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2019年

■大嘗祭にもの申す(11月5日号)

1 2019年になって、明仁天皇退位、徳仁天皇即位の儀礼が相次いで行われている。安倍政権とマスコミが一体となって一連の儀式を賑々しく宣伝・演出し、天皇制を国民のなかに一層浸透させようとしている。
松本冶一郎・部落解放同盟中央本部元委員長は「賤族があるから貴族ができたのではなく、貴族があったから賤族ができた」と述べた(1947年)。部落解放同盟の綱領・基本目標として「身分意識の強化につながる天皇制および天皇の政治利用への反対と戸籍制度などの人権を侵害する法や制度の改廃」を規定している。一連の儀式のあり方を、そうした視点で注視しなければならない。

2 11月14日夜から翌未明にかけて「大嘗祭」が行われる。これは新天皇が新穀を神々に供え、国家国民の安寧と五穀豊穣を祈る天皇一代に一度だけの儀式であると説明されている。大嘗祭は共食儀礼とともに天皇が神と交流するための儀式であり、現行法上の規定は全くない。その会場となるのが「大嘗宮」で、今回、大嘗祭のためだけに新たに建設され、大小約40の建物の建設費用は9億5700万円である。
 そもそも大嘗祭は宮中祭祀で、皇祖天照大神及び天神地祇に感謝し祈念する内容である。「国民主権」に全くそぐわない。
新米をつくる田は5月13日に宮中神殿で亀卜という占いで選んだ。悠紀(京都以東以南)、主基(京都以西以北)地方から選定するのは天皇が支配する全国の各地を代表させる意味をもつ。
 大嘗祭の招待者は約700人、大嘗祭全体の経費は約27億円と言われている。はたして莫大な経費をかけて行う必要があるのか疑問である。

3 安倍政権は一連の儀式は「伝統的」なものであるとしている。ここにも安倍政権特有の嘘とごまかしがある。
大嘗祭をしなかった天皇も多い。南北朝時代の南朝側の天皇は誰もしていないし、戦国時代から江戸時代はじめにかけては9人の天皇が大嘗祭をしていない。
 さらに、即位礼は中国の皇帝の即位式をまねて始められたことから、幕末までは中国風の儀式であり、仏教の影響も受けていた。
 明治維新後、宗教による天皇の権威付けと宣伝が目論まれ、国家神道が形成され、皇室祭祀の態様も変わった。

4 皇室費と宮内庁費で約200億円が予算化されている。
改めて日本国憲法をみる。「天皇は日本国の象徴であり、日本国民統合の象徴であって」とある。
 国民が主権者として、天皇制の存否も含めたコントロール機能を発揮するためには、国民一人ひとりが、国家から何の制約を受けることなく、自己の判断に基づき、天皇あるいは天皇制度について自由に論評し、批判する自由が認められなければならない。政教分離原則は、先の戦争への反省から国家公権力の非宗教性を徹底したもので、改めて堅持することを安倍政権に求めていこう。


■政治家やメディアの「嫌韓」―差別煽動を止めよう(10月5日号)

レイシストが使う言葉で排外を煽るメディア
 「嫌韓」報道が溢れている。テレビやネット、週刊誌などあらゆるメディアが日韓両国間の対立を煽り、「嫌韓」感情を焚き付けている。
 小学館発行の雑誌『週刊ポスト』が9月13日号で特集を組んだ。表紙には「『嫌韓』ではなく『断韓』だ/厄介な隣人にサヨウナラ/韓国なんて要らない」。また「『10人に1人は治療が必要』(大韓神経精神医学会)―怒りを抑制できない『韓国人という病理』」という見出しも踊った。まさにヘイトスピーチである。
 小学館は学習誌や図鑑など、教育に関わる書籍を多く出版してきた会社だ。売らんがためだけに「嫌韓」ムードに媚びへつらう姿。メディアが本来果たすべき役割は「冷静になろう」と呼びかけることではないのか。メディアの矜持はどこにあるのか。実に情けない。
 ヘイトスピーチ問題に詳しいジャーナリストの安田浩一さんは「『断韓』なんていうのはもともと、在特会をはじめとする差別集団が街頭で訴えるときに使っていた文言。それを『週刊ポスト』のようなメジャーな雑誌が使うようになってしまった。レイシストが街頭で叫ぶよりも、テレビや週刊誌のような主要なメディアが排外主義や対立を煽るような言葉を使うほうが、この社会には遥かに大きな影響力がある」と指摘する。
 日本社会全体に排外主義が増幅しているという認識を私たちは持ち得ているだろうか。

