本文へスキップ

〒650-0003 神戸市中央区山本通4丁目22番25号

TEL078-222-4747(代) FAX078-222-6976

2016年

■今後の運動強化へ向け、57期支部長研修会に結集を(12月5日号)

 県連は12月18日、私学会館で57期支部長研修会をおこなう。今年は片岡明幸中央本部副委員長を講師に迎えて、「「全国部落調査」復刻版事件と狭山再審闘争の現状について」学習を深める。
 9月26日に召集された第192回臨時国会では、自公民の議員立法として第190回国会に提出された「部落差別の解消の推進に関する法律案」が審議されている。11月17日に衆議院本会議で可決され、参議院へ審議の場が移った。今国会の会期は11月30日までであり、時間的には厳しいものがあるが、研修会ではその結果について詳しい報告もされる。
 この法案は、日本に部落差別が存在することを認め、その解消のための責務を国と地方公共団体に課している。また部落差別の実態調査をおこなうと明言している。何より、時限立法でなく恒久法である。これらの積極面を活用していくことが重要である。
 部落差別事件は再び増加しているというのが私たちの実感である。鳥取ループ・示現舎に典型的な「確信犯」による差別事件が横行している。
鳥取ループ・示現舎は、「部落地名総鑑」の原典となった戦前の「全国部落調査」の復刻版を発行しようとした。部落解放同盟などの抗議と差し止め裁判によって出版できなくなると、インターネット上に部落の所在などを公開した。未だに部落差別が存在する中で、差別に苦しみ、他者によって出自を暴かれ、最悪の場合には悲惨な結末になる現実がある。それらを見ようとしない愉快犯を許すわけにはいかない。ネット上で部落解放同盟関係人物一覧として公開された関係者が4月、東京地裁にウェブサイトの削除や損害賠償を求めて裁判を起こした。鳥取ループ・示現舎を公判の場に引きずり出し、糾弾する闘いである。
 日本の人権、平和をめぐる状況は厳しさを増している。憲法違反の「戦争法」強行から1年、「駆けつけ警護」の新たな任務を付与され、陸上自衛隊(青森・宮城・岩手・秋田の部隊350人)の先発隊が南スーダンに到着した。現地では大統領派と反政府勢力が激しく対立し、7月には大規模な戦闘で数百人が死亡している。自衛隊が外国で人を殺し、また殺される危険が現実のものとなりつつある。
 沖縄・高江では、政府が米軍ヘリパッド建設工事を自衛隊法・警察法に違反しながら強行している。
 このような状況の中、支部長研修会で日本の部落問題と人権の現状を再確認し、今後の運動強化の糧とすることが求められている。


■隣保館マルシェ2016を成功させよう(11月5日号)

  昨年に続き、兵庫県隣保館連絡協議会主催の「隣保館マルシェ2016」が12月10日、加古川市人権文化センターで開催される。
 マルシェとは、フランス語で市場、物産展という意味である。流行りの言葉、イベントであり、全国各地で様々なマルシェが開催されている。今年の5月、農林水産省と厚生労働省が東京・有楽町駅前で、農業分野と福祉分野が連携した「農福連携マルシェ2016」を開催、障害者就労施設での農業の取り組み状況の紹介や、障害者による生鮮野菜等の展示・即売会が実施された。このように様々な分野で、マルシェの持つ効果が注目されている。
 「隣保館マルシェ2016」は、加古川市・全国隣保館連絡協議会も後援し、ステージ発表、部落の食文化体験、地域の物産展、工作教室等が企画されている。
 ステージ発表ではレザーファッションショー、子どもチャンゴ、子ども和太鼓、チンドン屋等、部落の食文化体験では、ホルモン鍋や肉めしをはじめ、ブラジル料理、ベトナム料理、たこ焼き、メンチカツ、餅つき等、盛りだくさんな内容となっている。革細工の工作や農産物・皮革工芸品の販売、フードバンク・こども食堂の紹介、各隣保館の特色ある活動紹介コーナーも準備されている。
 県下各地から多くの関係者や市民が広く集い、様々な料理を一緒に食することによって話に花が咲き、なごみ、理解と連帯が進み、絆が深まっていく。「学びの場」「つながりを深める場」として、マルシェの持つ力・効果は大きい。
 隣保館マルシェは、ひょうご部落解放・人権研究所の特別事業である隣保館専門委員会の協議の中から、新たな発想として生み出された企画である。
 隣保館専門委員会は2011年、情報共有、課題解決への検討をおこなうことを目的として設置された。
 隣保館は、地域住民の福祉の向上、人権啓発・住民交流の拠点として大きな役割を果たしてきた。しかし、統廃合、集約化、拠点化、指定管理者制度への移行等が進み、ピーク時には全国964館(1993年)、兵庫県94館(2001年)あったものが、現在では全国821館、兵庫県85館となっている(全隣協加盟館)。 地方自治体の財政事情によって地域へ払い下げられ、集会所化していく事例も増えている。
専門委員会では3年間、隣保館の歴史的経緯や法律との関係、具体的な運営状況、先進事例等を研究してきた(先進事例の中には、生活困窮者自立支援制度に基づく相談事業をおこなっている隣保館の報告もあった)。そして、隣保館のあり方や活性化のための具体的な取り組みについて協議を重ねてきた。
 隣保館マルシェは、このような議論の中で提案されたものであり、今後の隣保館の活性化につながるものと期待されている。
 県連としても、隣保館マルシェ2016をぜひ成功させなければならない。県下各地から、加古川市人権文化センターに集おう。


