本文へスキップ

〒650-0003 神戸市中央区山本通4丁目22番25号

TEL078-222-4747(代) FAX078-222-6976

2015年

■56期支部長研修会に結集しよう(12月5日号)

 12月13日、私学会館にて56期支部長研修会を実施します。今年は西島藤彦中央本部書記長を迎えて「部落解放運動の現状と課題」について問題提起を受けます。併せて3月27日に開催する第57回県連大会の詳細についても連絡します。また同盟員からの各種相談に必要な「相談カード」を研修会終了後、支部ごとに渡します。  11月15日の56期第3回県連委員会で県連が取り組んでいる3つの差別事件について報告し、論議しましたが、これについても詳細を報告します。

 有名タレントを起用してテレビコマーシャルを展開している大手引越業者において、管理職研修での採用差別指導や社員に対する不当労働行為など、労働関係法令への抵触が疑われる労務管理の実態が従業員から告発される事件がおこっています。中央本部から各都府県連に、地元の労基局に、差別採用選考や差別的な労務管理について、実態把握と真相究明に取り組むことを要請するよう要請がありました。兵庫県連として、10月26日に兵庫労働局に情報提供と事実確認を要請しました。

 県連と姫路皮革業者への差別文書送付事件(解放新聞兵庫版第815号既報)について、11月10日時点では姫路警察署は「名誉毀損でなく侮辱罪として捜査を開始する」ということでした。その後、県連は「名誉毀損と侮辱」と併記する告訴状を提出することとし、11月25日姫路警察署に受理されました。

 同朋講座での差別発言とそれに関連する神戸別院内の連続差別投書事件(2009~2010年)について、神戸別院が『検証結果報告書』を作成し、各寺院に昨年郵送しました。その内容は県連としては認められないものであるため話し合いを続けてきました。「県連見解」を寺院にも説明していきます。 差別事件は近年、増加・露骨化しています。結婚や就職差別事件については、差別を受けた本人が部落出身を明らかにして告発しなければ問題化されないため、表面化しにくいのです。  県連として部落差別はもちろんあらゆる差別を許さない姿勢を堅持し、部落差別事件にあたっては確認・糾弾会を徹底していきます。  また、県連と企業連は事業者育成・指導のために経営指導協力員の養成にも力をいれ、11月に実務講座を3回実施しました。各ブロックでの事業者との相談、納税指導を強化していきます。そのことについても支部長研修会で具体的な内容を説明します。  支部長は同盟員のさまざまな相談に応じるためにも、支部長研修会に出席し、部落差別の現状、課題を知ることが必要です。そして、日々の相談活動から見える課題を明らかにし、必要な施策を求めていくことにつなげていかなければなりません。同時に、行政に部落の実態調査の実施を要求していきましよう。


■同対審答申50年、対行政要望を改めて重視しよう(11月5日号)