政治家による「嫌韓」煽動
 今年8月、「あいちトリエンナーレ2019」内の「表現の不自由展・その後」が展示中止に追い込まれた。出品された「平和の少女像」に対し電話などでの攻撃やいやがらせが殺到、中には「ガソリン携行缶を持ってお邪魔する」という卑劣極まりない脅迫も含まれていた。その多くはネトウヨと呼ばれる連中の仕業だろうが、市民の中にも「嫌韓」意識が醸成されていたことは間違いない。そこに河村名古屋市長の「日本国民の心を踏みにじるもの」、松井大阪市長の「我々の先祖がケダモノ的に取り扱われている」という発言が拍車をかけた。後日、トリエンナーレ芸術監督の津田大介さんが登壇する予定の神戸でのシンポジウムも中止に追い込まれた。主催者に圧力をかけたのはヘイト発言で有名な上畠寛弘神戸市議。政治家の「嫌韓」扇動もまた深刻な問題である。

差別の刃が向かう先
 9月12日、NPO法人移住者と連帯する全国ネットワークなどの4団体が「マイノリティの人権と尊厳を傷つける『嫌韓』煽動に抗議する声明」を発表した。記者会見では、「病院で名前を呼ばれた時に立てなかった」「外に行くのが怖い」など、在日コリアンの人たちが日々直面している不安が語られた。差別の刃が向く方向は定まっている。
 いま、私たちに求められていることは、政治家やメディアの差別扇動に毅然とした態度で対峙し、止めさせることである。


■運動に文化的アプローチを(9月5日号)

 第45回部落解放文学賞の識字部門で、伊丹支部の杉本絹子さんが見事入選を果たした(2面に関連記事)。
 50年以上も前のことを鮮明に覚えている杉本さんの記憶力には本当に感服する。ノンフィクションライターの野村進さんはこの作品を「見たことが結晶化し、的確に独特の表現で表している」と評価していたが、生活と密着した生活感あふれる言葉遣いが印象的だ。杉本さんにあらためて祝福の言葉を送りたい。
 かつて「部落解放運動は文化運動である」と発言した人がいた。作家の野間宏さん。「差別とたたかう文化会議」の議長としても活躍された野間さんは部落解放文学賞にも精力的に取り組んだ。特に識字作品を「人間解放の叫び」であると高く評価し、解放運動の中で文化運動を推進することを亡くなるまで訴え続けた。
    ◇
 最近、考えていることがある。それは部落解放運動に文化的なアプローチがもっとあっても良いのではないかということだ。
 たとえば、2000年代に入ってから、在日朝鮮人を主人公にした『GО』(2001年)、『パッチギ』(2005年)などの映画が立て続けに公開され、興業的にも成功し話題となった。それまであまりテレビや映画で触れられることのなかった「在日」という存在や歴史を、有名俳優が演じることで一気に身近な問題として感じるきっかけになったことは間違いない。
 しかし、部落問題では住井すゑさんの『橋のない川』が90年代にリメイクされたが、それ以後に部落問題を扱った大手配給の映画は知りうる限りない。非常にもったいない現状ではないだろうか。
   ◇
 音楽もまた同様だ。70年代~80年代には部落解放運動の中でたくさんの楽曲が作られた。当時、多くの人が口ずさんだこれらの歌も現在はほぼ歌われることはない。今、多くの青年たちが自分の思いを重ねるのは「生まれたところや皮膚や目の色で一体この僕の何がわかるというのだろう」と問いかけるブルーハーツの「青空」であったりする。
 昨年、神戸で開催した全高・全青集会のオープニングで県連青年部の太田遊人さんが数曲を見事に歌い上げ、会場を盛り上げた。若い世代の思いを反映させ、若者を惹きつける運動を創造するためにも、文化的なアプローチは必要不可欠である。
 秋には県内各地域で「解放文化祭」や「人権フェスティバル」などがおこなわれる。そこでは何代にも渡り継承されてきた太鼓や三味線などの伝統芸能や、人権劇などが披露される。それらのとりくみをSNSなどのツールを活用し、積極的に発信していくことも、「差別を許さない」仲間の輪を広げることに繋がっていくのではないだろうか。
 良き伝統を引き継ぎながら、新たな文化を想像していくことが今、求められている。県連は地域の文化活動を積極的に支援する。今年度新設した「人権のまちづくり補助事業」などを積極的に活用し、地域の人権文化を創造していこう!


