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2018年

■部落差別解消推進条例・インターネットモニタリングを自治体に実現させよう!(11月5日号)

 2016年12月に部落差別解消推進法が成立・施行されたが、現在の課題は法律の周知と具体化であり、市町による広報と条例化をすすめることが必要である。
県内では、たつの市が今年4月に条例を施行したが、これに続き9月26日、加東市でも条例を制定、施行した。加東市の条例でもたつの市と同様に、審議会の設置や実態調査の実施が明記されており、今後の人権政策の進展が期待される。
 2016年に施行されたいわゆる人権3法のなかで、部落差別解消推進法の認知度は他の2法(障害者差別解消法、ヘイトスピーチ対策法)に比べ低い。部落差別の解決にあたって国や自治体の責務は大きい。

 インターネット上では差別が拡散され、間違った情報が氾濫している。これを抑止する手段としてモニタリングが期待される。
今年度から兵庫県が始めたが、県内で早くからおこなっているのが尼崎市である。きっかけは2003年、尼崎市職員を実名で誹謗中傷するウェブサイトが立ち上げられるなどした事件だ。被害者が告訴したことによって警察が捜査し、発信者は同じ尼崎市職員であることがわかった(2007年に罰金刑確定)。被害者は民事でも損害賠償裁判を提起し勝訴した。その教訓から尼崎市は、同市在住者の人権を守るために、インターネット上で同市に関係する人々への誹謗・中傷がないか監視し、発見すると削除要求している。昨年1年間で117件の削除を要求し、96件が実際に削除された。部落差別解消推進法の施行もあり、削除の割合も向上している。
インターネットモニタリングはネット上の人権侵害対策としては効果があり、県内でも実施している自治体が増えている。一度公開されると瞬時に拡散されることは変わらないが、削除されることで少なくとも注意喚起にはなる。ヘイトスピーチを載せているのはごく限られた人物で、あとはシェアや拡散をしていることが多いという調査もある。確信犯的な人物の書込みを監視・削除することで、悪質な書込みは減少させることができる。

 インターネット上の差別をなくすために、プロバイダー責任法の改正も必要である。「差別的言動」が情報開示、損害賠償等の対象であることを明記しなければならない。
参考になるのが、ドイツのヘイトスピーチ規制法である。ドイツでは1960年にヘイトスピーチ規制がドイツ刑法典130条として制定されているが、2018年から、ソーシャルメディア(SNS)に対してヘイトスピーチやフェイクニュース、違法コンテンツの速やかな削除を義務付ける新法が施行された。規制対象は、利用者200万人超のSNSとメディア企業。これにより、「明らかに違法な」投稿を24時間以内に削除しないサイトは、最大5000万ユーロ(約64億円)の罰金を科せられる。
差別解消に向け、条例、モニタリング、法改正など、さまざまな手段でとりくみをすすめていかなければならない。


■鳥取ループ・示現舎の悪行を絶対に許さない!(10月5日号)

