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2025年

■支部長研修会に結集しよう(12月5日号)

 12月14日、神戸市教育会館において66期支部長研修会を実施する。今年度は大阪府連から講師を招き、2本の学習会をおこなう。
 1本目は、高橋定書記長を講師に、「部落探訪」削除裁判闘争について学習する。
 鳥取ループ・示現舎は、「部落探訪」と称し、被差別部落を勝手に撮影し、その画像や動画をネット上にさらしてきた。これらの削除を求める裁判が、現在3つの地裁でおこなわれている(埼玉、大阪、新潟/埼玉は9月に結審)。
 この裁判は、鳥取ループ・示現舎の露骨な差別扇動との闘いであり、決して負けるわけにはいかない闘いである。今年は部落地名総鑑事件の発覚から50年の節目の年だが、今も差別が「商い」とされていることを強く糾弾しなければならない。大阪府連の「部落探訪」削除裁判闘争を詳しく学ぶことで、兵庫での闘いに活かしていこう。
 2本目は、福原正広事務局長から大阪府連が実施した「組織改革人材養成アンケート調査」の結果を報告していただく。
 兵庫県内の各ブロック・支部では、少子・高齢化により、活動を維持することが困難な状況が続いている。支部数も最盛期の約半分となり、同盟員が10人未満の支部が50支部以上存在する。1969年に同和対策事業特別措置法が施行された後、70~80年代に次々と支部を作り、右肩上がりに組織を拡大してきたが、その運動スタイルが限界にきている。あらためて対策事業時代からの発想の転換が求められている中、大阪府連の報告から、今後の運動を考えていきたい。
 部落解放同盟の基本組織が「支部」であることは、これからも変わることはないが、日常的な活動に困難を抱えている支部をどうしていくのか、地域の活動をどう継続するのかを真剣に考えなければならない。
 また現在では、「地域=「部落民」「部落出身者」が集住する地域」という構図は崩れ、部落に対するアイデンティティを持つ若者たちの多くが部落外に居住しているという実態が生まれている。まさに地域を基盤としてきた部落解放運動の在り方も問われている。
 今年3月の第66回県連大会では、出身地を離れて生活する人、転入・転居などで部落外に居住する出身者を組織するために県連直轄支部を創設することが承認された。今後は、部落解放同盟がこれまでどおり「部落出身者」で組織する団体という形態を維持していくのか、部落に対するアイデンティティを持つ人たちを中心に部落解放運動に賛同する仲間たちをも組織するネットワーク型の運動に転換していくのか、など、より大胆に議論していかなければならない。
 大阪府連ではこの間、「一支部一社会的起業」をスローガンに新たな部落解放運動の創造に向けたとりくみを展開してきた。大阪府連のとりくみに学びながら、兵庫の組織改革、次世代育成の展望のヒントを探りたい。

■行政交渉・要望行動を展開しよう(11月5日号)

 県連は、兵庫県に対する2025年度の要望を取りまとめた。
 7月に実施された参議院選挙では、差別排外主義的な主張を展開する政党が議席を伸ばすなど、非常に危険な状況が生まれてきている。あらゆる差別を許さない官民協働のとりくみが必要である。
 兵庫県政は昨年以来、混乱を極めている。兵庫で暮らす人、兵庫県庁で働く人の人権が守られるよう、県政の正常化をめざしたい。
 今年度も人権侵害救済、人権啓発、同和行政・人権行政の推進、男女共同参画社会の実現、労働・就労支援、生活、産業、農業などの9項目で人権施策のさらなる充実を求めていく。
 部落差別解消推進法(以下、推進法)の施行後、県内10自治体で「部落差別解消」「人権」条例が制定され、今年6月には市川町議会で「部落差別の解消の推進に関する条例」が可決された。7月1日から施行されたこの条例では、推進法と同様に「相談体制の充実」(第5条)、「教育及び啓発」(第6条)、「調査の実施」(第7条)が明記された。
 また、県が「インターネット上の誹謗中傷、差別等による人権侵害防止に関する条例(案)」の12月議会での可決をめざしていることなど、ネット上の人権侵害・差別の拡散への対策も徐々に進んできている。今年4月から施行された情報流通プラットフォーム対処法に基づき、速やかに権利救済が図られるよう、被害者支援を強化するとともに、誹謗中傷・差別書き込みに対して、削除要請をしようとする人への相談体制の整備が必要である。
 不動産業者による「同和」地区問い合わせ事象や差別的な対応が今年も報告されている。県もチラシを作成し、土地差別への啓発をおこなっているが、周知徹底されているとは言えない。今年6月に閣議決定された「人権教育・啓発に関する基本計画(第二次)」には、不動産業界への教育・啓発(宅地建物取引士の法定講習)が新たに盛り込まれている。事象の再発防止にむけて、兵庫県土地対策班と不動産業界には、部落問題に関する研修会の開催やアンケート調査の実施が求められる。
 兵庫県が5年ごとに実施する「人権に関する県民意識調査」(2023年)では、「子どもの結婚相手がいわゆる同和地区の人であるとわかった場合の行動」の設問では、「親として反対するが、子どもの意志が強ければしかたない」が16・4%、「家族や親戚の反対があれば、結婚を認めない」が1・6%、「絶対に結婚を認めない」が2・8%で、20%を超える人がいまだに忌避意識を持っていることが明らかになっている。部落差別の意識を払拭させるための人権教育と啓発も重要である。
 以上の認識のもと、県連は県への要望をおこなう。各ブロックや市連協でも、行政交渉・要望行動を実施してもらいたい。