日本に部落差別が厳存することを明言し、その解決は国の責務であることを総理大臣に具申した、「同対審答申」がだされて50年、答申が指摘し、早急な解決を求めた事案がどこまで進捗したかが問われている。 答申が求めた3つの法律のうち、事業法(特措法)は33年間施行され失効、差別禁止法、人権侵害救済法が未整備のままである。 特別措置法33年間の成果と課題について、今日時点での評価が求められている。 事業法によりつくられた公共施設については、国が「公共施設等の総合的な管理による老朽化対策等の推進」をうたい、財政状況が厳しい自治体は、好機とばかりに公共施設の統廃合をうちだしている。隣保館や集会所も例外でなく、統廃合もしくは地元払い下げ、指定管理者制度の導入がすすんでいる。 また、ソフト面では高校大学等への進学率向上に効果があった解放奨学金の制度が、法失効と共になくなり、現在では日本学生支援機構の貸金的な奨学金が一般化し、多くの学生が大学卒業と同時に多額の借金を背負う状況に陥っている。 改めて、実態調査や意識調査を実施して部落や部落差別の現況を明らかにすることが必要である。  同対審答申から50年、依然として部落差別事件が後を絶たない。 今年4月、大阪で差別文書が大量に配布・郵送された。5月になり、大阪と同じ人物からと見られる差別文書が兵庫県連や姫路の皮革業者にも郵送されてきた。部落差別を肯定し、誹謗中傷することを許すわけにはいかない。県連と姫路の7業者は名誉毀損で姫路署に告訴した(告訴を受理するかどうか姫路署は検討中)。告訴に先立ち、県庁で記者会見し、翌日には3紙で記事が掲載された。  「同和地区問い合わせ」事件も続いている。背景には被差別部落を忌避するニーズがある。2013年の「人権に関する県民意識調査」でも憂慮すべき結果がでている。また、在日外国人などマイノリティに対する公然たる差別・威嚇煽動=ヘイトクライムも確信的におこなわれている。  このような認識の下、県連は10月「兵庫県に対する要望書」をまとめ、兵庫県に提出した。今後、要望書に基づく話し合いを兵庫県ともつことになる。  県内各ブロック・支部でも対行政要望をとりまとめ、折衝をもつことが重要である。あわせて、同対審答申50年を踏まえた「同和行政・人権行政」について、行政の長の見解を明らかにする必要がある。できるところから実態調査や意識調査を追求しよう。  県連等が主催する各種集会への支援も求めていこう。
① 部落解放研究第36回兵庫県集会(11月1日神戸市勤労会館)
② ヒューマンライツ議員の会交流学習会(11月16日ラッセホール)
③ 新春荊冠旗ひらき(1月10日ラッセホール)
④ 第7回ひょうご解放教育交流集会(2月28日市川町文化センター)
⑤ 部落解放同盟兵庫県連合会第57回大会(3月27日加古川市民会館)


■節目を迎えた狭山闘争今こそ再審開始を勝ちとろう(10月5日号)

はじめに
  私たちはこれまで「狭山事件の勝利なくして部落解放はなし!」と、幾度にわたる権力の弾圧にもひるむことなく共闘のみなさんや、地域の子どもたちと共に闘いつづけてきた。  獄中からの「オレは無実だ!」の石川一雄さんの叫びは、厳しい部落差別の中で小さくなって生きてきた人々の心にまっすぐ届いた。そして、石川さんの生い立ちと自分の生い立ちを重ねながら、差別に怒り、差別と闘い、人間変革へとつなげてきた。  まさに狭山の闘いは、「人間の尊厳、侵さず、侵されず」を多くの人と共有する闘いとして取り組まれてきたのである。
証拠開示と新証拠提出を力に闘いを進めよう
 狭山の闘いは大きく動いている。これまでの裁判の大きな流れは以下の通り。 1963年、狭山事件発生 1964年、死刑判決(内田裁判長) 1974年、第2審、無期懲役判決(寺尾裁判長) 1977年、確定 2005年、第3次再審申立(東京高裁)  2009年には三者協議が開始され、同年12月、 門野博東京高裁裁判長が証拠開示勧告を出した。  以降、三者協議がつづけられ、今年7月27日には門野裁判長から数えて5人目となる植村新裁判長の下で第24回三者協議がおこなわれた。植村裁判長は「これまでの裁判長の姿勢を踏襲する」旨を表明した。  これまで、取調べの録音テープ、捜査報告書、遺体発見現場を撮影した航空写真、被害者の万年筆のインク瓶など、181点の証拠が東京高検より開示された。それらの証拠と、それを基に弁護団が提出した176点の新証拠は、確定判決(寺尾判決)のあげた有罪の状況証拠を大きく崩し、石川さんの「自白」が虚偽であることを示している。石川さんの無実はますます明らかになっている。 しかし、まだまだ開示されていない証拠は多い。東京高検以外にある証拠物の一覧表、万年筆捜査発見経過の書類など、さらに開示を要求していかなければならない。足利、布川、志布志と続いた再審無罪事件も証拠開示と事実調べが不可欠であることを示している。一方で近年、恵庭、名張、大崎、福井事件など、不当な再審棄却決定が続いている。それらの問題点をしっかりふまえて闘いを進めよう。

石川一雄さん、早智子さん、神戸の街で訴える
 県連は、「反戦平和、人権確立、狭山」8月闘争の一環として実施している「狭山事件の再審を求める県民のつどい」を今年も神戸で開催した。参加した石川さんは「闘いも富士に例えて9合目、難関突破で再審開始へ」と歌を詠み、「最後の1合を登るための闘いを全国の仲間と思いを一つにして弁護団と共にがんばる」と話し、支援を訴えた。  10月30日、「狭山事件の再審を求める市民集会」が日比谷野音で開かれる。ここに結集し、各地での学習会、情宣等の活動を進め、証拠開示と事実調べ、再審開始を勝ちとろう!