■新証拠の学習会をおこない、10・31狭山集会に結集しよう(10月5日号)

「人格を疎外されしも今年こそ吾は無罪で復権果たす!」
(石川一雄さんの短歌より)

 私たちはこれまで「狭山闘争の勝利なくして部落の解放なし」と、幾たびの権力の弾圧にひるむことなく、石川さんの無実を叫び続けてきた。そして狭山の闘いは人間の尊厳を奪い返す闘いであると確認し、多くの人々と連帯してきた。
 第3次再審請求から10年。今、狭山は大きく動いている。
 この間、第28回(5月25日)、第29回(8月29日)の三者協議が東京高裁でひらかれている。
弁護団は5月23日、再審請求補充書を東京高裁に提出した。これは、裁判所の勧告によって47年ぶり(2010年)に証拠開示された取り調べ録音テープを、新証拠である浜田鑑定、脇中鑑定をふまえて分析したもの。自白の不自然な変遷が取調官の誘導によるものであることや、犯人でないゆえに、石川さんが犯行内容をまったく知らないことが明らかになっている。警察は、石川さんを犯人と決め付けて長時間の取り調べを連日おこない、肉体的、精神的に打撃を与え続ける中で自白を迫っている。そして、疲労困憊の石川さんに、面識があった関巡査を投入し、これまでの人間関係を利用して虚偽の自白をさせた。石川さんの自白はそのようにつくられたものである。
 また弁護団は8月22日、確定判決である寺尾判決をつきくずす重要な新証拠である下山鑑定(デンマテリアル株式会社色材科学研究所下山進博士作成)を東京高裁に提出した。寺尾判決は、被害者の鞄、万年筆、腕時計が「自白」通りに発見された(秘密の暴露)として、有罪判決を出した。中でも石川さんの自宅で「発見」された万年筆は特に重要な証拠とされてきた。下山鑑定はこの万年筆について、起訴後(1963年)に科学警察研究所の荏原技官がおこなった警察側鑑定を検証し、被害者が事件当日まで使っていたインクがまったく入っていないことを証明した。万年筆が被害者のものではなく、偽物であったことを科学的に明らかにしたもので、無実の決定的証拠である。「殺害後、被害者の万年筆を奪って自宅の勝手口のカモイに置いた」という石川さんの自白がくずれるだけでなく、証拠のねつ造を示す新証拠だ。
 10月31日は寺尾判決から42年目にあたる。弁護団が提出した新証拠、特に万年筆インクについての下山鑑定や取り調べ録音テープから作成された再現DVDによる学習会、情宣行動を各地ですすめ、「えん罪53年」とともに、寺尾判決以来42年もの間、一度も事実調べがされていないという不当性・不公平さをアピールしよう。そして、10月28日に東京・日比谷野外音楽堂でおこなわれる「10・31 狭山事件の再審を求める市民集会」に結集しよう!