 全国の被差別部落の所在地や関係者の個人情報などをインターネット上に掲載してきた鳥取ループ・示現舎(以下、鳥取ループ)が、そのブログ内で「部落探訪」というトピックを作成し、全国の被差別部落を撮影。その記事をシリーズ化している。
9月30日現在、88回目となり、兵庫県内では神戸市、芦屋市、伊丹市、尼崎市、たつの市などの9地区が記事にされている。内容は言うまでもなく、彼らの被差別部落に対する予断と偏見に満ちた悪質極まりないものだ。隣保館のある地区では必ずと言ってよいほど館を訪問。中には館内を撮影し、職員と会話しているケースも見受けられる。
 県連では兵庫県隣保館連絡協議会へ情報提供するとともに、県内各館への注意喚起を要請する文書を7月10日付で出したが、兵庫県と県内各市町にもあらためて注意喚起しなければならないと考えている。
 また鳥取ループの「全国部落調査」復刻版出版事件裁判は、2016年4月の東京地裁への提訴(本訴)から2年半を迎えた。これまで弁護団は、差別情報がいったんネット上に流布すれば瞬時に拡散し、それを完全に取り消すことは不可能であり、未来にわたって人権侵害の発信源になり続けると主張してきた。そして、就職差別や結婚差別の前提にはすべて身元調査があったことを説明し、「差別にしか利用できないリストを作成し、利用可能な状態におくこと自体が差別の助長に直結する」と訴えてきた。それに対して鳥取ループは「身元調査なるものは解放同盟が勝手につくった根拠のないデマだ」と居直り、自身を正当化する主張をくり返している。まさに差別の「確信犯」である。
 横浜地裁相模原支部は、本訴に伴い申立てた、被告所有の不動産等の仮差押え申請を認め、被告の保全異議申立も却下した。その中で、「全国部落調査の内容を、不特定多数の者に広く知らしめようとする行為は、債務者に差別助長の意図があるか否かにかかわらず、実際には差別意識の形成、増長、承継を助長する結果となるであろうことは明らかであるし、そうなれば、差別意識や差別的言動を撲滅しようとしてきた国家やこれに添う活動をしてきた個人や組織の長年の努力を、大きく損なうこととなりかねない」と指摘した。至極真っ当な決定である。
 裁判はこれまで9回の口頭弁論で双方の主張がほぼ出揃い、このあと原告の陳述書の提出をふまえて証人尋問がおこなわれる。現在、県内26人を含む原告248人の陳述書作成作業をすすめている。次回期日は年を越す見通しだが、いよいよ核心に迫る段階に入る。
 この裁判は、部落解放運動や、部落差別をなくすために努力してきた国や地方自治体、企業、宗教団体、労働組合などの長年の成果を守るものであり、絶対に負けるわけにはいかない闘いである。兵庫の原告26人をしっかりと支え、鳥取ループを徹底的に糾弾する闘いを広げよう。


■朝鮮学校への差別を許さない(9月5日号)

 今年6月28日、修学旅行で朝鮮民主主義人民共和国を訪問した神戸朝鮮高級学校の子どもたちの土産品を関西空港税関が没収した。「任意放棄書」の署名まで強制したという。このあまりに酷い日本政府の対応に怒りを持って抗議する。
 この件に関して、自民党政調会長代理の片山さつき参院議員は「日本は粛々と法を執行しているだけで格別の意図は入っていない。明らかに差別ではない」と、抜け抜けとコメントした。しかし、日本人観光客は問題なく土産を持ち帰っているし、他県の朝鮮学校生も持ち帰ることができている。「制裁」の名の下に子どもたちの大切な思い出を奪い取る行為は明らかな「嫌がらせ」であり「差別」である。
 これまでも日本政府は、外国人学校の中で朝鮮高校生のみを高校授業料無償化から排除するなどの差別的な政策を取り続けてきた。私たち兵庫県連も日朝友好兵庫県民の会の構成団体として、月に1度、神戸朝鮮高級学校の生徒たちと共に無償化適用を求める街頭署名行動を展開してきているが、全国各地の朝鮮高校生たちが原告となって「無償化除外」裁判を闘っている。
 また文科省が2016年3月、地方自治体による朝鮮学校への補助金見直しを求める通達を出したことにより、全国各地で朝鮮学校への補助金を廃止する自治体が続出した。兵庫県は廃止こそしていないものの、県内12の外国人学校へ支給してきた「外国人学校振興費補助」に「教員の2/3以上が日本の教員免許を所有すること」という新たな交付基準を今年2月に設け、この要件を満たさない朝鮮学校6校への補助金を2分の1に大幅削減した。
 県連でも減額見直しを求める署名行動を展開しているが、これは日本が批准している国際人権規約、人種差別撤廃条約及び子どもの権利条約が禁止する差別に相当する。8月にジュネーブでおこなわれた国連人種差別撤廃委員会の日本審査でも、4年前の前回と同様、朝鮮学校への補助金問題について強い懸念が述べられたが、国際基準に照らしても極めて不当である。今年4月に南北首脳会談、6月に米朝首脳会談が実現し、東北アジアにおける平和実現の土台が固められつつある現在、無償化除外や補助金削減はこの流れにまったく逆行するものだ。
 今年1月に神戸で開催し、全国から4000人の参加者が集った第23回人権啓発研究集会では神戸朝鮮高級学校吹奏楽部がオープニングを飾ってくれた。演奏の合間におこなわれた生徒のアピールは多くの参加者の心を揺さぶった。彼女はアピールをこう結んだ。「互いに深くつきあいわかり合い、尊重しあえばきっと明るい明日が待っている。手をとりあい助け合う、そんな未来を、わたしたち自身が切り拓いていこう」
 街頭署名のときにいつも考える。日本の高校生たちが塾に通ったり、アルバイト、デートしたりするこの時間帯に、彼ら、彼女らはなぜ署名に取り組まなければならないのだろうかと。こんな厳しい状況の中でも「未来を切り拓こう」と呼び掛ける朝鮮学校生徒たちと共に歩み続ける部落解放運動でありたいと思う。