■人権啓発研究兵庫県集会への参加を(10月5日号)

 今年は、戦後80年、阪神・淡路大震災から30年など数々の節目の年である。部落差別の問題についても、同和問題の「早急な解決こそ国の責務であり、同時に国民的課題である」とした同和対策審議会答申から60年、「部落地名総鑑」事件の発覚から50年の年である。部落解放基本法制定運動開始から40年でもある。
 来る10月25日に開催される人権啓発研究第45回兵庫県集会では、そうした節目にちなんだテーマが多く設定されている。
 「部落問題」をテーマにした第1分科会では、「兵庫県内の部落解放運動の現状と課題」を県連の橋本貴美男書記長が報告する。また、近年増えている同和地区問い合わせ事案に対する対応について、ひょうご部落解放・人権研究所が2024年11月から25年1月にかけて、県内各自治体にアンケート調査をおこなったが、この調査の分析をした関西大学の内田龍史教授の報告もおこなわれる。
 第3分科会「人権啓発」では、企業と宗教者からのとりくみの報告がおこなわれる。この50年、1975年に発覚した「部落地名総鑑」事件を契機とした企業のとりくみや、1979年の世界宗教者平和会議差別発言を契機にした宗教者のとりくみなど、当事者運動とは別の角度から部落差別の解消や人権確立社会に向けた運動が推進されてきた。分科会では、そうした経過を振り返り、現在の人権啓発の活動や課題について考える。
 「人権教育」をテーマにした第2分科会では、学校で部落問題を学ぶ機会が減少するなかで、部落問題を身近に考えるための学校の体制づくりなどについて、実践報告と課題の共有をおこなう。また、外国にルーツをもつ子どもたちの居場所づくり、日本語教室などのとりくみから、課題をともに考えていく。
 記念講演は、北海道大学アイヌ・先住民研究センター教授の北原モコットゥナシさんが「多民族共生社会に向けて―聞いて知って乗り越えるマイクロアグレッション」をテーマに講演する。北原さんの著書『アイヌもやもや 見えない化されている「わたしたち」と、そこにふれてはいけない気がしてしまう「わたしたち」の。』(2023年)では、アイヌは、どんなことに「もやもや」を感じ、それはどこから来るのか、無知・無理解や差別の構造、そしてマイノリティとマジョリティの関係などが、様々な視点から考察される。他のマイノリティへの差別との共通性なども書かれている。北原さんの講演を、差別について広く考える機会としたい。
 その他、性暴力被害についての学習会もおこなわれる。2017年、23年に大幅改正(前者は110年ぶり)された性犯罪に関する刑法、被害がもたらすトラウマや二次被害など、一から基礎的なことを学び、講師とともにじっくり考える学習会である。
 記念講演と第1分科会はオンライン配信を予定。この集会を重要な学習の機会ととらえ、県内各地からの多数の参加をお願いする。

■狭山事件の再審開始と再審法改正を実現させよう!(9月5日号)

