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2014年

■人権・福祉・生活尊重の政治を(12月5日号)

▶安倍政権の暴走を食い止めるために反安倍・人権派議員の選出に全力をつくそう
 大義なき解散・総選挙は12月14日に実施される。安倍総理の自民党の事情だけによる解散は、自公政権の延命だけを狙ったものである。暴走する安倍政権に鉄槌をくだすチャンスが来た。全国から人権・福祉・生活尊重議員の当選を勝ち取ろう。とりわけ、兵庫1区から12区の選挙区で工夫をこらしたとりくみを展開し、県連が推薦する候補者の当選を勝ち取ろう。2年前の衆議院選挙において、安倍自民党は「民主党の人権委員会設置法案には断固反対」と公約した。安倍政権である限り、日本に人権・福祉・生活尊重の政治はない。

▶戦争準備をやめさせ、人権と福祉優先の政策を確立させよう
 また、引き続き行われる首長・市町村議会議員の統一地方選挙でも、人権・福祉・生活を大切にする議員の選出に全力をあげよう。統一地方選挙については各支部・支部連絡協議会等と協議しながら県連推薦候補を決定し、その必勝を実現するとりくみをすすめる。具体的には解放新聞兵庫版等で県連推薦候補を紹介し、推薦候補の必勝を期して各支部・活動家のとりくみを喚起する。

▶部落差別の現状と解放運動の課題を共有化しよう
 12月21日に支部長研修会をおこなう。講師に北口末広部落解放同盟大阪府連委員長・近畿大学教授をむかえて「部落解放運動の現状と課題」について問題提起を受ける。
部落差別事件やヘイトスピーチに象徴されるマイノリティへの憎悪攻撃など、見過ごすことのできない人権侵害事件が続発している。ヘイトスピーチに対しては、警察なども取り締まる根拠法がないなどとして、むしろそれを守る対応に終始している。その根本には安倍政権の人権軽視の姿勢、戦争への準備がある。この夏、国連人種差別撤廃委員会は日本政府に対し、ヘイトスピーチへの規制、包括的な人種的差別禁止法制定などを求める厳しい勧告を出した。政府が勧告に真摯に対応し、人権侵害救済法の制定など、差別撤廃に向けたとりくみをおこなうよう、迫っていかなければならない。
 支部長研修会の後半には所得税法関係法令の改正内容の説明や確定申告指導についての注意事項を徹底する。事業者の育成や青年の雇用確保のための方策も重要である。「確定申告のために」や記帳についての資料も配布する。
 支部長研修会の最後に「相談カード」を配布する。相談カードは所得税申告相談はもちろん法律相談やその他の同盟員としての相談を受けるにも必要な大切なものである。支部長研修会以外では配布の予定がないので、支部長が参加できない場合は支部関係者の代理出席を認めている。
 1月12日には、2015年新春荊冠旗びらきを 神戸・ラッセホールでおこなう。一人でも多くの関係者の参加を求める。

■第35回県研に結集しよう(11月5日号)