■女性部大会・女性集会を成功させよう‼(8月5日号)

 来る9月1日・2日、第23回兵庫県連女性部大会・部落解放第58回兵庫県女性集会が開催される。女性集会では、記念講演の講師に衆議院議員の辻元清美さんを迎える。
  
 安倍政権は「女性が輝く日本」の実現に向け政策を打ち出してきた。しかし現実はどうか。パートと派遣が半数を占め、何の保証もない中で働かざるをえない現実がある。子どもを預けて働こうにも保育所は不足し、待機児童問題は解決されない。男女平等社会、「女性の社会進出」を謳う国の言葉は嘘だらけだ。
 今国会で強行採決され成立した「働き方改革」関連法では、高度プロフェッショナル制度が創設され、労働時間規制が外された。今後、多くの職種への適用、長時間労働の助長、過労死の増加につながると懸念されている。
誰もが良い環境で働き続け、仕事と生活の両立が可能な社会を実現するためには、男女が働きやすい制度やシステム構築とともに、男女平等社会実現へ向けたとりくみが重要だ。
 
 マイノリティへの差別をめぐっても、差別事件は増発しており、公然化・悪質化している。鳥取ループ・示現舎による『全国部落調査』復刻版の再発行画策、ヘイトスピーチ、ネット上の差別書き込みなど、歯止めがかからない状況だ。
 狭山再審闘争も山場を迎えている。事件発生から55年を迎えた狭山事件は、部落差別を利用した警察・検察権力のでっち上げ犯罪、えん罪である。差別裁判であることを明確にし、「石川無実」の声を広め、石川一雄さんの無罪を勝ちとろう。
また、6月11日に袴田事件の再審が東京高裁に不当に取り消された。これを許さず、袴田巌さんの再審・無罪に向け、ともに闘おう。
  
 2014年に「子どもの貧困対策の推進に関する法律」が施行されたが、子どもを取り巻く状況は今なお厳しい。7人に1人の子どもが貧困の中にあり、社会保障制度や労働法の改悪などにより、貧困が世代を超えて連鎖し、深刻化している。子どもの最善の利益を尊重する社会構築が求められている。
 児童虐待問題、不登校、いじめなどに対する対策も重要だ。人権を大切にする保育、教育を実践していかなければならない。
 
 また、部落差別、女性差別、障害者差別など、複合差別に視点を置いたとりくみも重要だ。女性施策にマイノリティの声を反映させるために、男女共同参画審議会委員の一般公募にも積極的に応募しよう。女性部では、県連に「男女共同参画推進本部」を設置することをめざし、研修をおこないたいと考えている。
 こうしたとりくみをおこなうためには、女性部運動の発展、組織の拡大は最重要課題だ。女性が先頭に立って差別のない社会の実現をめざそう。国内外の女性たちと、反差別・反貧困のネットワークをつくり、人権・平和・環境・いのちと生活を守ろう。差別と闘うすべての女性の力を結集し、女性部大会・女性集会の成功をめざそう!