 狭山再審闘争は、3月に石川一雄さんが亡くなったあと、妻の早智子さんによって4月に第4次の再審請求がおこなわれた。第3次で積み上げてきた新証拠や意見書をそのまま引きつぎ、変わらず家令和典裁判長が担当することとなった。
 次回の三者協議は10月中旬におこなわれる予定。大きな山場となるこの三者協議までに、世論を高めることが重要となる。第4次再審請求を機に新たに取り組んでいる署名では、専門家がおこなった鑑定をもとに提出した新証拠について、鑑定人の証人尋問のすみやかな実施と再審開始を求めている。署名の目標は100万筆。同盟員はもとより共闘団体へ一層の協力を求めながら、狭山事件の再審開始にむけて力を尽くさなければならない。
 また、署名のとりくみのほか、映画「SAYAMAみえない手錠をはずすまで」(金聖雄監督)の上映会や講談「石川一雄 塀の中の学び」(神田香織さん)などを活用した市民向けの集会なども実施し、石川さんの無実を広くアピールしよう。

 再審法(刑事訴訟法の再審規定の総称)改正のとりくみも重要である。裁判所が再審開始を決定しても、検察の不服申し立てによって再審開始までの期間が引き延ばしされたり、取り消されたりするなど、現行の再審法には手続きに関する規定に大きな問題がある。それは、昨年やっと再審無罪を勝ちとった袴田事件などの他のえん罪事件をみても明らかである。
 日弁連が2023年におこなった全国の18歳から86歳までの1200人を対象にした調査(えん罪と再審制度に関する意識・実態調査)によると、えん罪への関心が高い一方で、再審手続きの実情についてよく知っている人は4人に1人にとどまっているという。再審法の問題点を市民に周知していくことも重要である。
「刑事訴訟法の再審規定の改正を求める意見書」は、兵庫県内では兵庫県議会と13市町の議会で採択された。6月の通常国会で超党派での議員連盟が作成した法案が提出される予定であったが、自民党内の反対論が強く、6月18日の国会の閉会間際に野党6党だけで法案を提出。自民議員は共同提出を断念し、審議に入らぬまま先送りされたが、秋の臨時国会に向け、改正を求める機運は高まっている。
議員連盟作成の改正案は、「再審開始決定に対する検察官の不服申し立ての禁止」、「検察官に対する証拠開示命令」を骨子としたもの。現在、衆議院法務委員会に付託されているこの法案がすみやかに審議され成立するよう、国会議員への働きかけや県内各自治体での意見書採択のとりくみを強化しよう。

 狭山事件は、部落に対する予断と偏見によってつくられたえん罪事件であり、部落差別を糾弾する闘いである。犯人の汚名を着せられた石川一雄さんだけの闘いではない。世論を高め、狭山事件の再審開始と再審法改正を実現させよう!

■差別排外主義の煽動を許すな!(8月5日号)

 これまでになく不安な選挙だった第27回参院選。不安の理由は言うまでもなく「外国人排除」を声高に叫ぶ政党や候補者たちが一気に増えたことである。特に意識せざるを得なかったのが「日本人ファースト」をスローガンに掲げ、大幅に議席を伸ばした参政党だ。
 これまでにも政治家の差別発言は数え切れぬほどあったが、ここまで露骨に差別を煽る政策を堂々と主張することはなかったのではないか。まさに社会の底が抜けたように思う。排外主義的・大衆扇動型の政治の台頭が世界的な流れとはいえ、ナチスが台頭した状況によく似ていると警鐘を鳴らす識者もいる。
 投開票日目前の7月17日、神戸三宮の東遊園地で参政党候補者の演説会に党首の神谷宗幣が来ることを知り、行ってみた。夢中になって声援を送る多くの支持者たちの異様な熱気に恐怖を感じた。この空気感は昨秋の兵庫県知事選挙と酷似している。兵庫選挙区の候補者は落選したが、30万票近く獲得した。
 NHKによると、今回、参政党は多くの「切り抜き動画」を作成し、その再生数は少なくとも1億回を上回ったという。兵庫県でも多くの人が参政党のSNS発信に触れたであろう。事実を検証する間もなく、次々に真偽不明の情報が流れてくる状況にどう対応すべきか。これ以上、市民の理性的な判断を失わせ、不安や怒りを煽るツールとしてSNSを機能させてはならない。排外主義に希望を見出す人たちの増加は、それだけ貧困や格差が広がっているということの証左であろう。本来争点となるべき減税や社会保障の問題ではなく、ありもしない「外国人優遇」政策が議論されるほど、この国の傷みは激しい。
 また参政党の躍進を、ネットを中心とした熱狂的な盛り上がりの結果だと捉えるだけでは不十分である。参政党は2020年の結党から5年で140人以上の地方議員を抱える党になり、着実に足場を作ってきている。
 数年後を展望するとき、今回の参院選は間違いなく大きなターニングポイントとなる。広がり続ける差別排外主義をここで食い止めることができるか。
 この間、有名なニーメラーの警句がよく紹介された。「ナチスが最初共産主義者を攻撃したとき、私は声をあげなかった/私は共産主義者ではなかったから/社会民主主義者が牢獄に入れられたとき、私は声をあげなかった/私は社会民主主義ではなかったから/彼らが労働組合員たちを攻撃したとき、私は声をあげなかった/私は労働組合員ではなかったから/そして、彼らが私を攻撃したとき/私のために声をあげる者は、誰一人残っていなかった」
 今回の露骨な外国人差別を対岸の火事と見てはいないだろうか。差別されることの苦痛や恐怖を知っている私たちが真っ先に声を挙げなくてどうするのか。水平社の時代から差別と徹底して闘ってきた私たちの姿勢が今まさに問われている。差別に抗うさまざまな団体や運動、個人との連帯を強めていきたい。