 来る11月22日、新長田ピフレホールをメイン会場とし、部落解放研究第35回兵庫県集会が「社会的排除を克服し、ともに生きる社会を築こう―『狭山事件』から51年。半世紀という時間の重さをかみしめ、1日も早い石川一雄さんの無罪を―」をスローガンに開催される。
 記念講演では、内田樹さん(神戸女学院大学名誉教授)が「共生する作法」と題して講演をおこなう。
 午後からは「地域課題の解決法は地域の中にある」「人権教育の現状と課題」「調査に見る差別の実態―調査結果をどう活かすのか」「社会的責任と人権」「法律や条例を施策に活かす」をテーマにした5つの分科会の他、フィールドワークとして「靴の街ながた」形成史、長田に多く住む在日コリアンの歴史をたどる。
 その後、昨年のキネマ旬報文化映画ベストテンで第2位となった映画「ある精肉店のはなし」(「いのちを食べて人は生きる」という主題を見つめ、部落問題に向き合って制作された)が上映される(監督の纐纈あやさんの報告は第1分科会でおこなわれる)。
 また、同日、ピフレホールで兵庫県隣保館連絡協議会主催の隣保館マルシェプレイベント「被差別部落に息づく食文化」が開催され、試食会と太田恭治さん(アトリエ西濱主宰)による「部落の文化試論」の講演がおこなわれる。
 ところで、現在の第二次安倍内閣はその極右政策を露骨にすすめている。経済最優先とし、人権施策などどこ吹く風である。その中で格差が拡大し、子どもたちの教育にも悪影響を及ぼしている。
われわれの求めている「人権委員会」や「人権侵害救済法」は現内閣にあっては非常に厳しい状況と言わざるをえない。
 そのような政権下であるがゆえに、差別・暴力を煽動するヘイトスピーチが横行している。差別煽動が公然とおこなわれることを許してはならない。
 差別煽動に対して毅然たる態度を取らない日本政府に対して、今年7月、8月の国連の自由権規約委員会、人種差別撤廃委員会の審査でも、法規制を含めてきちんと対応をすべきとの厳しい勧告が出されている。
 差別煽動を容認し許す社会状況にするのか、そのような行為は決して許されない社会状況にするのかは、社会運動と世論にかかっている。
われわれは、差別煽動を許さない人権尊重社会の実現をめざして、よりいっそうたたかいを強めていかなければならない。
 今回の県研のメインテーマは「社会的排除を克服し、ともに生きる社会を築こう」である。分科会では、教育や啓発、地域の課題、人権意識や実態、法律や条例についてなど、さまざまな報告が予定されている。集会に参加し、差別の現状や課題を確認、議論しながら、人権教育・人権尊重のまちづくり運動をさらにおしすすめていこう。

■寺尾差別判決から40年 10.31狭山事件再審を求める市民集会に結集しよう!(10月5日号)

 狭山事件確定判決の寺尾判決から40年が経過した。
 狭山弁護団はこれまで一貫して「狭山事件における違法な捜査・取り調べは、憲法にも反しており、そして部落差別の意識が無実の石川さんを犯人にでっち上げた」と主張してきた。
 これに対して寺尾裁判長は「部落問題に関する書籍を多数読んでいます」と、部落問題を理解したかのように述べながら、部落差別についての弁護人申請の証人をすべて却下し、部落問題については一行もふれず、無期懲役の判決を下した。
 つまり、寺尾判決は部落差別を利用した警察・検察権力のでっち上げ犯罪を守り抜き、えん罪を生み出すことを公認した判決である。
 この寺尾判決から40年。現在も石川さんはいまだに「殺人者」として見えない手錠をかけられている。
 2014年8月20日に開かれた第19回三者協議で検察は、これまで「プライバシーにかかわるので開示できない」と拒んでいた筆跡に関する資料を東京高裁へ提出することを検討するとした。弁護団に開示するかどうかは、裁判所が検察官から提出された資料を検討したうえで、プライバシーに触れないものを弁護団に開示することになった。この間の弁護団の粘り強い活動が確かな前進をかちとったものである。
 しかしながら、現在の司法では、検察は捜査機関が集めた証拠の中から、有罪方向のものだけを選択することができる。これを防ぐには、検察からの証拠の全面開示や証拠のリスト開示しか方法がないが、日本にはこのようなえん罪防止のためのシステムがとられていない。
 1979年に鹿児島県で起きた大崎事件の第二次再審請求審の即時抗告審でも、検察は、裁判所から証拠リストの開示を勧告されたにもかかわらず、「プライバシーや弊害がある」として拒絶していた。(最終的には裁判所に限りリストを提出)これら多くのえん罪事件において、原判決時の「検察の未提出証拠」が、再審開始決定へと至る決定的なものとなっている。現在の被告人、再審請求人の捜査資料・証拠へのアクセス権の保証がないということは、被疑者・被告人の無実を証明する機会を奪うものである。
 いま、私たちはもう一度原点に立ち返り、狭山闘争は、えん罪を生み出した人権軽視の司法と社会のありかたをただす闘いだということを再確認しなければならない。
 昨秋、公開された映画「SAYAMA みえない手錠をはずすまで」は、これまでに全国300ヶ所以上で上映され、兵庫でも県内各地で上映活動が展開されてきた。今秋には大阪、京都、兵庫で一般の映画館でも上映されることが決定し、マスコミや映画雑誌などの評判を聞いた映画ファンも期待している。
一人でも多くの人に狭山事件の真実を知ってもらうため、上映活動やパネル展など多角的に取り組み、世論を動かし、一日も早く事実調べ、再審開始への運動の輪を大きく展開し、石川さんの無実を勝ち取ろう