■青年部大会に結集しよう(7月5日号)

 働き方改革関連法案が5月31日、衆議院で強行採決、可決された。残業時間の規制強化と、一部の職種を労働時間の規制対象から外すという制度が盛り込まれたこの法案は、8本の法律の改正を一度に行うもので、6月4日に参議院本会議で審議入りした。
 「裁量労働制の拡大」は法案から外されたものの、働いた時間ではなく成果で労働の価値を評価する「高度プロフェッショナル制度」は除外されていない。この制度では、労働基準法32条が定めている1日8時間、週40時間を超えて労働させてはならないという規制が適用されず、1日に何時間でも働かせてもよいということになっている。今のところ「年間平均給与額の3倍を上回る水準として厚生労働省令で定める額(1075万円と想定される)」「一部の専門職」に限られてはいる。しかし、1986年の成立当初は一部の専門職種に限られていた労働者派遣法の対象が広がっていったように、いったん制度が導入されれば、規制が緩んでいくことが懸念される。法案には明確な金額は記載されておらず、ハードルは容易に下げられてしまう可能性がある。
 労働者の権利をないがしろにする法改正が、「非正規をなくす」「仕事の量よりも質で評価する」「多様な働き方を選択できる社会」といった言葉でごまかされて成立しようとしているこの状況は、働く部落の青年にとっても看過できないものだ。

 このような中、県連青年部は、7月22日にのじぎく会館で第25回大会を開催する。
8月には部落解放第50回全国高校生集会・第62回全国青年集会(以下、全高・全青)が神戸で開催される。県連青年部では、全高・全青の成功に向け、昨年12月に地元実行委員会を結成し、準備を進めてきた。
 2009年に姫路で全青が開催されて9年。この集会をきっかけに青年部常任委員となった青年が、今では青年部長をつとめている。今回の全高・全青でも、青年部にたくさんの人を呼び込み、つながりを広げていくきっかけとしたい。
常任委員は現在、4ブロックから6人を選出している。数も少なく、またそれぞれに仕事が忙しい中での活動であるため厳しい側面もあるが、いまだ残る部落差別を許さないという思いを軸に、ネットワークを大切にしながら青年部活動に取り組んでいかなければならない。

 第25回大会では、この1年のとりくみを振り返るとともに、これからの県連青年部の活動方針を確認し、全高・全青への決意を新たにする。
大会終了後は、映画『ある精肉店のはなし』(2013年)を上映する。この作品は、大阪・貝塚市の被差別部落にある精肉店を営む家族を追いかけたドキュメンタリー作品。牛のいのちと向き合い、また、部落解放運動に取り組んできた家族の様子が映し出されている。各地で上映がおこなわれてきたが、高校生や青年で観ている人は少ないと思う。ぜひこの機会に観ていただきたい。
 兵庫の青年部活動を前進させるため、青年部大会に結集しよう!


■南北首脳会談と朝鮮半島の緊張緩和を歓迎する(6月5日号)

一 4月27日、大韓民国(韓国)の文在寅大統領と朝鮮民主主義人民共和国(共和国)の金正恩朝鮮労働党委員長が板門店で、歴史上第3回目となる南北首脳会談をおこなった。
緊張状態が続いていた朝鮮半島で、非核化、休戦状態の朝鮮戦争終結と平和協定締結への動きが加速したことを歓迎する。
 劇的だったのは、境界線を挟んで笑顔で握手を交わし、首脳が北側から南側へ、そして南側から北側へ境界線を越えたことである。
 2000年、共和国を訪れた県連役員が境界線を越えるとどうなるか尋ねたとき、「両方から狙撃されます」と即答された。その頃とは雲泥の差である。

 会談では朝鮮半島の緊張緩和と非核化、南北関係の改善などが議題となった。「南北は完全な非核化を通して、核なき朝鮮半島を実現する」といった文言を盛り込んだ板門店宣言に両首脳が署名した。
 米朝首脳会談は流動的だが、朝鮮半島全体の非核化と軍事的脅威の解消に期待する。

