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2024年

■第65回県連大会に結集しよう!(3月5日号)

 3月24日、兵庫県立のじぎく会館において、第65回県連大会を開催する。1年間の活動を総括し、今後1年の運動方針を決定する重要な機会である。
 昨年、兵庫県水平社の創立から100年という節目を迎え、さらに運動を前進させようと決意を新たにしてきたが、今年を部落解放運動の未来を見据え、組織と運動の改革に着手する一年としなければならない。
 この間、続いてきた新自由主義政策のもと、貧困と格差が拡大、固定化しており、感染症拡大のなかで、よりいっそう深刻化している。こうした閉塞感が生み出す社会不安や不満を背景にして、差別と暴力が公然と煽動されており、人権と平和を確立するための闘いはますます重要になってきている。
 インターネットモニタリング事業については、2024年度中に県内全市町で導入見込みとなるなど、これまでの成果も着実にでてきているが、部落差別解消推進法の周知をさらに進めるとともに、昨年6月の「全国部落調査」復刻版出版事件裁判の控訴審判決をふまえ、インターネット上の部落差別情報・差別扇動の問題点についての認識を共有し、ネット上の部落差別を規制する法整備を求めていく必要がある。また、昨年12月には猪名川町で部落差別解消推進条例が成立し、推進法施行後、県内で8つめの条例となった。条例では、モニタリングによる実態把握や削除要請、指導、勧告など段階を踏み、それでも削除に応じない場合は名前や行為の概要を公表することが明記されたほか、被害者に対する支援や救済が盛り込まれるなど、大きな前進を勝ち取ることができた。
 県内では2019年にたつの市が条例に基いた実態調査をおこなったが、コロナ禍以前のことであり、現状の調査が必要である。2023年には尼崎市がやはり条例に基き、被差別部落住民に被差別体験などの聴き取りを含む実態調査を実施した。その分析・結果が待たれるところだが、こうした自治体での条例を根拠とした実態調査を求めていくことも重要である。
 実態調査や相談体制の充実など、推進法に明記されている施策の具体的な実施を求めていくとともに、人権侵害救済法や包括的差別禁止法などの法整備を求めながら、部落解放運動の裾野を広げ、普遍化される闘争を展開していこう。
 11月19~20日には、部落解放研究第57回全国研究集会が神戸国際展示場で開催される。兵庫県での開催は第37回全研(2003年)以来、実に21年ぶりのこととなる。県内の参加目標を達成し、集会の成功を勝ち取ろう。
 組織の高齢化と後継者不足によって、支部の活動休止や同盟員数の減少が続いている。また女性の参画や役員登用も遅々として進んでおらず、抜本的な組織改革が求められている。県連規約や役員選挙規定の改定も含め、県連組織の整備・再編に着手していかなければならない。
 さまざまな課題を確認し、今後の兵庫の解放運動を前進させるため、代議員の総結集で大会の成功を勝ち取ろう。

■能登半島地震の救援支援にとりくもう(2月5日号)

  1月1日に能登半島を震源として大きな地震が発生し、甚大な被害をもたらしている。短期間に大規模な地震が何度も繰り返し起きたことで、家屋の倒壊、津波、山腹崩壊、市街地での火災などが発生、ライフラインは壊滅し、孤立集落が数多く発生した。
 被害状況が日に日に明らかになる中、石川県では死者が236人、住宅の被害は、全壊・半壊・一部損壊あわせて4万1千棟以上が確認されている(いずれも1月25日時点)。断水や停電などが続いている地域も多く、石川県内の市町が設ける避難所では、1月25日時点でいまだ約1万人が避難生活を余儀なくされている状況だ。特に、断水の影響は大きく、インフラが整った場所への二次避難も始まっている。  今回の地震では、国や自治体の初動の遅れが目立った。私たちが経験した29年前の阪神・淡路大震災や2011年の東日本大震災の教訓はほとんど活かされていないことが指摘されている。
 土砂崩れや積雪も影響し、揺れの強かった珠洲市や地震後の火災で大きな被害が出た輪島市などは特に、救助作業や被害状況の確認が思うように進んでいない様子も報道されている。半島で道路が寸断されるなど地理的な要因やボランティアの受け入れ調整を担う社会福祉協議会の稼働状況から、ボランティアの問合せや個人で支援物資を送ることを控えるよう求める旨の報道もされていたが、1月24日からは、七尾市や穴水町などを対象として災害ボランティアの募集が石川県ホームページの特設サイトで開始された。
 多くの被災者が住居を失い、長い避難生活を余儀なくされることが予想される。これまでの経験を活かしながら、被災地のニーズに応える支援をおこなわなければならない。保健衛生、瓦礫撤去、物資配送、被災相談などの経験や技能を持った専門的なボランティアの存在も重要だ。また、これまでの災害で避難所での性暴力の実態も伝えられてきたことから、避難所での心身のケアにも注力するべきである。
 災害のたびに起きることだが、今回もさまざまなデマが飛び交っている。今回の地震は人工的に起こされたとする根拠のない主張や「外国人窃盗団が能登半島に集結」といった偽の情報、被災者を装って救助要請する虚偽の投稿がSNS上で多く見られた。デマを広めないために、落ち着いて情報の発信元を確認し、安易に拡散しないことが大切である。  