■要求を組織しよう(9月5日号)

▶雇用と生活実態を明らかにし、要求を組織していこう
 安倍政権は特定秘密保護法の強行制定、憲法に反する集団自衛権行使容認の閣議決定するなど、日本を戦争する国へ強引に導こうとしている。そのことに反対し、安倍政権の教育・福祉の全面的な切り捨て、憲法をないがしろにする反動的な政策と対決していく事が重要である。
 同時に安倍政権は、日本の人々が戦争を受け入れるような感情に追い込もうとしている。過去の歴史を歪曲する教科書の強要、メディアへの介入・圧力など、人々の平和と福祉を求める正常な判断を鈍らせることに奔走している。
 今大切なのは、人々の生活と教育に関して具体的に進行している状況を明らかにすることである。大衆課税の象徴である「消費税」の増税、社会保障制度の切り捨てなど生活を直撃している実情を集約しよう。
 行政要求は生活実態に根ざしたものでなくてはならない。各ブロック・支部で、日常的な要望・要求をまとめあげ、地元自治体と交渉するとともに、要求内容を県連に集中しよう。個別の自治体で実現できない要望を兵庫県に届けよう。県にできないことは、国に対して要望しよう。

▶差別を許さない環境づくりを
 安倍政権の大企業優先の政策によって、日本全体が閉塞感に覆われ、社会的弱者にその鬱憤をむける傾向が顕著になっている。部落差別事件も連続して起こっている。差別事件を確認・糾弾していくのはもちろんであるが、その背景・原因を明らかにし、差別を許さない環境を創り出すための要求闘争を展開しよう。  個人情報不正取得事件を受け、戸籍謄本等の不正取得防止に有効な本人通知制度実施要求をおこなっている。8月1日現在で県内17市7町が実施。不正取得を抑止する取り組みは着実に広がっている。  また、県内でも就職にからむ差別事件が起きている。統一応募用紙違反事例が起こっていることも、兵庫県や兵庫労働局との話し合いで明らかになった。  具体的な差別事件や同盟員の相談のなかから要求を生み出していく作業をすすめよう。

▶対県要求をまとめよう
  県連執行委員会は、7月から9月にかけて対県要求をまとめる作業をおこなっている。  男女共同参画推進委員への県連女性部代表の参画など、これまでの対県要求で実現したものである。  また県連はこれまで、隣保館で就職情報が閲覧できるよう、ハローワークと隣保館が連携し、就職困難者に対する職業相談・就労支援体制を充実するよう求めてきた。  兵庫県は、地域の実情に応じた隣保館事業の展開ができるよう助言・情報提供をしている兵庫県隣保館連絡協議会の運営に参画し、助言等をおこなっている。  他府県連の要求項目を参照しながら、兵庫県連の対県要求をまとめ、実現していこう!  

■安倍政権の暴走を許すな(8月5日号)