■同対審答申50年 成果と課題を明らかにしよう(9月5日号)

1 同対審答申の意義
  1965年8月、「同和対策審議会答申」が、内閣総理大臣に提出されました。その前文には「同和問題は人類普遍の原理である人間の自由と平等に関する問題であり、日本国憲法によって保障された基本的人権にかかわる課題である。したがって、審議会はこれを未解決に放置することは断じて許されないことであり、その早急な解決こそ国の責務であり、同時に国民的課題である」と記されました。日本に部落差別が厳存すること、その解決の責任が国にあることが、公に明言されたのです。これが同対審答申の第1の意義です。
2 同対審答申によって実現したこと
 審議会は諮問をうけ、被差別部落の調査を実施しています。被差別部落の環境や生活実態、差別事件等を把握して、部落差別が日本にあることを認め、解決のための具体的な対策を提言したのです。その項目は「環境改善」「社会福祉」「産業・職業」「教育問題」「人権問題」となっています。 この4年後の1969年に「同和対策事業特別措置法」が制定されます。これを根拠に国及び地方自治体は以後33年間にわたり、各項目に対応する「同和対策事業」を展開しました。 これによってハード面はかなり改善されたと言われていますが、特措法が適用されなかった未指定地区もあります(県内に341あるとされる対象地域のうち、県連は65%しか組織できていません)。 2002年の特措法期限切れ後、悪化している状況もあります。例えば高等教育進学率、雇用形態、極端な高齢化・過疎化などがそれです。 今、改めて県内の被差別部落の実態を把握し、同和対策の成果と今日的課題を明らかにして、今後の運動の方向を指し示すことが県連に求められています。 法期限切れ後、「部落問題は終わった」と認識している自治体が散見されますが、「同対審答申」は現在も生きています。1996年の地対協意見具申でも「特別対策の終了、すなわち一般対策への移行が、同和問題の早期解決を目指す取組みの放棄を意味するものでないことは言うまでもない」「行政が…地域の状況や事業の必要性の的確な把握に努め、真摯に施策を実施していく主体的な姿勢が求められる」として、「同和問題が存在する限り対策は必要」と再確認されています。

3 同対審答申が提起し、実現できていないもの
 答申は法律整備の必要性について言及しています。特別措置法、差別禁止法、人権侵害救済法です。喫緊の課題であることから事業法である特措置法が制定され、さまざまな施策がなされてきましたが、差別禁止法、人権侵害救済法は未だ制定されていません。  日本政府は国連からも、人権の観点からさまざまな勧告をうけています。 「人種差別撤廃条約」の完全批准と国内法の整備、差別を許さない根本的な法整備が必要であることを再確認し、さらなる運動を展開していきましょう。


■県女性部大会・県女性集会の成功を!(8月5日号)