 この間明らかになったのは、アメリカ追従の安倍政権の外交の失敗である。対共和国外交でも日本は蚊帳の外に置かれた。共和国への圧力だけを強調してきた安倍政権は世界の情勢に立ち遅れている。
 そもそも、朝鮮半島の分断の歴史に日本は無関係ではない。1910年に「韓国併合」を強行、大韓帝国を植民地支配した。1945年の解放後、北はソ連軍、南は米軍が占領。統一政府樹立を求める声は踏みにじられ、1948年に南北それぞれで選挙がおこなわれ、分断が固定化、東西冷戦の最前線となった。
 マスコミの報道も、こうした歴史的背景を踏まえたものはほとんどなかった。

 南北首脳会談の日、韓国の人々は統一旗を掲げ、祖国統一を訴えた。共和国でも「祝日のような雰囲気」だったと報道されている。
 日本でも、朝鮮半島の分断状況に大きな影響を受けてきた在日コリアンの人々が歓迎の思いを表明した。
朝鮮半島の融和に向けた動きを支持し、祖国統一に奮闘する韓国朝鮮の人々の運動を支援しよう。

 南北首脳会談がおこなわれた4月27日、名古屋地裁は、高校授業料無償化の対象から外された愛知朝鮮中高級学校卒業生の、国への慰謝料請求を棄却した。同種の訴訟では、大阪地裁で「政治的理由で排除しており違法」として朝鮮学校側が勝訴したが、広島、東京各地裁では原告敗訴となっている。政治的な意図を感じざるを得ない。
 地方自治体による補助金も、無償化除外や共和国の核実験の影響などで減額、打ち切りをする自治体が相次いだ。兵庫県は今年、新たな支給要件を持ち出して2分の1を減額した。
 無償化除外や補助金削減は、国連人権差別撤廃委員会から再三是正勧告を受けている。教育を受ける権利の侵害であり、国や自治体による差別に他ならない。
朝鮮半島の劇的な変化に対応しきれていない日本政府と自治体に猛省を促し、当面、朝鮮学校への補助金の大幅削減などの差別的取り扱いを即刻是正するように求めよう。


■5・23狭山事件の再審を求める市民集会に結集しよう!(5月5日号)

1 えん罪55年、寺尾差別判決から44年、第3次再審闘争から12年。いま、狭山事件は大きな山場を迎えている。
 第3次再審請求で提出された新証拠は197点。石川一雄さんの無実は明白になっている。
 まず、有罪の重要証拠となっている万年筆。確定判決である東京高裁寺尾判決では、石川さんは被害者から奪った万年筆で脅迫状を訂正、その万年筆を自宅の鴨居に隠したとされ、それを自白にもとづき発見したとしている。
これについて2016年8月、下山鑑定が提出された。鑑定人の下山進博士は文化財に使われた素材、色材を破壊しない方法で分析する研究者である。この鑑定により、発見された万年筆には、被害者が常用していたジェットブルーインクがまったく入っておらず、成分の違うブルーブラックインクしか入っていなかったことが証明された。
また、2017年1月提出の川窪第3鑑定では、第3次再審以降開示された証拠をもとに、発見された万年筆のペン先は細字だが、脅迫状訂正箇所は中字のペン先で書かれており、まったく別物であることを、万年筆の製造・修理の専門家の知見から明らかにした。
すなわち石川さん宅から発見された万年筆は事件とは関係なく、ねつ造されたことを示している。
 今年1月15日には福江潔也・東海大学教授の筆跡鑑定を提出。福江教授は、犯人が書いた脅迫状と石川さんの上申書・手紙を対象にコンピュータによる異同識別をおこない、「平均識別精度99・9%であきらかに別人により筆記された」と結論づけた。警察の従来の筆跡鑑定と違い、字形の情報を数値化し、客観的に比較できる。これにより、有罪判決の決め手となった脅迫状は石川さんが書いたものではないことが明らかになった。
同日提出の魚住和晃・神戸大学名誉教授の筆跡についての意見書は、石川さん逮捕の根拠とされた警察の筆跡鑑定の中間鑑定の誤りと恣意性を指摘したもの。5月21日に石川さん宅で上申書を書かせ、県警鑑識課の中間回答で同一人の筆跡とされたことを根拠に逮捕状を請求、23日逮捕したことについて、予断に満ちた不当な捜査だったと指摘。捜査に問題はなかったとした有罪判決の誤りを明らかにした。寺尾判決はすでに瓦解している。
4 狭山事件のドキュメンタリー映画『SAYAMA みえない手錠をはずすまで』の金聖雄監督の新作『獄友』が完成、各地で劇場公開が始まっている。石川一雄さんはじめ、足利事件の菅家利和さん、布川事件の桜井昌司さん、杉山卓男さん、袴田事件の袴田巌さんらの闘いと連帯が描かれている。狭山事件の真相と石川無実を多くの市民に知ってもらうために上映運動に協力し、パネル展や集会とあわせて上映会を企画しよう!
 世論を大きくし、後藤眞理子裁判長に鑑定人尋問などの事実調べ、再審開始を求めよう! 5月23日には「狭山事件の再審を求める市民集会」が開催される。みんなの力で日比谷野外音楽堂を埋め尽くそう!