■戦争こそ最大の差別! 平和憲法を堅持し、自衛隊の軍備増強に反対しよう(8月5日号)

 参議院議員選挙が終了した。県連が推薦した安田真理候補は惜敗、みずおか俊一候補は見事当選を勝ち取った。結果的に改憲発議に必要な与党三分の二議席を阻止することができた。最小限の勝利である。
 ところで、G20のあと、アメリカのトランプ大統領は韓国を訪れ、文在寅大統領とともに軍事境界線上で金正恩議長と握手を交わした。2018年4月南北首脳が軍事境界線上で握手を交わし、手を取り合いながら南北を行き来してから約1年、今度はトランプ大統領と金議長が同じ行動をとった。確実に朝鮮半島の緊張緩和は維持され、平和的統一が現実のものとなりつつある。隣国として、またかつて東アジアを侵略し、朝鮮を植民地とした国家として、われわれは米韓朝の行動を支持する。
ただ一人、安倍首相だけが好戦的で軍備を増強し、日本を再び戦争をする国に強引にけん引していることに批判を集中しよう。韓国への高圧的な対応なども日本のためにならないこともいずれはあきらかになる。
 最近ではアメリカ製の陸上配備型迎撃ミサイルシステム(イージス・アショア)2基の国内配備について、その配備に関する調査で誤りがあったことが明らかになった。それでも安倍政権は配備を強行しようとしている。候補地とされた秋田市の新屋演習場、山口県萩市のむつみ演習場、どちらの周辺住民も「レーダー波(電磁波)による健康被害の不安」や、ミサイル基地となることから生じる「周辺地域を含めて標的となる危険性」を理由に、配備反対を訴えている。
 ミサイル迎撃については過去に米軍で味方に犠牲を出した事故も起こっている。湾岸戦争中の1991年2月25日、イラク軍より発射されたスカッド弾道ミサイルの迎撃が失敗した。それにより、スカッド・ミサイルは米軍の兵舎を直撃、米軍兵士28人が死亡し、100人近くが負傷した。
 さらに防衛省は今年3月、奄美大島の2カ所に駐・分屯地を開設し、警備部隊と地対空・地対艦ミサイル部隊計約550人を置いた。宮古島には約380人の警備部隊を配置したほか、2020年以降、ミサイル部隊も置き800人規模まで増強する。さらに沖縄県石垣島にも同様の部隊配備を決めており、600人態勢とする計画をもつ。
 国内の上空を、危険なオスプレイが飛行経路も非公開のまま我が物顔で飛び交っている。
 アメリカ軍や自衛隊の事故・事件も後を絶たない。軍備増強と防衛予算の増額に反対しよう。
 安倍首相は戦争法(安保法制)はじめ、日本を戦争する国にするために様々な悪法を強行採決してきた。
 まさにアメリカに従属し、自衛隊は米軍の指揮のもとに組み込まれようとしている。これ以上アメリカいいなりの軍備購入はお断りだ。消費税増税でなく、教育・福祉・医療に血税を投入させよう。8月に開催される反核・平和のとりくみに県連も奮闘しよう。