 兵庫からは、阪神・淡路大震災以来、国内の災害救援活動をおこなう被災地NGO恊働センターが、七尾市を拠点としていちはやく救援活動を開始した。兵庫県連では現在、支援カンパを県内各支部から募集しており、今後は現地のボランティア受け入れ状況を見極め、被災地NGO恊働センターなど各団体と相談・連携しながら、県連としての支援活動をおこなっていく。県内各支部のみなさんにも物資や人材も含め、可能な限りの支援をお願いする。

■2024年の展望と課題(1月5日号)

  2023年は、国際社会から人権上問題があると厳しく批判されている中での「出入国管理及び難民認定法(入管法)」の「改悪」強行や、問題を多く含んだ「LGBT理解増進法」を制定するなど、日本が「人権後進国」であることを露見させた1年となった。
  私たちの部落解放運動の課題を見ても、狭山再審闘争や「全国部落調査」復刻版出版事件裁判などの闘いが大きな山場を迎えている。兵庫県水平社がめざした「すべての人が尊敬される差別のない社会」の実現にむけ、再度、部落解放運動の強化を訴えたい。
   2024年の部落解放運動の展望と課題を考える。

① 狭山第3次再審闘争の勝利にむけて
  石川さんの不当逮捕から60年が経過した。インク資料の鑑定の実施と11人の鑑定人尋問を求める世論を広げ、署名運動を継続していくことが重要である。一昨年秋からスタートした東京高裁に事実調べを求める署名は現在、52万筆を超えたが、さらに、60万、70万、80万とその声を広げ、今年こそ私たちの手で再審の扉をこじあけよう。
② 「全国部落調査」復刻版出版事件裁判の完全勝利へ
   2016年から闘ってきた鳥取ループ・示現舎にたいする「全国部落調査」復刻版出版事件裁判では、昨年6月28日に東京高裁で判決が出された。 高裁判決では、憲法で認められた平穏に暮らす「人格権」が侵害されたとし、裁判例で初めて、原告らが求めていた「差別されない権利」が実質的に認められた画期的なものである。 裁判は舞台を最高裁に移す。完全勝利に向けて全力を傾注しなければならない。 近年、鳥取ループ・示現舎に触発されたように、被差別部落を晒す模倣犯が続出し、県内でも模倣犯による探訪動画によって多くの部落が好奇の目に晒されている。2024年度には県内すべての自治体でインターネットモニタリング事業が実施される見通しだが、今後もインターネット上の部落差別情報の動向を監視しながら、その差別性や問題点についての認識を共有化し、ネット上の部落差別の現実をねばり強く明らかにしていくとりくみを進めていこう。
③ 大胆な組織改革を
  部落の人口減少や人口流動化、超少子高齢社会が進んでいるが、兵庫もまた例外ではない。孤立や社会的排除をなくすため、周辺地域住民を巻き込んだ人権のまちづくり運動を各地で展開していかなければならないが、どの地域でも運動の担い手不足が深刻な問題として横たわっている。次代の運動を担う人材の育成が急務である。県連としても時代に合った組織となるよう規約改正をおこない、ブロック再編や青年・女性活動家の役員定数増やブロック選出基準の変更など、具体的なビジョンを持った大胆な組織改革をおこなわなければならない。部落解放同盟の基礎組織が支部であることは言うまでもないが、部落解放運動に接続する新たな方法も考えていくべきである。今後の組織の在り方についての議論を活発化させよう!


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