7月16日、安倍政権は「議論は尽くした」として、衆議院本会議において「安保関連法案」の強行採決をおこなった。日本はますます「戦争のできる国」に突き進んでいる。しかし、この暴挙に対して、全国各地で若者たちが、憲法学者が、文化人が一斉に反対の声を上げ、廃案にするための行動を起こしている。いまさら言うまでもなく戦争は最大の差別であり人権侵害である。戦前の歴史的教訓を踏まえ、戦争反対の広範な闘いをおしすすめなければならない。人類が大きな犠牲の上に勝ち取った人権と平和という、かけがえのないものを次代にひき継ぐために、「戦争法案」を許さず、人権と平和の確立、民主主義の実現に向けて、県連女性部も全力で闘い抜こう! 男女平等は憲法にも定められている大切なことだが、現実には賃金格差、女性の管理職登用率の低さ、非正規雇用に占める女性の比率の高さなど、雇用の分野でも差別が厳然と存在している。また、「男は仕事、女は家事育児」という意識は、今も根強く残っており、男女平等の意識を形成するには、何がジェンダーかということに気づき、身近な制度・習慣について見直すことが必要である。 急速に進行する少子・高齢社会の中、持続可能な社会を形成するためにも、女性が働きやすい環境整備や家庭と仕事の両立を実現する支援策であるワークライフバランス(仕事と生活の調和)を確立する支援策が必要である。2005年に、改正「育児・介護休業法」が施行されたが、現実には男性が育児や介護休暇を取得できていない状況はいまだに続いている。制度や法律があっても利用できなければ絵にかいた餅にすぎない。安倍首相の言う「3年間抱っこし放題」はその典型だ。内容や利用法が周知され、利用できる条件整備がされなければそれはないに等しい。私たち自身が働く権利や制度をもっと学習し、知り、実行を求めていくことが大切だ。 男女平等社会を実現させるためには、女性のみが頑張るのではなく、現に存在する女性差別を男女がともに理解し、身近な制度・習慣の変えていくことが重要となる。そのためには公的意思決定機関に女性が積極的に参加していかなければならない。  県や市・町行政の中に設置されている「男女共同参画審議会」の中で、マイノリティ女性の声を反映させる活動をおこないながら、女性が働きやすい環境づくりやDV・セクハラ・パワハラの相談窓口の整備・充実を求めていこう!  全国水平社創立後、すぐに婦人水平社が創立された。女性の要求は生活に密着している。先達の女性たちの闘いの歴史に学び、今後の運動に生かしていかなければならない。 8月29・30日に姫路で開催される「第20回女性部大会・部落解放第55回兵庫県女性集会」は、兵庫の被差別部落女性にとって運動を大きく前進させる第一歩となるだろう。県下各地の女性たちよ、本集会に結集しよう!


■青年からの発信と行動を(7月5日号)

7月26日に宝塚市立国際・文化センターで、県連青年部第22回大会を開催する。 県連青年部では、部落問題を軸にしながら様々な人権課題に触れ、沖縄平和行進や原水禁世界大会などにも参加してきた。 また、働くことの意味について考え、問題提起をおこなった2011年の連続講座「ディーセント・ワーク学習会」以降、この2年間は「ファシリテーター養成講座」に取り組んできた。この講座では、主体的に取り組み、自分自身を発信することを目的とし、防災を考えるワークショップの企画や、子どもたちを対象にワークショップをおこなうなど、少ないながらも実践の機会も設けてきた。 現在、加古川、姫路、尼崎、宍粟から8人の常任委員を選出して活動しているが、1支部から複数人選出せざるをえない状況になっている。特に常任委員を選出できていない地域において、高校生や青年と県連青年部をつなげ裾野を広げていかなければならない。青年部活動の情報発信やネットワークを拡げるための取り組み、石川一雄さんの無実を勝ち取るための闘いを継続していくとともに、この間の経験を活かして、交流会やオルグに取り組んでいこう! 「戦争のできる国」に突き進もうとしている現在、国会では、集団的自衛権の行使要件を定めた武力攻撃事態法改正案など「安全保障関連法案」が審議されている。この審議時間を確保し、確実に成立させるため、政府は、通常国会としては戦後最長の95日の会期延長を表明。衆議院憲法審査会において、自民党を含む各党が推薦する3人の憲法学者全員がこの法案を「憲法違反である」としたにもかかわらず、政府は依然、この法案の審議を推し進めている。 この安保法案の成立を阻止すべく、反対の声をあげる運動が国会前や全国各地でおこなわれている。SEALDs(自由と民主主義のための学生緊急行動)など、若い世代も「集団的自衛権はいらない!」と声をあげている。 青年部大会後には、辺野古新基地建設を強行しようとする政府に対抗する住民の様子がまとめられた『圧殺の海』を上映する。海上での抗議活動も含め、辺野古の今が鮮明に映された作品である。青年部大会への参加とともに、日本政府がやろうとしていること、沖縄で起きていることを今一度確認し、行動する契機としよう! 戦後70年。武力からは何も生まれないということを強い意志をもって発信し、その声を広げていかなければ、この国は戦争に向かう。戦地に送られるのは安倍首相ではなく、一般の労働世代、若者だ。何も行動を起こさなければ、それは賛成と同じ。この社会で生きる若者として、人権を大切にするひとりの人間として、今の国の動きを注視し、反対の声をあげよう!