■対県要望をふまえて 各自治体要望の作成を(9月5日号)


 7月の参議院議員選挙で改憲派が3分の2以上を占めたことにより、現行の平和憲法が非常に危うくなっている。政府は参院選の翌日から、それまで中断していた沖縄・高江の米軍ヘリパッド建設工事を強引に再開した。本土から数百人の機動隊を増員し、反対する市民を暴力でもって排除している。政府が無法地帯を作り出している。
 国民主権、平和主義、基本的人権を尊重する憲法を守り抜き、より生活面で具体化させるためにも、今年も部落解放にむけて、兵庫県に要望行動を展開する。

 具体的には各闘争部で担当項目を検討し、9月の執行委員会でまとめる。予定している項目は、①人権侵害救済および人権啓発、②同和行政・人権行政の推進、③男女共同参画社会の実現、④労働・就労支援、⑤生活、⑥産業、⑦農業、⑧人権保育、⑨部落解放同盟兵庫県連合会が主催・共催する各種集会への支援の9点。教育に関わる要望は、兵庫県教育委員会に対してすでに別途提出済みである。
 人権擁護を推進する上で、法整備は不可欠である。兵庫県はこれまでも人権政策確立を国に要望しているが、対県要望では引き続き、人権侵害救済法の制定に向けた県としての取り組みを求めたい。当面は、継続審議となっている「部落差別解消の推進に関する法律案」の早期成立への取り組みについても要請する。この法案には「実態調査」が盛り込まれているが、実施のための準備をあわせて要請する。
 また、兵庫県は「人権に関する県民意識調査」を独自に5年ごとに実施しており、前回の2013年調査から5年になる2018年にも確実に調査を実施することを求める。
 さらに、生活と雇用を守る施策の充実、事業展開に対する支援等も要請する。

 今年、重点を置くのは、TPP対策についてである。
 安倍首相は6月2日の日本経済団体連合会の総会で、経団連などが強く求めているTPPについて「次の国会で承認を求め、早期発効を目指す」という考えを表明した。経団連や日本商工会議所など財界トップからは、11月におこなわれるアメリカ大統領選の候補者が共和党、民主党ともTPP反対を表明しているなかで、日本がリーダーシップをとってアメリカなど参加各国の国内手続きを促すことも要請されている。
 TPPは農業だけが強調されているが、実際は保険や医療などへも大きな影響がある。
兵庫県に対して、TPPが発効した場合の県内関係者に及ぼす影響予想の情報提供と対策を求めるとともに、承認に反対していくことが必要である。
 対県要望と同時に、各支部、各地域でも、それぞれの自治体に対する要望をまとめ、その実現にむけて行動するように訴える。


■ 改憲への流れを止めよう 夏の平和運動へ結集を(8月5日号)

 先月の参院選で「憲法改正」いわゆる「改悪」を進める勢力がいよいよ3分の2に達してしまった。開票直後の会見で安倍首相は、選挙中は争点にしなかった「改憲」を「公約には入れている」と言い張り、いよいよ「だまし討ち改憲」に踏み切るのではという危機的な状況となってきた。公明党は今のところ改憲には慎重な立場をとっているようだが、いつまで続くやら心もとない状況だ。2012年に出された自民党改憲草案を読めば明らかだが、改憲で目指すところは人権の抑圧、国家主義・全体主義であり、戦争への道を開くことである。
 現在、南シナ海や南沙諸島などでの中国の行動や北朝鮮のミサイル開発などに対し過大な報道がなされている。政府は国民の不安を煽り、戦争のできる国づくりへの賛同者を増やそうと躍起になっている。そして軍備増強や、はては核武装論まで飛び出す始末である。しかし、一歩足を止めて考えてみよう。軍備増強や核武装で平和が保てるのだろうか。相手がそれ以上のものを持てばさらにエスカレートし、際限なく軍備拡張していくのは明らかである。このような状況の中で対話による外交の力でしか解決の道がないことは、多くの国民が感じていることと思われる。だからこそ今なお改憲反対が賛成を上回っている(7月25日「日経新聞」電子版)と考えられるのである。

 世界各地で引き起こされているテロも、その根底にあるのは差別と貧困、絶望であるという指摘もある。それらを生んだのは何なのか、どうすればその中から希望の光を見つけることができるのか、根底に目を向けなければならない。力での対抗、監視社会や人権制限でテロが防げるわけではないのだ。