 7月1日、安倍首相は集団的自衛権行使へと、舵を切った。安倍首相が想定している「友人」はアメリカである。過去のアメリカの戦争を見るとき、ベトナム戦争では虐殺を繰り返しながら120万人とも170万人とも言われる死者を出した。イラクでは「大量破壊兵器保持」を前面に立て侵攻し50万人とも60万人とも言われる死者を出したが、後に疑惑そのものがでっち上げとする結論が出るなど、おおよそ自衛のための戦争とはかけ離れた歴史がある。
 さらに本年5月、安倍首相はイスラエルと日本が準同盟国となる共同声明に署名している。パレスチナへの攻撃で民間人を殺戮しているイスラエルの準同盟国として、日本が戦争に荷担するということは、これまで親日国が多く、友好を築いてきたアラブ諸国と日本の関係を壊してしまう可能性もある。そして「テロ」の標的となることも想定に入れなくてはならなくなる。実に危険で愚かな状況が始まるといわざるを得ない。
 もとより憲法は「国の交戦権」を認めていない。憲法条文を如何に曲解しようとも、他国と共同して戦争を行なう事に全く整合性はない。この「解釈改憲」はまさに暴挙であり、法治主義から人治主義へ、民主主義から独裁へと、大きく舵を切った事にもなる。この危機的状況をなんとしても民主主義・平和主義へと引き戻さねばならない。
 福島第1原発事故もまた深刻さの度合いを深めている。汚染水の貯蔵、処理など、すべての工程で不具合が生じ、また未だ溶け落ちた核燃料がどこにあるかの確認すらできていない。使用済みの核燃料の抜き取り作業やガレキ撤去作業も、進行中ではあるが安全かつ完全に終了する保証はどこにもないし、ここに来て作業や現状の報道もピタリと止まっている。報道がない時こそ最も注意が必要なのは言うまでないだろう。
 さらに文部科学省が福島県内に設置している「放射線量計」は、文部科学省の要求により、実際の数値より低く出るように設計したものであるとする報道もあり、事故以来、国、東電などの公式発表が全く信用できない状況は変わってはいない。福島では子どもの甲状腺がん、鼻血や皮膚からの出血など深刻な健康被害の報告もある。
 県連は原発事故からの避難者が起こした「福島原発事故ひょうご訴訟」に対しても継続的な支援を行なっているところである。
 以上のように、現在の日本は私たちの思いとは全くかけ離れた方向に向かっていることは確かである。このまま安倍首相の暴走を許せば、私たちが進めてきた人権運動もまた危険な状況に追い込まれかねない。戦争という大きな力、経済という大きなうねりの中で、人権問題が吹き飛ばされかねない状況に直面していると考えなくてはならないのである。現在、県連では「戦争させない1000人委員会・ひょうご」への個人賛同人となる運動をはじめ、各種運動を展開している。一人ひとりの力は小さくても、多くの人が集まったときその力は大きく強くなる。決してあきらめず、多くの力を結集してこの状況を打開しよう。


■青年、女性の結集を(7月5日号)

 現在、安倍政権は数の力を背景に「戦争のできる国」にむけ、着々歩みを進めている。解釈改憲による集団的自衛権の行使容認については、そのイカサマ的な見解に「改憲派」と言われる人たちからも批判の声が相次いでいる。
 若者の三分の一が年収200万円以下と言われる中、将来設計を立てたい若者が就職先として自衛隊を選んでいく。その先には現政権が描く「国防軍」がある。そのカラクリに気づき、平和と人権を守る闘いの先頭に立つ青年を、兵庫県連として育成していかなければならない。
 県連青年部では、昨年からファシリテーター養成講座をおこない、主体的に考えることの基礎を学んできた。今後はいかに「行動」していくのかという具体的な取り組みが必要となってくる。その裾野が広いほど組織の強固な基盤となる。県内各ブロック、各支部で青年層を掘り起こして、県連青年部につないでいただきたい。
 7月の青年部大会では、ひょうご部落解放・人権研究所長で関西大学教授の石元清秀さんから「大学生の部落観」について講演を受ける。また8月の大阪全青は、高校集会と合同で開催される。多くの青年の参加を呼びかける。
 県連青年部は、青年層のネットワーク構築に向け、青年部ニュースだけでなく、解放新聞評碁盤4面やFaceBook等で情報発信をおこなっていく。
 また女性部活動の活性化も重要な課題である。
 兵庫の女性部運動を牽引してきた岸田章子副委員長・女性部長が勇退された。岸田部長は県男女共同参画審議委員として、マイノリティ女性の声を県政の中に反映させる活動をおこなってきた。この審議会には今後も継続し参画していかなければならない。
 このような活動を通して特にマイノリティ女性が働きやすい環境や相談できる条件整備を図るよう県へ進言してきたがなかなか進まないのが現状だ。
 男女平等社会を構築するためには、現実に存在する女性差別を男女ともに理解することが必要だ。
 若い世代の識字率低下や生活保護世帯の増加、非正規雇用の増大等が進んでいるが、進学率の男女差等を見ても、その状況は女性に、より大きく表れていると考えられる。その中で、自分の権利を知り守るための学習や活動が重要になる。
 今同盟員が年々減少する中、女性力を発揮できる組織運営を、組織全体で考える時期に来ている。
 全国水平社創立後、婦人水平社が創立された。先達の女性たちが長く苦しい闘いを続けてくれた成果が、今の仕事・子育て・解放運動へと続いている。これを活かし、発展させるためには、部落女性の更なる団結力の強化が必要だ。
 新体制での開催となる8月の県女性部大会・県女性集会は、兵庫の女性の運動を大きく前進させる上で大きな意義を持つ。県女性部大会・県女性集会を成功させるため、県内各地から多くの女性よ、結集しよう。