■推薦候補の必勝を勝ち取ろう!(7月5日号)

 今年度の防衛費は過去最大の約8兆7000億円で、関連経費を合わせて9兆
9000億円、対GDP比で1.8%となった。2022年、岸田内閣時に策定された「防衛力整備計画」(2023~27年度)が着々と進められている。このような防衛費の増額は「日本周辺の安保環境が厳しさを増している」ことを理由にしているが、「危機」を煽って軍備増強していくことは決して許されない。
 イスラエルによるパレスチナ自治区ガザでの非人道的な軍事行動など混迷する中東情勢は、6月13日にイスラエルがイランを攻撃し、イランも報復攻撃したことでさらに悪化している。
 日本に防衛費増額を要求しているアメリカのトランプ政権は、イスラエルの攻撃を支持した。G7(主要7ヵ国首脳会議)が16日に発表したイスラエルとイランの緊張緩和を求める共同声明も、イスラエルの自衛権を認め、イランを「地域の不安定及び恐怖の主要な要因」と批判するアメリカに忖度した内容である。そんななか、21日には米軍が高濃度ウランを製造するイランの各施設を攻撃。国連の安全保障理事会の緊急会合で、アメリカは自国の行動を「同盟国と国民を防衛するため」と正当化したという。
 第3次世界大戦の危機が現実味を帯びてきているなか、日本を「戦争をする国」にしてはいけないという思いを私たちは行動に移さなければならない。

 また、トランプ大統領による移民排斥の言動が止まらぬなか、日本の政治家・政党にも外国人を排除する動きが目立ってきている。
6月22日の東京都議会選挙では、「日本人ファースト」を掲げる参政党が3議席を獲得、6月15日の尼崎市議選でもトップ当選した。この党が「新日本国憲法(構想案)」として、国民主権の否定、教育勅語の復活、夫婦同姓の強制を掲げている極右政党であることはあまり知られていない。参政党がこの間の地方自治体選挙で外国籍住民の排除を煽る主張を繰り返しながら得票を伸ばしていることに、強い危機感を持たなければならない。
 立候補者が「選挙運動」と称してヘイトスピーチをおこなうことも問題視されている。参院選の兵庫選挙区では、昨秋の兵庫県知事選挙から兵庫を混乱させ続けているNHK党党首の立花孝志も立候補を表明しているが、NHK党からはこれまで、京都朝鮮学校襲撃事件や徳島県教組襲撃事件で有罪判決を受けた者が立候補してきた。いずれもヘイト団体の「在日特権を許さない市民の会」のメンバーだった者であり、NHK党もまたヘイト集団であるといえる。
 私たちはこうした「選挙ヘイト」を絶対に許してはならない。どの候補者、政党が、差別排外主義的な主張をしているのかを可視化させることが、今後重要なとりくみとなる。
 今月20日には参議院選挙がおこなわれる。差別と戦争を許さず、人権と平和、民主主義の確立をめざした政治への変革を勝ち取るため、県連推薦候補者の必勝を勝ち取ろう!