■ブロック懇談会で解放運動の課題を共有し、先進的なとりくみに学ぼう!(6月5日号)


 今期も県連六役が中心となって各ブロック活動家と懇談する「ブロック懇談会」を5月から7月にかけて実施します。今年、県連から訴えることは、部落差別の現状、事前登録型本人通知制度全県実施と登録者の拡大や制度の課題克服、次世代育成と世代交代、支部活性化、女性部・青年部の組織強化です。また、各ブロック・支部からの活動報告や問題提起に多くの時間をとるようにします。 具体的な実施日や会場はブロック選出の執行委員と調整します。選出執行委員がいないところは、ブロック代表者や県連委員と調整し、県内24全ブロックで開催します。 2 部落差別の現状を明らかにして、差別事件には丁寧な対応をしていきます。


 部落差別の現状を明らかにして、差別事件には丁寧な対応をしていきます。 「同和地区」というだけで付き合いや結婚を否定する結婚差別事件、被差別部落出身者への露骨な差別文書送付事件など、県連が把握しているだけでも差別事件は増加しています。 最近の特徴は、面と向かって被差別部落出身だからと結婚に反対したり、直接差別発言をぶつける事例が出ていることです。 解放運動が停滞しているところや活動のないところでは、表面化することなく差別が陰湿に蔓延している可能性もあります。 格差拡大や閉塞感、人権軽視の風潮が差別事件やヘイトスピーチを生み出し、許しています。


そうした中で今訴えなければならないことは、今国会に提出されている「戦争法案」についてです。戦争は最大の人権侵害であり、差別そのものです。日本を「戦争ができる国家」へ変貌させようとすることに具体的に反対する必要があります。 安倍首相は、自衛隊が海外で戦争をするための法整備を今国会に提出する前にアメリカに行き、「安全保障法制(いわゆる戦争法)」を「必ず成立させる」と約束してきました。「武力攻撃事態法」「重要影響事態法」「国際平和支援法」「PKO協力法」「自衛隊法」「船舶検査法」の改定などが主な内容ですが、共通しているのは、自衛隊が地球上のどこへでも出向いて武力行使ができるということです。  しかし、日本国憲法は次のように規定しています。 「第2章 戦争の放棄 第9条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。 2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」 まさに、安倍首相は日本国憲法をなし崩し的に壊そうとしています。一時の国会勢力の過多によって決めていいものではありません。安倍首相が憲法遵守の公務員としての義務を果たさないなら辞めさせなければなりません。即刻、退陣を求めていきましょう。


■「部落解放・人権政策確立要求兵庫実行委員会」を強固にし、あらゆる差別を許さない人権侵害救済法をかちとろう!(5月5日号)


 今年は敗戦70年です。それは朝鮮・中国をはじめアジア諸国に甚大な犠牲を強いた植民地支配や侵略戦争の終結から70年を意味します。同時に沖縄戦と「集団自決」70年、東京・大阪・神戸など大空襲70年、広島・長崎原爆投下・被爆70年でもあります。 しかし、安倍首相は、敗戦70年を、侵略戦争の歴史を忘却・隠蔽し、日本を「戦争をする国家」へと変質させる転換点にしようとしています。 2013年12月には「特定秘密保護法」を強行成立させ、昨年4月に「武器輸出3原則」を撤廃し、武器や関連技術の輸出を事実上解禁する「防衛装備移転3原則」を閣議決定しました。そして、7月にはついに「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」とする集団的自衛権行使容認を閣議決定しました。 10月の日米防衛協力のための指針(ガイドライン)の改定にむけた中間報告では、日米防衛協力の地理的制約である「周辺事態」を削除し、世界中で米軍がおこなう軍事行動を自衛隊が支援できることが明記されました。 安倍首相による実質的憲法破壊がすすんでいます。