■種子法廃止で何が起きるのか(4月5日号)

種子法(主要農産物種子法)とはなにか
この法律をどれだけの人が知っているだろうか。
主要農作物である、米や麦類、大豆について優良な種子の安定的な生産と普及を〝国が果たすべき役割〟としていたのが種子法であり、1952年5月に制定された。
この種子法に基づいて、国は予算を措置し、各都道府県に義務付けてきた。都道府県は自ら普及すべき優良品種を指定し、原種と原原種の生産、種子生産圃場の指定、種子の審査制度などが規定されてきた。そして、それぞれの地域に合った品種に改良され、農家に安く提供され、これまで引き継がれてきたのである。それは、「二度と国民を飢えさせない」「国民に食料を供給する責任を負う」という、国の意思の表れであった。
これらの大切な営みを支えてきた種子法が十分な論議もないまま、昨年4月に国会で廃止が決まり、今年4月1日で廃止された。しかし、メディアでもほとんど報じられていない。

なぜ今、種子法廃止なのか
政府や農林水産省は、「国が管理する仕組みが民間の品種開発意欲を阻害している」と説明する。これまでも民間参入が禁じられていたわけではないが、法廃止の背景には民間企業、特に遺伝子組み換え種子市場で90%以上を占めるモンサントなど外国企業の参入を積極的に進める思惑があると言われている。そうであれば一部企業の利益のためだけに種子が改良、画一化され、売られていくことになる。モンサントと提携する住友化学などは、すでに米の新品種を開発、実用化しているが、特性が遺伝されないF1品種のため、毎年種籾を買わなければならない。また昨年5月に成立した農業競争力強化支援法には「都道府県が有する種苗…に関する知見の民間事業者への提供を促進すること」とあり、企業は、ただ同然で入手した材料を基に改良を加え、独占的な販売権を得ていくことになる。
種子法廃止は、遺伝子組み換え作物とも無縁ではない。安全性が疑問視され、海外では健康被害が報告されているが、すでに多くの食物でおこなわれている。種子法廃止で間違いなく加速される。

種子は「公共の資産」
農業は単に食物を作っているだけではない。日本には小規模農家が多く、それぞれが努力を重ね、力を合わせながら地域を大切にし、食物の安全、味を大切に守ってきた歴史がある。被差別部落もまた例外ではない。種子法廃止は、この営みを壊し、生活基盤を奪い、私たちの「食」の安全、種子の多様性、環境も壊していく。
種子はもともと自然の中にあるもので、先人たちが改良に努めてきた。種子法にあった「公共の資産」という認識を廃し、人間が生きるために必要な食物の種子を一部の企業が独占することを許してはならない。
私たちは今一度、種子の大切さと農業、そして食の安全について真剣に考えなければならない。


■第59回県連大会を成功させよう!(3月5日号)

