込み、行政書士や司法書士による戸籍謄抄本等の不正取得事件などの人権侵害は後を絶ちません。また、結婚や就職の際、被差別部落出身を理由に排除しようとする差別事件も続発しています。それらの差別を受けた被害者から相談業務などもおこなっています。
その他、教育・就労・福祉といった分野においても、被差別部落出身者が不利益を被ることのないような取り組み、さらには他の人権団体や民主団体と協力しながら、「平和・人権・環境」を基軸にした様々な取り組みを展開しています。