■兵庫県女性集会の成功にむけて(6月5日号)

 来る6月28・29日、城崎国際アートセンターで、第30回兵庫県連女性部大会・部落解放第62回兵庫県女性集会を開催する。
 大会・集会では、女性部の30年のあゆみを振り返る特別報告をおこなう。「婦人対策部」「女性対策部」「女性部」と名称を変えながら、女性への差別や偏見をなくそうと試行錯誤しつつ活動を続けてきた。また、いのちとくらしを守り、部落差別を生み出す社会を変える闘いを担ってきた。それらを振り返り、今後の活動が部落解放運動を大きく前進させる原動力となるよう議論・交流しよう。
 ◇
 今年は戦後80年の年だが、現在、ロシアのウクライナ侵攻やイスラエルのガザ攻撃が続いている。長期化の中で報道も減少しているが、子どもや女性、障害者など社会的弱者が一番の犠牲になっていることを忘れてはならない。「戦争は最大の人権侵害」であり、攻撃を止めるよう強く訴えていこう。
 女性部としても重点的に取り組んできた狭山再審闘争は、事件発生から62年となった。今年3月に石川一雄さんがえん罪を晴らせないまま亡くなったが、妻の早智子さんが引き継ぎ、第4次再審を申し立てている。この狭山再審闘争をはじめ、課題は山積している。また近年明らかになった身元調査事件や「同和」地区問い合わせ事件などに見られるように、部落に対する差別意識・忌避意識が社会に根強く存在している。こうしたことから、結婚や就職の際の差別が今も起きていることが容易に想像できる。行政や企業に対しても、人権の視点をもった研修の実施・充実を求めていく必要がある。
 女性を取り巻く状況も、改善が進んでいない。雇用分野では、男女の賃金格差や管理職の女性比率の低さなどが依然として見られる。政治の世界でも女性議員の割合は低く、「政策意思決定機関に女性の進出を」と謳われてはいるが、現実は程遠い。女性が力を発揮できる体制づくりと同時に、女性の声を政策に反映するとりくみも必要である。
 また、部落差別や女性差別のほか、障害者差別、性的マイノリティへの差別、そしてそれらが重なりあった複合差別にもしっかりと視点を置いたとりくみが重要である。
 「女性らしさ」「男性らしさ」というジェンダー規範、男女二元論の意識が依然として強い。県連の中に「男女平等推進本部」を設置しているが、組織としても女性が意思決定に参画できる土壌が醸成されているとは言い難い。社会のしくみや慣習などあらゆるところに目を向け、生活や意識、組織のなかに存在する差別や偏見に気付くことが大切な一歩である。

さまざまな議論の場に女性の参加を促し、女性が主体的に活動する土壌を作ること、そして女性が力を発揮できる組織運営や運動になっているかの確認も重要である。人権確立社会の確立のため、人権、平和、環境、いのちとくらしを守るとりくみについて議論を深めながら、すべての力を結集し、女性部大会・女性集会の成功をめざそう。

■被差別マイノリティとの連帯と協働を深めよう(5月5日号)