■長谷川豊、鳥取ループ等
  部落差別の確信犯に対する闘争に勝利しよう(7月5日号)

一 鳥取ループ・示現舎に対する裁判に勝利しよう。
 部落解放同盟と200人を超える個人が2016年4月、鳥取ループ・示現舎に対して損害賠償等を求め、東京地裁に提訴した裁判は、重要な局面を迎えている。この裁判は、鳥取ループ・示現舎がインターネット上に『全国部落調査』(全国の被差別部落の地名などを記載)、「部落解放同盟関係人物一覧」なるものを公開したことに対するものである。
 3月12日に第8回口頭弁論が開かれ、次は原告の意見陳述・証人尋問という段階になっている。
弁護団は248人の原告のうち15人を証人として東京地裁に申請した。厳しい部落差別の現実と、鳥取ループ・示現舎の行為がそれを一層拡散し被害者を増大させていることを裁判所に認識させる重要な機会である。
 被告・鳥取ループ・示現舎は、この機会を悪用し、反対尋問で彼らの主張を展開、原告に挑発行為をしてくることも予測される。すでに、原告の著作や講演記録などを調査しているとの情報もある。
鳥取ループ・示現舎はまた、法律の不備(差別禁止法の未制定など)をあざ笑うかのように全国の被差別部落を訪れネット上に晒している。そのサイトに「学術研究」と名前を付けて、部落差別情報を拡散するなど、そこに住む人の感情を逆なでにすることを確信的に行っている。
 彼らは「行政が隣保館の情報を提供しているのに、なぜ自分たちが紹介するのがいけないのか」と主張する。根本的に異なるのは、部落差別をなくそうとする意思があるかないかである。彼らにその意思はない。
 ネット上では情報が瞬時に全世界に拡散する。こうした差別行為を決して許してはならない。
 これまでの訴訟指揮を見ても、裁判官が部落差別を理解しているとは言い難い。原告の意見陳述を支援し、裁判所に部落差別を理解させ、鳥取ループ・示現舎の差別行為を認定させることが重要である。
 
二 日本維新の会全国比例区公認候補予定者だった長谷川豊の差別発言を徹底的に糾弾しよう。
 7月21日投開票の参院選で日本維新の会(以下、維新)の公認候補予定者だった長谷川豊が、部落民は「レイプ集団、プロの犯罪者集団」であるかのような、とんでもない部落差別発言をおこなっていたことが5月に明らかになった(前号既報)。その後、6月10日に公認を辞退したが、長谷川は居直りと自己弁護、挑発を繰り返している(1面参照)。
 5月22日に兵庫県連が出した抗議文に対して、長谷川本人・維新からの回答は今もって出されていない。
 維新は第三者委員会を開催しているが、公認取消・除名など党としての処分はしておらず、本人の公認辞退で幕引きしようとしている。維新に自浄能力がないことは明らかだ。
 今月、中央本部主催で確認会が開かれる。長谷川豊本人と日本維新の会への確認・糾弾闘争を強化することが重要である。


■選挙の名を借りたヘイトスピーチを許すな(6月5日号)