■支部・地域の活性化と運動組織の強化をすすめよう(6月5日号)

▶ブロック懇談会を活用しよう
  第55回県連大会決定事項を各支部・ブロックに説明し、各支部・ブロックの活動の成果を共有し、それぞれの抱える課題を検討しあう場としてのブロック懇談会を今年も実施する。
 今年のブロック懇談会で県連から訴えることは次の4点である。①支部・地域の活性化 ②本人通知制度の実施拡大 ③各種制度を活用した運動の展開 ④隣保館マルシェの実施。
 もう一つの重要な要素は、各支部・ブロックの特徴的な活動や課題を県連六役が直接聞くことである。言うまでなく、県連六役は県連運動の牽引者でなくてはならない。兵庫は全国の縮図と言われる。県連役員がそれぞれの地域の実情に応じた運動の進め方について、各支部・ブロック役員とともに今一度点検することが求められている。社会状況や部落解放運動をとりまく情勢、部落の現状が大きく変わってきている中で、解放運動も、これまでのスタイルのままではなく変わらなければならない。

▶本人通知制度を拡大しよう
  5月1日現在、兵庫県内で「戸籍謄本等の第三者取得に対する事前登録型本人通知制度」は15市7町で実施されている。今年度中に実施予定の市町もある。  個人情報の不正取得事件は跡を絶たない。戸籍謄本等の不正取得防止に本人通知制度が効果があることは一連の裁判でも証明されている。本人通知制度の実施を部落解放同盟が主軸となって共闘関係・企業・宗教・教育関係者とともにすすめよう。本人通知制度が実施されている市町では登録者の拡大をめざそう。  兵庫県の29市12町すべてで本人通知制度が実施され、登録者数が増えれば、不正取得をしようとするグループの間で「兵庫では戸籍等の不正取得は難しい」との情報が広まり、抑止力はさらに強まる  通知内容の改善、請求者の情報公開、登録期間の自動更新化、被害の個別告知など、制度の改善も必要である。部落解放同盟だけでなく、すべての住民の課題として取り組む方針をうちだそう。

▶青年を支援する中でムラおこしを
   1969年から始まる同和対策事業、地域改善対策事業の中で、地域のハード面での改善は一定成し遂げることが出来た。しかし、教育、次世代育成という面では課題は山積している。子どもの貧困や、不安定就労の中で奨学金返済に苦しむ若者の存在が社会問題になっているが、部落解放奨学金が給付から貸与に変わる中で、部落青年の多くにも奨学金返済が重くのしかかっている。  今とりわけ大切なことは、青年の支援である。すぐに青年の就労場所を確保することは困難であるが、支部やブロックに青年の居場所を作ることは工夫次第でできるのではないか。まずはそこから始めよう。そして行政の一般施策の情報をそこに集中しよう。各種役員が情報提供者に徹し、青年を支援することから支部・地域の活性化を進めよう。

■5.23狭山事件の再審を求める市民集会に結集しよう!(5月5日号)