第二次トランプ政権の発足から4か月。米国第一主義に世界が振り回されている。
トランプ大統領は、すべての国や地域を対象に一律で10%の関税を課すとともに、日本を含む約60の国や地域を対象に「相互関税」を掛け、日本には24%の関税を課すとしている。歴史を振り返ると、1930年代の世界恐慌下でアメリカが高関税に傾斜したことが世界経済をブロック化に向かわせ、それが第2次世界大戦へとつながることになった。戦後、その反省に立って世界は自由貿易を推進してきたのだが、今回の「トランプ関税」は世界を大混乱に陥れる危険性がある。
 またトランプは就任直後からパリ協定からの再離脱とWHO脱退など大統領令を乱発し、国際協調の枠組みを否定している。バイデン前政権が実施してきた多様性や公平性などを尊重する社会をめざす「DEI」の取り組みなどの人権政策も次々と廃止・縮小し、マイノリティ社会からは不安の声が上がっている。
 マイノリティに対するバックラッシュ(人権保障が進むことなどへの反動、揺り戻し)といかに対峙するのかは、アメリカだけの問題ではなく全世界共通の課題である。インフレが人々の生活を直撃するなか、「グローバル化が雇用を奪い、移民を増やす」とする漠然とした不満が世界中で勢いを増してきた。欧州では極右勢力が伸長し、ドイツ、フランスでは内閣が崩壊、オーストリアとオランダでも「反移民」を掲げる排外主義の極右政党が台頭している。
 日本でもこの間の各級選挙を見ると、少数とはいえ、差別排外主義的な主張を展開する政党が議席を獲得している。近年、埼玉県川口市では市内に暮らすクルド人を標的としたヘイトスピーチや嫌がらせが続発し刑事事件にまで発展している。今年1月に実施された埼玉県戸田市の市議会議員選挙では、クルド人排斥を公約にした日本保守党の候補者がトップ当選するなどの異様な事態が起きている。
 公然と差別や暴力を煽動する言動、インターネット上の差別情報の氾濫が、障害者施設への襲撃、ウトロ地区への放火などのヘイトクライム(憎悪犯罪)を誘発してきた。私たちは部落差別だけではなく、あらゆる差別を許さない社会連帯の闘いをすすめていかなければならない。
今年は世界人権宣言の採択から77年となる。飢餓・戦争・大虐殺を経験してきた国際社会は、マイノリティが真っ先に人権侵害にさらされることから、マイノリティの人権を重視することが人権保障の原則であるとした。しばらくは混沌とした世界情勢が続くことが予想されるが、いまあらためて「世界人権宣言」の理念を確認しながら、国内外の被差別マイノリティとの連帯と協働を深める取り組みをすすめていきたい。

■石川さんの遺志を引き継ぎ、必ずや狭山再審闘争に勝利しよう!(4月5日号)

狭山事件で無実を訴え再審を求め続けてきた石川一雄さんが3月11日午後10時、埼玉県狭山市内の病院で亡くなった。86歳だった。奇しくもこの日は、61年前に浦和地裁で死刑判決が出された日であった。
 3月23日に開催した第66回県連大会では、参加者全員で黙祷を捧げたが、あらためて石川さんのご冥福を心よりお祈りする。
 3月4日におこなわれた第64回三者協議で検察が「5月に意見書を提出する」としたのに対し、裁判長が次回期日を4月に設定した。極めて異例であることから証人尋問の実現に大きな期待を持っていただけに、その無念さは計り知れない。
 石川さんの人生は闘いの連続であった。32年にわたる獄中生活、1994年の仮出獄後も続く再審闘争。決して諦めることなく、不撓不屈の精神を持って「必ず生きてえん罪を晴らす」と無実を訴え続けた石川さんの姿は、私たちに勇気と希望を与えてきた。
 狭山事件は部落差別に基づくえん罪事件であるが、石川さんに連帯し支援する輪は、同盟員だけにとどまらず、労働組合、住民の会、学者、文化人などにも広がってきた。私たちは石川さんの遺志を受け継ぎ、無罪を勝ち取るために、これからも闘い続けることをあらためて確認したい。
 第3次再審請求は請求人である石川さんが亡くなったことで終了となる。再審法には「受継」の規定がなく、配偶者であっても引き継げない。今後、第4次再審請求を連れ合い早智子さんが東京高裁に申し立てることになる。
 4月16日には、日本教育会館で追悼集会が開催される。また5月23日も予定通り、日比谷野外音楽堂で「狭山事件の再審を求める市民集会」が開かれる。早智子さんを全力で支え、第4次再審闘争になんとしても勝利しなければならない。
 そして「再審法」改正も焦眉の課題である。
 石川さんが存命のうちに再審開始が決定されなかったのは、再審法の不備が大きい。袴田事件でも袴田巌さんが再審で無罪判決を得るまでに逮捕から58年、再審申立から43年を要した。検察官が証拠開示に応じず、また裁判所が再審開始を決定しても検察が不服申立をおこなうために、えん罪犠牲者は長い闘いを不当に強いられてしまう。
その原因となっている現行の再審手続きの不備を正し法改正すべきとの声は、袴田事件の再審開始を機に大きくなっている。
 2024年3月には各党の党首らがよびかけ人となり、超党派の「えん罪被害者のための再審法改正を早期に実現する議員連盟」が結成された。現在、全国会議員の過半数、370人以上が賛同しており、議員立法として再審法改正法案の提出、可決成立が実現可能な状況である。
 再審法改正を求める請願署名を集めるとともに、地方議会での意見書採択の運動、地元選出の国会議員への議連参加の要請にも全力で取り組もう。