 5月の沖縄復帰の日に合わせておこなわれる「沖縄平和行進」に始まる夏の平和運動は今ピークを迎えている。7月に県内各地域を走り抜ける「平和の火リレー」、8月6日広島・9日長崎でおこなわれる「原水禁大会」、さらに15日の「敗戦の集い」、そして県内でも各地でおこなわれる「平和の集い」など平和運動が最も熱く燃えるのがこの時期である。ここ数年、参加者が減少し、さらに戦争体験者、被爆体験者の減少・高齢化などにより、平和への熱い願いそのものが伝わりにくくなっている現状があるが、一人でも多くの皆さんの結集を望みたい。

 敗戦から71年、今ほど平和への危機感を感じる時は無かっただろう。このままの状況が続けば、やがて「緊急事態条項」を皮切りに次々と改憲への土壌づくりが進んでいくだろう。国民がそうした動きに慣れてしまって危機感が薄れたときが最も危険なときである。この危険な流れを押し返すのは今しかない。今行動を起こさなければ、ますます行動しにくくなっていくのは目に見えることだ。「こんなはずではなかった」と後悔してももう遅い。


■第23回青年部大会へ 悩みを話し合いつながろう(7月5日号)

 5月に衆議院本会議で「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」(ヘイトスピーチ解消法)が可決・成立した。「差別的言動は許されないことを宣言する」が差別禁止規定をおかない理念法で罰則はなく、国や自治体に求められる相談体制の整備や教育・啓発などの施策についても努力義務にとどまる。
 また、民進・自民・公明の9議員が「部落差別の解消の推進に関する法律」案を衆議院に提出した。国と地方公共団体の責務、相談体制の充実、教育と啓発の実施、国による実態調査を柱にした法案である。5月25日の法務委員会で継続審議とすることが決まった。
 二つとも十分ではないが、個別法のつみあげを差別禁止法の足掛かりとしなければならない。
 そして、目前には参議院議員選挙を控える。
  昨年に改正された公職選挙法によって、国政選挙では今回初めて18歳以上が選挙権をもつ。国会での出来事はなかなか身近に感じにくいが、昨年の安保法制の議論・採決にいたる経緯では、若い世代や母親たちも含め、反対の波が大きくなった。国会で決められることが自分たちに関わってくることだという実感をもてた人、そしてその状況が決してよいものではないことを理解しえた人が、具体的な声をあげるに至っている。関心をもつこと、声をあげることは、大切なことである。若い世代への呼びかけとともに、「18歳から選挙権」をひとつの契機にして、考え、行動していかなければならない。
 熊本県を中心に4月に発生した九州地方の地震では、甚大な被害が出た上、先月の豪雨によって土砂崩れや広い範囲での冠水で大きな被害が出ている。息の長い支援が必要なことは言うまでもないが、県連青年部としてもできるボランティアの形など、具体的に考えていく必要がある。
  青年部ではこの1年、仲間づくりを兼ねた交流会を企画してきた。ボーリング大会のほか、在日コリアン青年連合との学習交流会では結婚差別について学び、日本郵政グループ労働組合の青年との学習会では、狭山事件について説明した。また、18歳から投票できるようになって初めての国政選挙を迎えるにあたり、選挙についての学習会もおこなった。いずれも小規模であったものの、目的をもって開催できたことには意味があったと言える。
 青年部は、7月31日に兵庫県民会館で第23回大会を開催する。 青年部の年齢規定により、今回の大会で2人の常任委員が退任となる。新たな常任委員を選出し、青年部の活動を継続させていかなければならない
 。 それぞれに仕事を日々こなしながら、常任委員としての活動を継続していくことは、大変なことである。しかし、どんな小さな取り組みでも、青年部の活動として継続する必要はあるし、大きな意味がある。  
 青年部大会に結集し、それぞれが抱える問題、悩みについて共有し、話し合い、つながることを大事にしていこう。


■みずおか俊一・なんば奨二勝利へ全力を 人を大事にする政治を取り戻そう(6月5日号)