 来る3月25日に小野市うるおい交流館エクラにて部落解放同盟兵庫県連合会第59回大会を開催する。
 大会で議論する主な内容は以下のとおりである。

 今大会では通常の活動総括と決算審議、方針・予算論議に加えて、県連役員改選もおこなう。少子高齢化、過疎化の中で、兵庫県連に結集する同盟員も減少している。支部の存続も厳しい状況にある。改めて解放運動、支部の在り方の検討が必要である。

 支部・ブロックの活性化も長年の懸案である。県連は従来からブロック活動助成や集会参加助成をおこなってきたが、農業や山間地でいきいきと生活できる有効な方策がさらに求められている。農水省の補助事業は多岐にわたるが、必要な情報が当事者に伝わっていない。農業運動部で幅広く同盟員に呼びかけて農業について検討する場を設けよう。

 安倍政権が今国会に提出をめざす「働き方改革」の関連法案は、これまで労働運動が勝ち取ってきた働く者の権利を奪う内容である。過労死ラインをこえる残業を許したり、実質残業代をゼロにしたりすることが含まれている。法案の根拠として政府が示した統計資料等は、多くの誤りが指摘されるずさんなものである。何がなんでも悪法を通そうとする安倍政権の暴走をこれ以上許すわけにはいかない。
 同盟員の多くは労働者であり、その生活を守るとりくみをすすめる。

 部落差別事件が後を絶たない。県連に直接同和地区の問い合わせをしてくる事例や差別文書を郵送してくる事例、結婚差別の相談もある。
差別事件に対しては、当事者の気持ちに寄り添い、関係者と協議していくことが重要である。悪質な事件には、差別糾弾要綱にのっとり、毅然とした対応をしていく。

 一昨年末に成立・施行された「部落差別解消推進法」の周知と具体化をすすめる。また、法律第6条に規定されている「部落差別の実態調査」の実施を行政に求めると共に、運動の側でも部落の実態を把握するとりくみを進める。
 昨年の県連大会後も県内各ブロック懇談会を実施し、ブロックや支部・地域が疲弊しているのを感じてきたが、的確な実情を把握しているとは言いがたい。現状を正しく把握してこそ、それを打破する方針やとりくみが展開できる。県連としても実態把握に取り組んでいく必要がある。
 昨年末、たつの市で「部落差別解消推進条例」が県内で初めて成立、4月に施行される。条例では審議会の設置も明記されている。審議会委員に当事者を選出させ、効果的な論議をすることが次の課題である。県内全ての自治体でも条例の制定を追求しよう。隣保館の運営審議会等でも部落差別の実態を公式に論議する場を設けよう。

 小野大会で、強固な執行部を選出しよう。
 代議員の積極的な議論で大会を成功させよう。


■子どもの生きる力を育む同和・人権教育をめざして(2月5日号)

 安倍首相の年頭記者会見で「年内改憲発議」を視野に入れた発言があった。また、「国民を守るための真に必要な防衛力の強化に取り組」むことを強調した。安倍政権は「強い日本を取り戻す」ための「教育再生」を重点に掲げ、国家のための教育をめざしている。今年4月より「道徳」の教科化が小学校で実施される(中学校は来年から)。愛国心を高め、統制する教育内容となる可能性は高く、今後もこの動きを注視してかなければならない。
 一方、人々の暮らしと言えば、2015年に実施された厚生労働省の国民生活基本調査における「子どもの貧困率」は13・9%と依然として高い水準になっている。子どもの7人に1人が貧困状態にあり、「貧困の連鎖」が問題になっている。また、いじめや不登校・虐待・中途退学・自死など、どれもが大きな社会問題となっている。
 兵庫県では5年に1度、「人権に関する県民意識調査」をおこなっているが、被差別部落の人との結婚に関する意識を問う設問に対する否定的な回答の増加など、人権意識の後退が加速していることが明らかになっている。また、「全国部落調査復刻版」の発行販売の動き、インターネット上での差別書き込みなど、悪質な差別事件が続発している。こうした中で人権教育の充実は一つの大きな課題だが、学校教育で部落問題について教える自信がない、どう教えてよいか分からないという教員が少なくない。
2016年には差別解消に向けて「障害者差別解消法」「ヘイトスピーチ対策法」「部落差別解消推進法」が施行されたが、これらの法律の具体化にむけ、教育に関する課題を明らかにしていかなければならない。
 厳しい生活状態にある子どもに寄り添い、子どもの生きる力を育む同和教育のさらなる充実と広がりが強く求められている。そのためにも、地域の実態や状況を的確にとらえたとりくみを通して、教育運動を構築していくことが重要だ。
県連は今年も「第9回ひょうご解放教育交流集会」を「子どもたちのさまざまな現実に向き合い、すべての人が希望の持てる解放教育を創ろう!」をテーマに、2月25日、淡路市のサンシャインホールで開催する。
 オープニングでは、南あわじ市立南淡中学校の生徒による人形浄瑠璃を予定している。また全体会では、天理大学の冨田稔さんの「人権教育の視点で『道徳』を考える」と題した記念講演がある。
午後の分科会では、神戸市の番町地区のとりくみ報告と、淡路市、洲本市、南あわじ市、加古川市の小学校・中学校・高等学校で、部落問題がどのように教えられているのかの報告を受け、これからの人権教育の在り方について話し合う。
本集会に一人でも多くの参加を期待したい。