4月に実施された統一地方選挙では、全国で34人の組織内候補者が当選。県内では組織内候補9人と推薦候補19人の当選を勝ち取ることができた。それぞれの自治体で部落差別解消推進法の具体化、人権行政のさらなる推進が期待されるが、今回の選挙戦を通じて大きくクローズアップされたのが、公職選挙法を悪用したヘイトスピーチだ。
この問題については3月の第76回全国大会でも代議員からとりくみの強化を求める発言があった。
今回、在特会元会長の桜井誠が「日本第一党」の党首として、福岡県議選、神奈川県議選、東京都練馬区議選、京都市議選、大阪府八尾市議選などで12人の公認候補を擁立した。
また2011年に水平社博物館前で差別街宣をおこない有罪判決を受けた川東大了も政治団体「朝鮮人のいない日本を目指す会」の代表を名乗り、前回に続き大阪府枚方市議選に出馬。
県内では播磨町で「NHKから国民を守る党」から増木重夫が立候補した。増木も在特会関西支部長を名乗って小学校校長を脅迫した容疑で逮捕されたことのある人物である。「NHKから国民を守る党」の代表は、「森友問題で国有地が値下げされたのは同和絡みの案件だから」という悪質なデマ動画をyoutubeで大量に垂れ流した立花孝志(元葛飾区議、現在堺市長選に立候補)である。
結果的にはすべて落選したものの、かなりの票を獲得した候補者もいる。昨年10月の川西市議選では、徳島県教組襲撃事件(2010年4月)で有罪判決をうけた中曽千鶴子がやはり「NHKから国民を守る党」から出馬し当選した。
これまで中央本部を中心に法務省交渉などで選挙演説に名を借りたヘイトスピーチには厳しい対応を求めてきたが、法務省人権擁護局が3月12日付で「選挙運動政治活動等として行われる不当な差別的言動への対応について」という事務連絡を地方法務局に通知。
3月28日には、選挙運動と称しておこなわれるヘイトスピーチについて、虚偽の公表など刑事事件とすべきものがあれば適切に対応するようにと、警察庁から全国の警察に通知されている。
安倍政権が北朝鮮や韓国、中国を仮想敵国として仕立て上げ、国民感情を煽るような外交をおこなっていることが、ヘイトスピーチを「差別ではない。言論の自由だ」と言い張る歪んだ考えを下支えしている。
今夏に予定されている参院選挙は、人権と平和、民主主義の確立をめざす政治勢力を大きく結集させ、「多様性」や「寛容」という価値観を大切にする社会の実現に向けた重要な闘いとなる。みずおか俊一さん(全国比例代表)、安田真理さん(兵庫選挙区)の勝利を全力で勝ち取るとともに、選挙の名を借りたヘイトスピーチを許さず、この間の法務省人権擁護局の通知などをしっかりと活用し、部落差別解消推進法、ヘイトスピーチ解消法を実効あるものにしていくためのとりくみをすすめたい。


■改元に際し、天皇制強化に反対する(5月5日号)

 政府は4月1日、天皇の代替わりに伴う新元号を「令和」と閣議決定し、公表した。施行は新天皇即位の5月1日からとなる。
 天皇退位の日が2019年4月30日に決定されたのは2017年8月。カレンダー業界などをはじめ、早期の新元号決定を望む多くの声がある中で、今年4月まで発表が引き伸ばされてきたのは、安倍首相の強力な支持層である右翼団体、日本会議などの意向に配慮した結果である。
世界には、イスラム暦や台湾の民国紀元など、独自の暦を使う国もあるが、元々中国で生まれた元号制度を今も採用しているのは日本だけである。日本では、西暦645年の「大化」から「平成」まで247の元号があるが、明治以後は、一人の天皇につき一つの元号に限っており、「天皇の御代」を示すものとなってきた。
 1945年の敗戦後、元号はその法的根拠を失い、まったく明文化されなくなった。しかし、1979年、政府は「元号法」制定を強行し、「事実たる慣習」に法的根拠を与えた。この法制化に邁進したのが、日本会議につながる「元号法制化実現国民会議」である(日本会議は1997年、「日本を守る会」と「日本を守る国民会議」が合流して結成されたが、後者の前身が「元号法制化実現国民会議」)。
元号法は、「元号は政令で定める」「元号は皇位の継承があった場合に限り改める」の2つの条文のみで構成されている。明治憲法では天皇が決めるものとされていたが、元号法では「政令で定める」すなわち、内閣が定めることとなった。
 官公庁の作成する公文書のほとんどは和暦(元号)が用いられているが、市民はもとより行政文書に関しても、元号法に使用を義務づける規定はない。
 元号法制定時の国会審議に際して、政府は次のように述べている。
「公的な機関の手続なりあるいは届け出等に対しましては(中略)たって自分は西暦でいきたいという方につきましては、今日までと同様に、併用で、自由な立場で届け出を願ってもこれを受理する」(1979年4月27日、参議院本会議における三原朝雄総理府総務長官の答弁)
「強制する、拘束するものではないという趣旨を十分徹底して、行き違いがないようにいたしたい」(同、古井喜實法務大臣の答弁)
 このように、元号に強制力がないのは国会答弁からも明らかだが、実際はそうなっていない。被害届を出す際に西暦表記では受け付けられず、元号表記に直されたこともある。
 部落解放運動の先達、松本治一郎は「貴族あれば賤族あり」と看破し、天皇制強化に反対した。天皇制は人間を血統によって差別する制度である。部落解放同盟の現綱領でも「戸籍制度や天皇制などの人権を侵害する法や制度の改廃」を謳っている。私たちは天皇退位と新天皇即位、それに伴う改元にあたって、天皇制賛美や天皇制強化に反対する。
 国民主権・人権尊重・平和主義の憲法に即した対応を求めるものである。