 「戦争は最大の差別」です。 安倍首相が戦争への道をすすもうとするなか、日本社会では「いい朝鮮人も、悪い朝鮮人も殺せ」といった悪辣なスローガンを公然と掲げたヘイトスピーチやデモなど、差別行為が野放しになっています。それどころか、デモ申請が出ているからと、差別デモを公安当局が擁護しているのが現実です。 2011年には、水平社発祥の奈良県御所市の水平社博物館前で、被差別部落民を侮辱する賤称語を用いて1時間にわたり暴言を吐くという差別事件も起こっています。 こうした悪質極まりない差別行為が野放しになっているのは、日本に差別を規制し、取り締まる法制度がないことが最大の原因です。 2014年1月時点で世界の105ヵ国制定を求める体制を強固にして、法整備の必要性を認め、国に対して具体的な行動をしている井戸県政とも連携を一層深めて、法律の制定を求めていきましょう。


■統一地方選に勝利し、人権施策の確立を(4月5日号)


 4年に一度の統一地方選挙。県会議員選挙と神戸市会議員選挙は4月3日に告示、12日投開票される。他の市会議員選挙は、4月19日告示・26日投開票、町会議員選挙は21日告示・26日投開票。また、姫路市長、明石市長、芦屋市長選挙も19日告示・26日投開票される。
 市町会議員選挙がおこなわれるのは神戸市の他、姫路市、明石市、西宮市、芦屋市、伊丹市、相生市、宝塚市、三木市、小野市、播磨町、太子町の11自治体。
 この選挙は、県下の自治体において人権施策を推進していく上で、極めて重要な取り組みとなる。


 人権教育・啓発が長年取り組まれてきたにもかかわらず、ヘイトスピーチの横行、戸籍謄本等不正取得、インターネット上での差別書き込み等、依然として差別は社会に根深く存在している。
 また、株価は高騰しているが、一部の大企業と中小企業、都市部と地方との経済格差は拡大するばかりで、庶民の暮らしが潤う状況にはなく、逆に生活保護家庭は増加している。
 東日本大震災の復興も、被災者は仮設住宅からさえ抜け出ることができず、住まいも仕事も奪われたままだ。しかし政治は大震災の教訓を忘れ去り、原発を再稼働し、環太平洋連携協定(TPP)推進など市場原理主義、自由貿易至上主義の経済政策を推し進めている。
 一方、日本社会は人口減少期に入っており、とりわけ地方は過疎化・少子高齢化が急速に進んでいる。その中にある被差別部落は若者の流出、子どもがいない等、大衆運動の推進が困難な状況が深まっており、農山村部では部落消滅の危機さえある。従って、これまで以上に部落解放運動の効率的効果的な展開が必要だ。


そのためには、地方自治体の具体的施策を決定する地方議会の役割・重要性を改めて認識し、人権施策が推進される状況を築きあげなければならない。「ひょうごヒューマンライツ議員の会」に結集する超党派の県会・市町会議員の理解と協力によって、県下の20市8町で本人通知制度が実施されるようになった事例を見ても、議会内に人権派議員が存在することの意義は極めて大きい。
この統一地方選において県連は、多くの候補者を推薦している。政策協定をしっかりと結び、これまでも、今後も人権施策の推進に全力で取り組む候補者である。市長・議員に私たちの想いを届け、具体的な人権施策を確立していくことが重要だ。部落解放運動は、今まで以上に政治的力量を高めていかなければならない。
地方議会選挙は、どれだけ動いたかが決定的要因になる。家族はもとより知人・友人、地域全体に支持を呼びかけ、推薦候補者全員の当選をめざして、全力で取り組もう。


■第56回県連大会を積極的な論議で成功させよう(3月5日号)