 安倍首相は「日本周辺の危機が増した」からと、安保法制(戦争法)を強行採決させた。周辺危機は、個別的自衛権と日米安保によって対応すべきものである。安保法制は、日本が直接攻撃されていないのに、米軍等に付き合って中東・南米・アフリカ等へまで戦闘行為にいく法制である。
 70年間平和国家として歩み、世界の信頼を得ていた日本が大きく変貌し、恨みをかったりテロの標的になったりする危険性が出てきた。このような国家になって良いのか。


 「災害時に救援活動がしやすいように」と、憲法を改正して緊急事態時に国民の権利を制限しようという動きが浮上してきた。しかし、毎日新聞や東京新聞の調査によれば、緊急事態条項が必要と言う被災自治体はほとんどなく、「むしろ現場に権限を下ろしてほしい」と否定的な回答をしている。現実から乖離し災害をダシにした憲法改正は、薄っぺらな底が見透かされている。
 憲法改正だけが目的化した安倍首相の考えだが、それ以外にも国民生活を圧迫する政策が連続している。


 OECD加盟の先進34カ国のうち、日本は教育支出(対GDP費)が非常に低く、高等教育段階では最下位である。また国の給付型大学奨学金制度が無いのは日本とアイスランドのみだが、アイスランドは大学の学費が無料。実質制度が無いのは日本だけである。「自己責任」が強調され、給付型奨学金制度が否定されている。一方で、派遣労働制度が広められ、非正規雇用が全労働者の4割にもなっている。この現状の中、経済的理由で、夢と希望を抱きながらも涙を飲んで進学断念する生徒がいかに多いことか。
 批判を受けて、政府は「所得連動型給付奨学金」の創設を検討していると報道されてはいるが、今後注視していく必要がある。


 介護保険制度の改正によって、特別養護老人ホーム(特養)への入所基準が昨年より原則、要介護度3以上となった。社会保障費が年々増大するからという理由によるものだが、そもそも介護を社会で支えるという制度の趣旨に反する改悪である。
 現在でも、特養への入所待機者が非常に多いのに、これまでに増して介護を施設から在宅(家族)へ押し付けることになる。この制度改悪によって、介護殺人や虐待など、「介護疲れ」による不幸や悲劇が今以上に繰り返される恐れも出てくるのではないだろうか。


 このように、安倍首相は「一億総活躍社会」とスローガンは掲げているが、やっていることは国民に負担を押し付けることばかりだ。
 来たる参議院選挙、または衆参同日選挙(この原稿は5月28日執筆)では、日本の国が大きく変わることに与するか(棄権も含めて)、それとも国民の幸せを大事にする政治を取り戻すのか、大きな岐路に立たされている。
 自分自身の、そして日本に暮らす人々全体の幸せのため、県連が推薦しているみずおか俊一・なんば奨二の勝利へ全力をあげよう。
 


■鳥取ループ・示現舎への闘争を強化しよう(5月5日号)

 鳥取ループ・示現舎は、差別を規制する法律が未整備な中で図に乗り、差別を商い、部落解放運動への挑発行為を繰り返している。
 鳥取ループ・示現舎の「全国部落調査 部落地名総鑑の原点 復刻版」の発刊・販売策動に対して、3月28日、横浜地裁は出版・販売禁止の仮処分をおこなった。すると彼らは、仮処分決定に関連した書類一式をネットオークションに出品したという暴挙に出た。その中に「全国部落調査」原本の全文コピーがあり、150件を超す入札の中、5万1000円で落札された。また、発行禁止された「復刻版」をインターネット上で無料でダウンロードできるようにまでするなど、差別をもてあそんでいる。
 1975年に発覚した「部落地名総鑑」は企業に購入され、就職差別に使われた。2011年のプライム事件(戸籍謄本等個人情報の大量不正取得事件)で逮捕された首謀者の一人は「同和地区出身かどうかの身元調査のために取った」と法廷で証言している。結婚差別も後を絶たない。
 現に部落差別が厳存し、部落出身者がさまざまな不利益を被っている中、被差別部落の住所や名前、仕事等を暴き公表することは、現在の差別構造に加担し、差別を煽動するものに他ならない。部落差別の現実を見て、差別者と闘うのではなく、逆に差別され苦しんでいる側に矛先を向けているのだ。
 彼らは、被差別部落を暴き立てていることを批判されると、「その批判は『寝た子を起こすな』の思想だ」と逆ねじを食わせる。「寝た子を起こすな」は、部落差別は自然に解消していくという思想であり、部落解放同盟はこの思想と一貫して闘ってきた。部落差別の残酷性を熟知した上で、部落の人々に部落差別と正面から向き合い、共に闘うことを呼びかけてきたのである。
 鳥取ループ・示現舎は、いわばローマ時代の闘技場で奴隷剣闘士同士が命をかけて闘わざるを得ない状況をはやし立てる小市民である。彼らにとって、差別は娯楽なのだ。
 彼らは、自分たちのプロフィールに明治大正時代の反骨のジャーナリスト・宮武外骨の肖像を使用している。笑止千万である。宮武の真骨頂は反権力にある。「反骨のジャーナリスト」のつもりでいるならば、被差別者の側に立ち、現在の差別、および差別的な風潮、構造と徹底して闘うべきだ。
 今問題にすべきは、差別・格差の広がりと深刻化であり、それを拡大している安倍政治にこそ矛先をむけるべきである。
 部落解放同盟は、部落差別をはじめ、さまざまな差別をなくしていく活動はもちろん、日本の平和と民主主義運動の一翼を担ってきた。
 兵庫県連は、今後もその闘いを担うと共に、差別者・差別の宣伝煽動者と徹底して闘うことを宣言する。 