■第66回県連大会に結集しよう!(3月5日号)

3月23日、加古川市人権文化センターにおいて、第66回県連大会を開催する。本大会を部落解放運動の未来を見据え、組織と運動の改革に本格的に着手する契機と位置づけたい。
 現在の被差別部落の置かれている状況を見ると、都市部落で顕著なように若者が部落から姿を消し、そして社会的に困難を抱えた人たちが部落に流入するという社会矛盾が集中する地域へと変貌してきている。地域イコール「部落民」「部落出身者」が集住する地域という構図は崩れ、部落に対 するアイデンティティを持つ若者たちの多くが部落外に居住しているという実態が生まれている。まさに地域を基盤としてきた部落解放運動の在り方が問われている。部落解放同盟の基礎組織が支部であることはこれからも変わらないが、活動を休止する支部も続出する中、出身地を離れて生活する人、転入・転居などで部落外に居住する出身者、個人単位で部落解放運動に参加する意思を持つ人たちを組織するための方策として、本大会では県連直轄支部の創設を提案する。
 「情報流通プラットフォーム対処法」(以下、情プラ法)の本格施行が5月に迫っている。安倍政権発足以降、個別人権課題の立法措置が実現してきたが、すべて理念法であり、実効性などにおいて大きな課題を残している。今回の「情プラ法」制定は高度情報化社会における差別や人権侵害を許さない実効的なとりくみへの第一歩である。「包括的差別禁止法」と国内人権委員会の創設などにむけて、さらに広範なとりくみをすすめていこう。
 また再審法の改正を求める運動にも全力で取り組みたい。石川一雄さんの再審無罪を一日も早く実現するためにも、再審における証拠開示の義務化や再審開始決定に対する不服申し立ての禁止など、再審法の改正は急務である。県内各地での国会請願署名や地方議会での意見書採択にも取り組もう!
 2025年は「部落地名総鑑」事件の発覚から50年目となる。この「部落地名総鑑」の元資料となったのが、旧内務省の外郭団体である中央融和事業協会が作成した報告書「全国部落調査」である。この報告書の復刻版を出版しようと画策した鳥取ループ・示現舎は、インターネット上に部落の地名や動画、人名をさらす行為を敗訴した現在でも続けており、個人でも簡単に身元調査がおこなえる状態が野放しになっている。東京高裁で画期的な「差別されない権利」が認められ、確定した。新たにスタートした「部落探訪」削除裁判闘争で鳥取ループ・示現舎は、裁判引き延ばしのために移送申し立てなどの姑息な手に出ているが、これらの動きに屈することなく完全勝利に向けてさらに闘いを強化しよう。
 課題は山積しているが抜本的な組織改革が求められている。部落差別が存在する限り、荊冠旗を降ろすことはできない。代議員の活発な論議で大会の成功を勝ち取ろう!

■阪神・淡路大震災30年 人権のまちづくり運動の展開を(2月5日号)

 6434人が亡くなった(行方不明者3人)阪神・淡路大震災の発生から1月17日で30年を迎えた。
当日は県内各地で追悼行事がおこなわれたが、神戸市中央区・東遊園地での「追悼のつどい」には7万5000人が訪れたという。この数字は過去2番目の多さだったと聞くが、震災を風化させてはいけないという思いを多くの人が持っていることの証である。
 しかしながら、兵庫県知事は、30年の節目を迎えるあたっての記者会見で、阪神・淡路大震災の犠牲者数(6400人以上)を「4600人」と間違えた。亡くなられた6434人ひとりひとりにそれぞれの大切な人生があったこと、被災地に積み重なった人びとの思いを受け止めることもできないのかと暗澹たる気持ちにさせられた。
 能登半島地震からも1年が過ぎた。県連も昨年7月に珠洲市での支援行動をおこなったが、その時点でもまだライフラインは復旧されていない状況だった。能登地方は9月にも豪雨に見舞われており、復興への道は依然として遠い。地震で被害が大きかった原因として、建物の耐震化率の低さや、地域の高齢・過疎化などが挙げられたが、被害が地域の経済力に左右されてはならない。貧富の差の拡大、政治・経済の一局集中も今回の被害の遠因とも言える。また国や自治体の初動対応の遅さも指摘されたが、ボランティアとの連携、避難所運営などを見ても、過去の災害の教訓が生かされず、逆に後退している感が否めない。
 1月15日の神戸新聞の「正平調」が心に残った。防災学の第一人者である室崎益輝・神戸大名誉教授は「震災30年で私たちが学んだ最も大切なものは何でしょう?」という問いに「それは市民社会です」と即答している。正平調は「市民社会とは実に幅の広い概念だが、私たち一人一人の善意が自然に集まって形になり、支え合う社会のことだろう。その寛容さと柔軟さは、この30年で育ったろうか」「社会は逆に不寛容と硬直に向かっているのではないか」と投げかけた。
 この国が無援社会であると言われて久しい。自然災害は孤独という新たな災害を生む。震災から30年を経て、街の風景は大きく変容してしまったが、「おせっかい」なぐらいの温かさを持つ部落のコミュニティ力は維持していかなければならない。南海トラフ地震の発生確率は今後30年以内で80%だと言われている。日頃からの備えと対応が重要である。地域内の高齢者、ひとり親家庭、障がい者、外国人等の多様な人々が住みやすく、近隣住民と支え合い、孤立することのない「顔の見える」人権のまちづくり運動の展開が求められている。
 30年前に全国からいただいた熱い支援を兵庫県連は決して忘れない。被災地に駆けつけてくれた全国の兄弟姉妹にどれだけ励まされてきたことか。災害時にこそ「いのち」と「くらし」を守る部落解放運動の真価は発揮される