■選挙闘争に全力で取り組もう(4月5日号)

 これまで長年にわたって人権教育・啓発が取り組まれてきたにもかかわらず、ヘイトスピーチは横行し、インターネット上では数多くの差別書き込みが掲載されるなど、依然として差別が社会に蔓延している。
2020年の改憲をめざす安倍政権は沖縄県の県民投票で7割が「反対」に投票した辺野古の海の埋立ても強行するなど、人権を無視した政治をおこなっている。まさに暴走状態である。
今年は3年に一度、半数が改選される参議院議員の通常選挙と、4年に一度の統一地方選挙が重なる12年に一度の選挙年。今月には第19回統一地方選挙がおこなわれる。前半戦となる県会議員選挙と神戸市議会議員選挙が4月7日、後半戦の市町会議員選挙が4月21日投開票で実施される。また姫路市、明石市、芦屋市の首長選も同21日に投開票される。
市町会議員選挙がおこなわれるのは、神戸市の他、姫路市、明石市、芦屋市、西宮市、伊丹市、宝塚市、相生市、三木市、小野市、播磨町、太子町である。この選挙は、県内自治体で人権施策を推進していくために重要なとりくみとなる。
 ◇  ◇ ◇
2016年の部落差別解消推進法の成立以降、条例を制定する自治体や既存の条例を改正する自治体が少しずつ増えている。3月には福岡県と奈良県で条例が公布・施行されたが、依然多くの自治体が「国の指示、動向をふまえて」という消極的な姿勢である。
兵庫県内では、たつの市と加東市で条例が制定されたが、条例制定には部落解放運動からの積極的なアプローチが必要不可欠である。今年、法務省が「部落差別解消推進法」第6条に基づく実態調査を実施する。自治体に部落差別事象の照会がされるので各自治体、教育委員会に対し、しっかり回答するよう要請したい。
また、インターネットモニタリングに取り組む自治体も増え、一定の成果はでてきているものの、鳥取ループ・示現舎による悪質な部落差別は放置されたままである。ネット上の対策も含め、法律の具体化や活用にむけたとりくみ、さらには障害者差別解消法、ヘイトスピーチ解消法とも課題を共有して、「人権救済」や「差別の禁止」規定を盛り込んだ法律の制定を引き続き求めていきたい。
さまざまな人権課題の解決を地域の中で実現していくために、地方自治体議員の役割はますます重要である。本人通知制度も「ひょうごヒューマンライツ議員の会」に結集する県会・市町会議員の協力が大きな力となり、県内すべての自治体で実施されるようになった。地方議会の役割をあらためて認識し、部落差別撤廃にむけた政策を実現させていかなければならない。
県連が推薦する人権派候補者の全員当選を勝ちとり、県内自治体での部落差別解消推進法を具体化する条例制定実現につなげよう。
この統一地方選挙は、7月の参院選にも大きく影響する。部落解放運動の前進のため、全力で選挙闘争に取り組もう!