■組織内で男女平等の取り組みをすすめよう(4月5日号)

 戦後初の衆議院議員選挙(1946年4月10日)で39人の女性議員(全体の8・3%)が誕生してから、今年で70年。「婦人参政権」が認められた改正選挙法(1945年12月15日成立)は、男女同権を規定する日本国憲法に先立って制定された。それまで選挙権があったのは25歳以上の男子のみで、女性は政党に加入して活動する自由も奪われていた。
 その後、女性議員数は増えず、衆議院で最初の39人を上回るのに約60年かかった(2005年43人)。日本の女性議員比率は9・5%で、世界156位だ。
 各国の男女平等の度合いを指数化した世界経済フォーラム(WEF)の2015年度版「ジェンダー・ギャップ指数」で、日本は調査対象145カ国中101位。安倍首相は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」を制定(2016年4月施行)するなど「女性活躍推進」の看板を掲げてはいるが、実情との隔たりは大きく、世界の日本への評価は低い。
 日本は1985年に国連女性差別撤廃条約(1979年採択)を批准、1999年には男女共同参画社会基本法が制定された。基本理念として、男女の人権の尊重、社会における制度又は慣行についての配慮、政策等の立案及び決定への共同参画、家庭生活における活動と他の活動の両立、国際的協調が挙げられている。
部落解放同盟はこれまで保育所建設や妊産婦対策、識字運動、世界のマイノリティ女性との交流など、さまざまな取り組みをおこなってきたが、2001年の全国大会で「男女共同参画基本方針」を策定し、2008年の全国大会で「男女平等社会実現基本方針」へ改定した。そこで課題として挙げられた「全国大会での女性代議員3割以上の参加」は、全体では2014年、2015年に達成できた。今年3月にひらかれた全国大会では第2次改訂案が採択され、ポジティブアクション(積極的差別是正措置)を組織運営に取り入れること、全国大会での各府県の代議員および中央執行部への3割以上の女性の参画をめざすことなどが提案された。
 同時に、自治体の男女共同参画審議会に積極的にかかわるなどして、マイノリティ女性の課題を訴えていくことも重要である。国の第3次男女共同参画基本計画(2010年)に初めてマイノリティ女性の複合差別の課題が位置づけられたが、昨年12月に発表された「ひょうご男女いきいきプラン2020(第3次兵庫県男女共同参画計画)」でも「高齢者や障害のある人、外国人であること、同和問題等に加えて、女性であることにより、更に複合的に困難な状況に置かれていることがあることに留意し、男女共同参画の視点から必要な取組を進めます」の文言が加えられた。審議会には県連の池田千津美副委員長が参加しているが、マイノリティ女性当事者が参加することの重要性が証明されたと言える。
 組織内での男女平等に取り組みを通して地域コミュニティのあり方を変え、人権が尊重される社会を実現しよう。
 


■第57回県連大会で差別を許さない強固な方針を確立しよう(3月5日号)