 3月29日、たつの市総合文化会館アクアホールで第56回県連大会を開催する。全ての代議員が結集し積極的な論議を展開しよう。


 今日の部落解放運動をとりまく情勢は厳しいものがある。  政治的には、日本を戦争する国にどんどん引っ張っていく安倍首相とどう立ち向かっていくかの課題がある。戦争こそ最大の差別であり、戦争遂行のためには人権軽視が前提となる。青年や子どもたちに、殺すことも殺されることもさせてはならない。  経済的には、慢性的不況が続くなか、大企業優遇、福祉と医療切り捨て、大衆増税をすすめる安倍首相の政策を糺す必要がある。青年の生活と雇用をどう守るかも緊急の課題である。  教育的には、解放教育・同和教育の再生・充実が求められている。社会教育・学校教育・就学前教育すべてで人を大切にする教育が重要である。道徳のような上からの説教ではなく、お互いを認め合うことから始めなければならない。 運動的には、地域・組織の高齢化と次世代育成の課題がある。支部の活性化についてさまざまな経験と先進地区のとりくみを通じて論議を深めよう。


 戸籍謄本等個人情報の不正取得を防止する本人通知制度を県内全市町で実施しよう。2月末現在、県内20市8町で実施済みであり、3市1町が実施予定となっている。未実施の自治体での導入を求めるほか、請求者の開示など制度の改善も要求していく。さらには、不正取得を許している戸籍法等の抜本的改正を中央本部とともに国に対しても求めていくことが必要である。 2002年の「同和対策」事業法の失効後、部落問題はもう存在しないとの行政の姿勢もみられる。啓発・学習の後退もあいまって、部落差別事件は露骨化・拡大している。差別を見抜き、告発する力を育てるとともに、差別の現実を訴えていかなければならない。 あわせて被差別部落の生活や教育・環境などの実態把握に努める。行政による実態調査を要求していくが、各種統計・行政資料の活用や自前の調査も追求する。


 狭山再審闘争では、三者協議を通じて1月22日、東京高検によって狭山事件の証拠リストが開示された。大きな前進である。半世紀以上も無実を訴えてきた石川さんの見えない手錠をはずすために、事実調べや再審開始を求めていく。  証拠開示、代用監獄の廃止などの日本政府への国連勧告は、えん罪を生み出さない最低条件である。日本政府に受け入れさせることが必要である。


 今年は、日本に部落差別が厳存し、その責任は国にあることを認めた「同対審答申」から50年になる。これを契機に、兵庫県での同和対策の成果と課題、解放運動の今後のあり方を検証する。 県連大会において、活発で有意義な論議を展開しよう。 

■同和教育・人権教育の原点を確認し、さらなる充実を(2月5日号)

 「子どもの権利条約」を日本が批准して、今年で21年となる。しかし、子どもをとりまく環境は、決して良くなっているとは言えない。
 厚生労働省がまとめた国民生活基礎調査では、子どもの貧困率が2012年に16・3%と、過去最悪を更新した。6人に1人が貧困というのである。中でも一人親世帯では、54・6%と高い数値となっている。大人2人以上の世帯でも貧困率が上昇してきており、まさに子育て世代全体の貧困化が進んでいる。保護者の貧困は教育格差による子どもの低学力にも直結している。そのうえ貧困は、進学の断念、中途退学、いじめ、虐待など、子どもの健全育成を阻み、将来への意欲や希望を奪ってしまい、格差社会をさらに進行させてしまう要因となる。
 さらに、差別意識も強まっている。東京都は、昨年4月に「人権に関する世論調査」を公表した。同和問題の認知度は、若い世代ほど低い。また、同和地区出身者との結婚についての設問では、親や親戚から強い反対を受けた場合、絶対に結婚しないという回答が、前回の調査から大幅に増加している。この調査結果は、兵庫県の意識調査結果とほぼ同じである。
 そうした中、今なお部落、在日外国人、障害者などに対する悪質な差別事件が全国各地でおこっている。このような差別を生み出している日本社会の矛盾を明らかにしていく必要がある。そして、あらゆる差別を許さないための確かな行動力を身につけさせる教育が強く求められている。
 かつて、同和教育・人権教育を実践してきた先輩たちが樹立してきた、 ①被差別の立場の子どもを集団の中心におき、②生活に統合した学習を創造して、③仲間づくりの課題と結合した「教育」の原点を、同和対策審議会答申が出されて50年の今こそ確認し合い、さらなる充実をめざしたい。
 「第6回ひょうご解放教育交流集会」(県連、兵教組などで構成する実行委員会主催)が2月22日に宝塚市のベガホールで開催される。「子どもたちのさまざまな現実に向き合い、すべての人が希望の持てる解放教育を創ろう!」をテーマとして、全体会ではパネルディスカッションをおこなう。「解放教育の現状と課題―いま、子どもたちは―」と題し、地域と教育現場がどのように連携しているのか、どう連携すべきかを考えていく。
 午後の分散会では、午前のパネルディスカッションの内容を受けて、部落問題はどのように教えられているのか、また県内の解放学級の形態はどうかなど、保育所・小学校・中学校の取り組みについて報告を受ける。それぞれの地域での現状と課題を出し合い、人権教育・解放教育の今後の展望を探っていく。
 本集会への一人でも多くの参加と、参加者の積極的な意見交換、活発な議論を期待する。