■部落解放同盟兵庫県連第60回大会を成功させよう!(3月5日号)

 来る3月24日、部落解放同盟兵庫県連合会第60回大会を三田市総合文化センター「郷の音ホール」で開催する。
今年は兵庫県連が結成されて60周年の記念の年である。それに合わせ「60周年記念誌」を発行する。県連教宣部が中心となり、ひょうご部落解放・人権研究所の協力を得て、記念誌の編集に取り組んできた。
 大会では59期の活動報告と会計決算報告に次いで、60期の運動方針案と会計予算案を提案する。県連にとって一番大切なとりくみの一つである。全てのブロックから代議員を選出しよう。
 今年の県連大会で議論するポイントは次の点である。
1 部落差別解消推進法の周知と具体化、条例制定を実現すること。兵庫県内では法律の施行をうけて、たつの市と加東市で部落差別解消推進条例が制定され、施行されている。法律の施行以前に人権尊重・人権のまちづくり条例が三木市、篠山市、香美町、新温泉町で施行されており、有効な役割を果たしている。県内29市12町全ての自治体での条例の制定をかちとろう。
2 憲法改悪を許さないために参議院選挙で中央本部や県連が推薦決定している候補者の必勝を期する。また、統一地方選挙でも、地元・県連が推薦する候補の必勝をかちとろう。
3 県内被差別部落の少子・高齢化の現状を踏まえ、ブロック・支部の活性化にむけた新しい方策を検討する。従来のブロック活動助成金制度の見直しを行い、新たに人権のまちづくりを推進するための補助制度を創設する。このことについては2月16日に開催した県連委員会に提案し、承認された。
4 鳥取ループに代表される差別の確信犯に対する闘争を強化する。とりわけインターネット上での差別扇動・差別情報の氾濫に有効に対決する。
 東京地裁での「部落解放同盟関係人物一覧」に関する損害賠償訴訟に勝利する。中央本部は年内結審・判決をめざしている。兵庫県連からの原告24人を支え、鳥取ループを追い詰める闘争を強化しよう。
5 各ブロック・支部での活発な活動の情報を共有しよう。
 兵庫県は「日本の縮図」と言われており、被差別部落も同様に「日本の部落の縮図」と言われている。様々な状況下でしたたかに頑張っているとりくみの情報を共有しよう。そして、ブロック・支部・地域の活性化を図ろう。
6 青年・女性の組織化と世代交代の実現を図ろう。部落解放運動の要は青年と女性である。それぞれの得意な方法で、様々な課題を抱える青年、昨今の労働条件の悪化でより困難な状況に置かれている女性の組織化を図ろう。


■すべての人が希望の持てる解放教育を創ろう(2月5日号)

 子どもを取り巻く環境は厳しい状況にある。格差が拡大するなか、子育て困難な家庭が増えている。2016年に厚生労働省が発表した相対的貧困率(2015年)は15・6%。子どもの貧困率は13・9%で、7人に1人、約280万人の子どもたちが貧困状態で暮らしている。さらに、一人親家庭の貧困率は50・8%と非常に高く、「貧困の連鎖」が問題となっている。
 また経済的理由による進学の断念、中途退学、自死、いじめ、不登校、虐待被害など、どれもが大きな社会問題となっている。
 憲法改正の動きを強める安倍内閣は「強い日本を取り戻す」ためとして、「教育再生」を重点に掲げ、国家のための教育をめざしている。学校教育をめぐっては、「道徳」が教科化され、今年度から小学校で実施されている(中学校は次年度から)。これにともない、個人への思想信条や規範意識の押しつけなどが危惧されている。
 他方、部落差別をめぐっては、インターネット上の差別が深刻になっている。鳥取ループ・示現舎は、「部落探訪」と称して、「全国部落調査」を利用して被差別部落の様子をインターネット上に公開している。こうした悪質な差別情報への接触が子どもたちの部落問題との「出会い」となっている。
厳しい生活状態にある子どもに寄りそい、子どもの生きる力を育む解放教育・人権教育のさらなる充実と広がりが強く求められている。私たちは、これまで以上に学校・園、地域が一体となって「教育・子育て」について真剣に議論していかなければならない。そして、地域の実態や状況を的確にとらえたとりくみを通して、教育運動を構築していくことが重要である。
 また、障害者差別解消法、ヘイトスピーチ対策法、部落差別解消推進法が施行されて3年目となるが、これらの法律の具現化にむけ、教育に関する課題についても明らかにしていかなくてはならない。
 県連は今年も、ひょうご解放教育交流集会を「子どもたちのさまざまな現実に向き合い、すべての人が希望のもてる解放教育を創ろう!」をテーマに、2月24日、三木市立市民活動センターで開催する。
 全体会では、びわこ成蹊スポーツ大学客員教授の園田雅春さんによる「人権を基軸とした『道徳科』の授業づくり」と題した記念講演がある。「道徳」の授業に、いかに解放教育・人権教育の視点を入れていくのか、ともに考えていきたい。
 午後の分散会では、三木市、宍粟市、三田市、猪名川町、丹波市の小・中学校での「道徳」の授業のとりくみの報告を受ける。人権の視点を大切にした「道徳科」の授業とはどうあるべきかを話し合い、意見交換しながら、これからの解放教育・人権教育のあり方を考えていきたい。
 本集会に一人でも多くの参加を期待したい。