 3月27日、加古川市民会館で第57回県連大会を開催する。
 今大会は、安倍首相の憲法改悪を阻止するために部落解放同盟兵庫県連合会として、何ができるか、何をしないといけないかを論議する重要な大会である。
 安倍首相の思惑通りにことが進めば、日本は世界中で戦争をする超軍事国家になってしまう。これまで、戦後70年築いてきた「平和国家日本」のイメージは一気に崩れ、尊敬ではなく憎悪の目にさらされることになる。
 戦争は差別であり、最大の人権侵害である。人権尊重を求める部落解放同盟はあくまで戦争反対、平和憲法堅持を訴えていく。
 安倍首相が狙う憲法改悪を実現させないために、この夏に予定されている参議院議員選挙で県連が推薦する、「みずおか俊一」候補
 「なんば奨二」候補の必勝を期す。同盟員一人ひとりが、自分が候補者になったつもりで、一人でも多くの支援者を広げ、紹介者を県連に集中しよう。
 また、勤労大衆の窮乏化が進んでいることが社会問題となっている。不安定雇用と低賃金、社会保障の切り捨てが一層生活を困難にしている。同盟員の日常生活をしっかりと把握する中で、各級役員が世話役活動を強化することが求められている。
 解放運動に関わりたくとも時間的に余裕がない青年層の現実がある。有利子奨学金返済に苦しむ青年も増えている。高齢者の介護も介護保険制度のあいつぐ改悪によって、再び家族の問題に逆行してきている。
 国勢調査の速報値が公開されたが、そこからも勤労大衆や部落の生活実態を読み取らねばならない。
 各ブロック・支部の強化のために、「ブロック事務委託金制度」を「ブロック活動助成金」に改善する。県連とブロック・支部の連携はパソコンやインターネットを活用することによって確保し、ブロック・支部活動の活性化に県連の資金を活用できるようにする。また、ブロック・支部の活性化の試行錯誤のとりくみを支援するために、「ムラ自慢」支援のための予算を確保する。
 さらに、同盟員の減少傾向を深刻に受け止め、部落差別が増大している現実をと解放運動の重要性を訴え、組織の拡大を図る。
 また、過疎化や高齢化で支部の維持が困難になっている支部がでてきている。近隣支部同士の合併や市町単位での支部結成も協議する。
 また、第57回大会は役員改選の大会でもある。さきの部落解放同盟第73回全国大会において、兵庫から坂本三郎、田村慎吾、植村あけみの3名を中央役員に送り出すことができた。中央の運動を支えるとともに、兵庫の解放運動を牽引するために強固な執行部を選出しよう。あわせて各支部・ブロックの日常活動を強化し、支部大会や同盟員集会など組織的な活動の強化を図ろう。
 


■同和教育のたしかさで子どもに生きる力を(2月5日号)

 昨年は戦後70年、同和対策審議会答申が出されて50年という節目で、さまざまな行事や取り組みがおこなわれた。しかし、子どもたちを取り巻く環境は良くなっているとはいえない。
 厚生労働省の国民生活基礎調査によると、子どもの貧困率は16・3%(2012年)で、6人に1人が貧困といわれている。また働く人の4割が非正規労働者であり、「格差」「貧困の連鎖」は切実な社会問題として現れている。そうした中で子どもたちは、いじめ、進学の断念、不登校、中途退学、虐待被害など、多くの問題を抱えたまま成長することになりやすい。そしてそれが健康面や学力にも反映され、将来への夢や希望が奪われている。
 またこうした社会状況と歩調を合わせるかのように、ヘイトスピーチなどの差別・排外主義煽動が全国各地でおこなわれ、大きな社会問題となっている。さらには同和地区問い合わせ事件やインターネット上での差別書き込み事件も多発しており、人権意識の後退は2013年の県民意識調査からも明らかとなっている。
 差別を許さない確かな行動力を身に付けるための教育が、いま求められている。そのような力はどのように育成されるのだろうか。
 昨今、「スクールソーシャルワーカー」という言葉を耳にする。2008年に文部科学省が子どもたちを取り巻く課題を解消していくことを目的として「スクールソーシャルワーカー活用事業」を導入し、社会福祉に関する専門知識を有する者を教育現場に配置した。学校、家庭、友人関係、地域などの「生活環境」を見据えながら、児童相談所と連携してチームで子どもたちを支援していく。これは、かつて同和教育を推し進めてきた同和加配教員を中心とする教師集団が学校と地域が共に考え、子どもの課題を整理してきたことと重なる面が多い。どちらにしても、子どものことで学校と地域が連携することがもっとも大切だということである。
 いま、学校と地域は手を携えることが出来ているだろうか。もし出来ていなければ、その原因を考える必要がある。それを放置していては、同和教育・人権教育の充実、発展はありえない。子どもの生きる力を育みたいと強く願う。
 今年も「子どもたちのさまざまな現実に向き合い、すべての人が希望の持てる解放教育を創ろう!」をテーマに「第7回ひょうご解放教育交流集会」を、2月28日に市川町文化センターで開催する。
全体会では「みんなを元気にする解放教育~地域と学校が力を合わせて~」と題して、元三木市立別所中学校校長の春川政信さんの記念講演を予定している。 
午後の分科会では、姫路市や市川町を中心に保育園・小学校・中学校・高等学校・解放学級での人権保育・人権教育の実践に学びながら、これからの解放教育・人権教育の在り方を話し合う。
 子どもたちを取り巻く課題を解消していくことを目的として創設された。本集会に一人でも多くの参加を期待したい。また、参加者の積極的な意見交換・活発な議論を強く望む。