■2025年の展望と課題(1月5日号)

 2025年は、部落解放全国委員会から部落解放同盟に改称して70年、同和対策審議会答申から60年、部落地名総鑑事件から50年という節目づくしの1年となる。
 2025年の部落解放運動の展望と課題を考える。
①次世代育成に取り組もう!
昨年は1年間をかけて、役員定数の削減や組織内のジェンダーバランスの健全化を図るための論議に多くの時間を費やし、財政の健全化にむけた予算の削減も提案してきた。すべての提案が一朝一夕にはいかず、県内同盟員にとって「痛み」をともなうものだが、中・長期的な運動を展望するために必要な改革であることをご理解いただきたい。
積み上げてきた運動の成果や経験を否定するものではないが、時代に合った効果的な手法が求められている。次世代を担う青年層が魅力を感じて参画するような部落解放運動を創造しなければならない。
 今年は阪神・淡路大震災から30年のである。30年前に被災地を駆け回り活躍した青年たちのような人材を掘り起こし、育てていこう。
 ②狭山第3次再審闘争の勝利にむけて石川一雄さんの不当逮捕から62年を迎える。袴田事件の再審無罪確定を通じて、再審手続きの不備を変えるべきだという世論は大きくなっている。昨年3月に「えん罪被害者のための再審法改正を早期に実現する議員連盟」が超党派で結成され、衆議院解散前には全国会議員の半数近い350人が参加していた。また、400を超える地方議会が「再審法」改正を国会に求める意見書を採択しており、県内では3市(神戸市、高砂市、加古川市)が採択している。石川さんの再審無罪を一日も早く実現するためにも、再審における証拠開示の義務化や再審開始決定に対する不服申し立ての禁止などの「再審法」改正が急務である。国会議員に対する議員連盟参加の働きかけや各自治体での意見書採択などに取り組もう。
 ③「部落探訪」裁判の完全勝利を
 2016年から闘ってきた鳥取ループ・示現舎に対する「全国部落調査」復刻版出版事件裁判では、昨年12月に最高裁が原告・被告双方の上告を棄却し、東京高裁判決が確定した。
 一審の地裁で出版差止の都府県の範囲は25都府県だったが、高裁判決では31都府県に拡大された。さらなる拡大を期待していたが、最高裁はこれを回避した。被差別部落の地名を晒すことはどの都府県であっても違法である。原告がいない都府県を対象範囲外とした点は厳しく批判しなければならない。
 しかし、他方で「差別されない権利」は憲法13条及び14条に由来すると宣言した高裁判決が維持された。最高裁が「差別されない権利」を認めたことは画期的であり今後の闘いの大きな後ろ盾となるだろう。
 一昨年末からは、新たに全国3ヶ所(新潟、埼玉、大阪)で「部落探訪」動画の削除を求めた闘いが始まっている。「情プラ法」の成立なども追い風にしながら、確信的な差別者を追い詰め、「差別禁止法」の制定をめざそう。