 狭山事件とは、1963年5月1日に埼玉県狭山市で女子高生が誘拐・殺害された事件である。警察は身代金受け渡し場所に40人の警官を張り込ませたにもかかわらず、現れた犯人を取り逃がすという大失態を犯した。狭山事件の1か月前に東京で起きた「吉展ちゃん誘拐殺人事件」でも犯人を取り逃がした警察の失態は国会でも取り上げられ、狭山事件は大きな社会問題に発展した。
 石川一雄さんが犯人にでっち上げられた背景には、失墜した威信回復に焦る警察の強引な捜査があった。根強い部落差別を利用して、被差別部落へ見込み捜査を行い、別件で逮捕した石川さんにウソの自白をさせたのだ。えん罪(無実の罪)であるにもかかわらず、一審では死刑、二審は無期懲役という判決がなされ、最高裁への上告は棄却され無期懲役が確定した。
 石川さんは31年7か月もの獄中生活を余儀なくされ、1994年12月に仮釈放後20年たった現在も「殺人者」として見えない手錠が彼を縛り続けている。
 えん罪は長期にわたる人権侵害であるが、狭山事件は弁護団と全国で展開された支援者たちの粘り強い闘いによって2009年9月10日三者(裁判所・検察・弁護団)協議がなされ、これに合わせて石川さん、早智子さんの高裁前アピール行動が始まった。第2回三者協議では、門野裁判長が8項目の証拠開示を勧告し、東京高検が開示した5項目36点の証拠品の中で逮捕当時の石川さんの上申書などが47年ぶりに明らかになり、現在では136点の証拠が開示されている。
 2014年3月28日に開かれた第17回三者協議では、番号飛びの証拠物のうち筆跡資料について検察官は、プライバシー侵害の恐れがあるとして証拠開示に応じられないとしてきたが、河合裁判長は「プライバシーの問題がある部分についてはマスキングするなどして具体的に開示の方法を検討するように」と検察官に要請した。
 検察官が持っている証拠を弁護側に開示することは公平な裁判には不可欠で有り、検察がどんな証拠を持っているか、弁護側が分からないという不公平な裁判制度を是正しなければならない。現在、法制審議会では証拠リストの開示制度が検討されており、立法化に向けた議論が進んでいる。
 3月27日に再審開始決定が出された袴田巌さんが釈放された袴田事件で、静岡地裁の村山裁判長は、警察の証拠ねつ造を「刑事司法の理念からは到底耐えがたい不正義」とした。この村山裁判長の勇気と正義を貫く姿勢は、狭山事件の再審請求に大きな希望を与えた。
 石川さんの不当逮捕から51年のいま、もう一度原点に立ち返り、えん罪を生み出した人権軽視の刑事司法と社会の在り方を糺す闘いだということを再確認しよう。そして一人でも多くの人に狭山事件の真実と半世紀にわたり無実を叫び続けている石川一雄さんの姿を知ってもらうため、映画「SAYAMA みえない手錠をはずすまで」の上映運動やパネル展など多角的な取り組みで世論を動かし、一日も早く事実調べ、再審開始、石川さんの無実を勝ち取ろう!

■東日本大震災3年 復興支援の継続と原発兵庫訴訟支援を!(4月5日号)

 3月11日で、東日本大震災から3年が経過した。復興庁が把握している数字によると、2月13日現在、全国への避難者は26万7419人で、そのうち兵庫県には922人が避難したままである全体の避難者のうち、自県外へ避難者の県別内訳は、福島県から4万7995人、宮城県から7076人、岩手県から1486人である。福島県が圧倒的に多いのは、福島第1原発事故被害からの避難者である事が推測される。そして、原発事故により放射能汚染され、汚染濃度が高い所へ帰れる見込みはほとんどない。
 国の復興支援策もリストは多くあるが、被災者に寄り添った実効性があるものかどうかは疑問である。先の復興庁の統計でも住宅等(公営、応急仮設、民間賃貸等)に避難しているのが25万2764人、親族・知人宅等に避難しているのが1万4149人、病院等に避難しているのが506人となっている。避難者のほとんどが震災から3年たっても不安定な住宅環境で避難している。
 県連は震災直後から募金活動、現地派遣支援などをおこなってきた。阪神・淡路大震災を経験し、全国はもちろん世界中から支援を受けた兵庫の地から支援を続ける事が、東日本大震災の被災者を勇気づけることになると信じている。
 現地派遣支援も継続しておこなう。当面、4月1日から4日まで、兵庫県連単独として第8次の支援隊を石巻市に派遣する。現地の民間サポート団体と連携し必要な支援をおこなう。
 今回の大震災では原発事故が被害をより深刻にしている。福島第1原発事故は決して収束したといえる状況ではない。汚染水問題も解決していない。放射能汚染から避難を強いられた多くの人々や、今も放射線量の高い地域で暮らしている人々がいる福島第1原発事故の実情を政府・東電は真摯に公表すべきである。被曝の実態は深刻である。特に子どもたちの現状は悲惨である。放射能汚染が原因と思われる症状が現れ始めた。福島の子どもたちの健康は守られなければならない。「原発事故子ども・被災者支援法」が2012年6月21日に成立したが、一向に機能していない。
 全国各地で国と東京電力に対する裁判が起こされている。2月25日、神戸地裁で「福島原発事故ひょうご訴訟」第1回公判がおこなわれた。福島からやむなく兵庫県に避難してきた人々が国と東電を相手に損害賠償を求める裁判である。
 この裁判でも国と東京電力は事故の責任を否定し、争う姿勢である。国は一貫して原発政策を推し進めてきたし、その検査も原発事業者に有利にすましてきた。原発事業者も原発安全神話を振りまいてきた。「原発はひとたび重大事故が起これば取り返しがつかない事態を引き起こす」と多くの人々が警鐘を鳴らしてきたが、それが現実のものとなってしまった。
 少なくとも、原発事故被災者へ当面の生活保障をするのは当然のことである。
 県連として、訴訟を支援し、原告団を支える組織化も検討し、幅広いとりくみにしていく。