■2016年展望と課題(1月5日号)

 新しい年を迎えて、展望と課題を明らかにします。  昨年は安倍政権の暴走が止まりませんでした。特定秘密保護法、集団的自衛権行使容認閣議決定に続くと安保関連法案の強行採決、TPP容認と労働関連制度の改悪など、決して許すことのできない事態となっています。
 今年1月からいわゆる「国民総背番号制」である「マイナンバー」が実施されます。今は税金、社会保障、災害関連の3分野ですが、今後、銀行口座や医療分野など利用範囲の拡大が予定されており、人民を税から医療まで、徹底的に管理しようとするものです。街中に設置されている監視カメラとあわせて、人民の思想・行動まで管理することにつながります。人民にとって、何のメリットもない任意の「マイナンバーカード」の申請はする必要がありません。マイナンバー提示義務も個人にはありません。
 解放運動の今年の課題は次の点です。 第一に、憲法改悪を許さないための国会勢力の拡大です。当面、夏に予定される参議院議員選挙で反「戦争法」の候補の当選を勝ち取ることです。県連推薦の兵庫選挙区「みずおか俊一」、比例区「なんば将司」の必勝をめざします。
  第二に、不当逮捕53年になる石川一雄さんの冤罪を晴らすための再審をかちとることです。
  第三に法整備に向けた闘いの強化です。日本に部落差別が厳存し、その解決の責務は国にあるとした「同対審答申」がだされて51年目になりますが、同対審答申が求めた法整備は不十分なままです。人権侵害救済法などの成立を求めます。
  第四に、他人の戸籍等を不正に取得することを防止する「事前登録型本人通知制度」の兵庫県内全市町での実施をめざします(県内29市12町のうち、現在24市9町で実施)。また、登録者の拡大や有効期限の廃止、自動更新など制度の改善も求めていきます。
  第五に、部落の現状把握のための実態調査と人権に関する市民・町民意識調査の実施を求めます。同時に調査結果をふまえた効果的な行政施策の実施と啓発・学習の実施を求めます。
  第六に、地域の活性化のための対策を強化します。地産地消、生産地と消費地との交流、特産物の振興の他、地域での高齢者・若者の居場所づくりなど、人にやさしい取り組みを図ります。また隣保館や公民館の活性化と地元への還元を追求します。
  第七に、支部役員による相談活動と世話役活動をさらに強化します。安倍政権による生活・医療・福祉・教育などに関する制度改悪によって、同盟員や地域の人々の生活は非常に厳しくなっています。今こそ、部落解放同盟の活動の原点である相談・世話役活動を強化する必要があります。同時に差別事件に対しては徹底した取り組みを展開します。差別事件の情報共有と問題点を明らかにする作業を進めます。
  第八に、県連とブロック・支部との連携を一層強固なものにします。兵庫県は広いですが、ITの利用や県連役員が精力的に活動することで、緊密な連携を図ります。