■2019年展望と課題(1月5日号)

安倍首相は昨年12月、臨時国会閉幕後の記者会見で、憲法を改悪し、2020年に施行をめざす考えを改めて表明しました。臨時国会では、独裁への道を開く緊急事態条項の創設や9条改悪を含む自民党改憲案4項目の提示が見送られましたが、予断を許さない状況にあります。
安倍第二次政権では、「集団的自衛権」行使を容認した憲法違反の安保法制=戦争法(2015年)、共謀罪創設(2017年)など、「戦争ができる国」へ法制度の改変が進められてきました。
 憲法改悪を絶対に許してはなりません。戦争は最大の差別であり、真っ先に犠牲になるのは女性や子どもたち、弱者です。
 また、「アベノミクス」で恩恵を受けたのはごく一部で、貧富の格差はますます広がっています。医療費負担の増大、年金改悪、生活保護費の削減など、社会保障制度の改悪も進み、生活は苦しくなる一方です。
こうしたなかで、すべての人の人権が尊重され、命とくらしが大事にされる社会をつくるために、たたかいを強化していかなければなりません。以下、県連としての今年の重点課題を明らかにします。
1 2016年12月に成立した部落差別解消推進法の周知と具体化を国や自治体に求めていきます。また第6条にある実態調査の実施を求めます。
県内では、たつの市、加東市で条例ができましたが、さらに多くの自治体での条例制定をめざします。また兵庫県や県内市町に基本計画の策定などおこなう審議会の設置を求めます。
2 インターネット上で部落差別が拡大するなか、対策をすすめるとともに、県内すべての自治体にインターネットモニタリングの実施を求めます。
 また、戸籍等の不正取得防止に抑止力をもつ登録型本人通知制度の徹底と登録者の拡大・内容の改善を求めていきます。
3 狭山再審の実現に向け、とりくみを強化します。
石川さんは今年80歳になります。今の第3次で再審をかちとるために、東京高裁後藤裁判長に事実調べと再審開始を決意させる要請行動等を強化しましよう。
4 財政基盤を確立し、組織の強化にとりくみます。財務検討委員会を設置し、県連財政や諸集会、活動などの見直しを図ります。
5 相談活動を強化します。安倍政権による福祉切り捨てにより生活が困窮化するなか、支部・ブロック・県連役員の相談スキルの向上を図り、地域での世話役活動を強化します。
 企業連との連携も強め、部落の事業者の事業の発展と雇用の確保に努めます。
6 共闘団体との連携を強化し、統一地方選挙や参議院選挙でも、生活と教育と平和を大切にする候補者の勝利をかちとりましよう。
議論を尽くさず次々に重要法案を強行採決し、生活の安寧と平和をおびやかす安倍政権の横暴をこれ以上許してはなりません。
7 部落解放運動の次世代への継承のため、県連の重要な組織である女性部と青年部の活動の活性化を図ります。そのための研修や活動を強化します。多くの団体との交流も図ります。