■2018年展望と課題(1月5日号)

 2017年は、前年に施行された人権に関する3つの法律(部落差別解消推進法、障害者差別解消法、ヘイトスピーチ対策法)をいかに周知させ、具体化し、活用するのかが問われた年でした。
 一方で、「共謀罪」創設の強行など、安倍政権下で「戦争のできる国」へ向けた法制度の改変がなされ、10月には「森友・加計学園」疑惑を隠すため衆議院解散総選挙が突然おこなわれました。野党の混乱の中、自民・公明の与党が改憲発議に必要な3分の2以上の議席を獲得し、平和主義、基本的人権の尊重を謳った憲法の改悪に向けた論議が今後、本格化されることが危惧されます。
国連では昨年7月「核兵器禁止条約」(条約を推進した「核兵器廃絶国際キャンペーン」〈ICAN〉が今年のノーベル平和賞を受賞)が提案されましたが、日本政府は参加せず、反対しました。アメリカのトランプ大統領は朝鮮民主主義人民共和国のミサイル問題に対し挑発を繰り返し、中東問題ではエルサレムをイスラエルの首都と認めるなど緊張を招く発表をおこなっていますが、安倍首相は追従するだけで、緊張緩和に向けた努力をおこなっていません。
こうした中、すべての人の人権が尊重される平和な社会の実現をめざし、たたかいを一層、推し進めていかなければなりません。以下、県連としての今年の重点課題を明らかにします。

1 平和憲法の改悪を阻止することです。国会内の状況は極めて厳しいですが、決して諦めず、あらゆる機会と手段を駆使し安倍首相の狙いをつぶしましょう。共闘の仲間とともに具体的な行動を展開します。

2 第32回人権啓発研究集会in神戸の成功をかちとることです。部落差別解消推進法施行一年後の成果を確認しましょう。

3 部落解放第50回全国高校生集会・第62回全国青年集会の成功をかちとることです。多くの若者が疲弊し希望と展望を失い諦めてしまっている現実があります。兵庫の解放運動に結集している若者も多くはありません。しかし、兵庫での青年部運動や反戦・平和のとりくみは確実に続けられています。一人でも多くの若者の集会への結集と運動の継続を追求します。

4 部落差別解消推進法施行を背景に実態調査の実施と条例制定を求めていきます。県内では昨年末、たつの市で初めて部落差別解消推進の条例が成立しました。今後の具体的な施策が期待されます。

5 引き続き支部・ブロック・県連の活性化に取り組みます。昨年もブロック懇談会を開催し各地の現状を認識し、手だても講じてきました。県連として初めて活動者合宿もおこないました。引き続き組織の強化に取り組みます。

6 差別事案が氾濫するインターネットへの取り組みを強化します。県内でモニタリングも3市で実施されており、県も検討に入っています。県連でも専門家と連携しながらインターネット対策をすすめます。具体的にはウェブサイトの活性化、情報発信強化をおこないます。