■2015年部落解放運動の展望と課題(1月5日号)

 「大義なき解散」と言われた総選挙は終了しました。実は安倍総理の用意周到な選挙だったことが判明しました。政治課題の争点をはずし、アベノミクスの恩恵をうけていない人々の不満が噴出する前に、最小失点の時期を狙ったのです。とにかく、与党が議席数を維持した結果、一層安倍政権の暴走が止まるところを知らなくなります。その負の結果は選挙民が負うことになります。

▶日本を戦争の道にすすませない運動が重要
 昨年末総選挙の沖縄小選挙区の結果を教訓としなければなりません。日常の反基地・平和の取り組みが結果を生み出したのです。解放運動をしている我々も反省しなければなりません。
 集団的自衛権行使容認は、いわゆるグレーゾーンでの戦闘行為の勃発、いわゆるテロ行為の標的に日本関係者がなることを意味します。
 部落解放運動も反核・平和の運動を強化する必要があります。

▶震災20年、部落の生活と雇用を守る運動の強化を/部落の生きてきた知恵としたたかさを活かし、安心安全な地域づくりを通して部落の解放を勝ち取ろう!
 部落差別は土地差別調査事件や個人情報の不正取得に象徴されるように厳しくなっています。雇用状況も決して好転していません。政府の労働関係法改悪にも反対していきましょう。残業代ゼロや解雇特区など、 労働者を守るための権利を剥奪する政策を労働者と連帯してくい止める行動を呼びかけます。
阪神・淡路大震災から20年、その教訓をいかしていきます。ひとたび東南海地震が発生すれば避難計画は役にたつのか? 福井県に集中する原発は巨大地震に耐えうるのか? 検証が必要です。
 福島第一原発事故は未だ収束するどころか被害を生み続けています。持続可能なエネルギーのあり方を考えていきます。
 あわせて、地域の生活に密着した部落解放運動を展開します。具体的には相談・世話役活動の一層の徹底です。活動家は地域の人々の生活と実態を把握することに努めましよう。同時に、行政に実態調査の実施を求め、実態に即した制度づくりなど、生活と雇用を守る要求を組織していきましょう。

▶部落解放運動三大闘争も山場の年
狭山再審闘争も第三次請求から九年目を迎えます。三者協議会を経て、検察によって開示された証拠からも石川一雄さんの無実は一層明らかになっています。今年こそ再審実現を勝ち取りましょう。
人権侵害救済法の制定に向けた闘いも強化していかなければなりません。国連の人権諸機関からも、人権侵害救済のための法制度について、これまで何度も勧告されています。全国でおこなわれているヘイトスピーチは、一部は裁判となり、損害賠償が認められていますが、ほとんど放置されています。差別宣伝の規制が必要です。
同時に各地で発生している差別事件に対しても確認・糾弾を強化します。部落解放同盟は反差別の拠点であることを自覚して闘いをすすめましよう。