■県連大会を成功させよう(3月5日号)

 県連は、来る3月23日、篠山市四季の森生涯学習センターにおいて「部落解放同盟兵庫県連合会第55回大会」を開催する。
今大会は、県連組織と支部の活性化、部落住民の生活に密着し支援していく取り組みの強化、人権尊重のシステムづくりと「戸籍謄本等の第三者取得に対する本人通知制度」の県内全市町での実施、情報発信力の強化、そしてなにより「次世代育成と世代交代」「青年の雇用と生活の確保」「次世代育成と世代交代」を重要課題とする。
 巨大与党を背景に、安倍首相は日本を危険きわまりない方向へ導こうとしている。国内的には特定秘密保護法と教科書検定改悪に象徴される「統制と服従」を国民に強制し、国際的には防衛大綱の見直しや集団的自衛権容認の解釈改憲にみられる「戦争をできる国」づくりをすることで、韓国や中国と一触即発も辞さない強行姿勢をつらぬいている。平和主義の憲法を軍靴で踏みつぶそうとしている。安倍政権の暴走をこれ以上許すことはできない。
また、経済効果を最優先させ全世界を儲けの対象としか扱わない大企業を優先する安倍政権は、日本社会の格差を一層広げている。
 大会では部落解放運動をとりまく厳しい情勢と部落の実態を共有し、1年間の県連運動と地域の活動を総括しよう。県連組織の強化と支部・地域の活性化を図るため、理論と実践に裏付けされた論議を展開しよう。
3月1日付「解放新聞兵庫版」号外に2014年一般運動方針(案)を掲載している。また2月10日付「解放新聞中央版265号」には部落解放同盟全国大会の方針(案)も掲載されている。中央・県連の大会方針を熟読し、解放運動の強化・発展を図ろう。
 方針案第二部「闘いの主要な課題」では、狭山再審闘争や差別糾弾闘争の強化、強固な組織建設などを挙げている。日本社会が人権・福祉・平和を願う者にとって危険きわまりない状況にあるからこそ、人権尊重・差別糾弾の声を大きくしていくことが必要である。差別を見抜き告発する力を育てながら、解放運動の隊列を強固にしていこう。
 強固な建設に必要なのは「青年の雇用確保と生活の保障」であり、「次世代育成・世代交代」である。県連・各ブロック・支部でも青年の育成を最重要課題として取り組もう。青年の雇用確保のため、全国の先進的実践に学ぶことが今求められている。研究集会や啓発集会、中央福祉学校など全国規模の集会では興味ある取り組みが紹介・報告されている。国や兵庫県など自治体でも有効活用できうる支援事業などもおこなわれている。指導者や活動家がアンテナを大きく張り巡らし、青年の育成と地域の活性化を実現しよう。地域に青年がいないと嘆くより、青年を集められる方策を模索しよう。
 また、この間実態調査を実施している自治体がある。鳥取県南部町、三重県伊賀市での取り組みを評価・参考にして、兵庫県内でも各自治体に部落の実態調査を要請していこう。部落の実態を把握することから、地域密着・支援の取り組みを展開し、地域と支部の活性化、運動の再構築を図ろう。

■すべての人が希望を持てる解放教育を(2月5日号)

今、子どもたちにとって「居場所」はいったいどこにあるだろうか。
 これまで私たちが取り組んできた解放教育、同和教育は、部落差別、在日外国人差別、障害者差別に直面している子ども、厳しい生活実態を持った子どもなど、それぞれに課題を抱えさせられた「しんどい」子どもをクラスの中心に据えた「仲間作り」に取り組んできた。
 それとともに、もっとも大切にしてきたのが「進路・学力保障」の取り組みである。進路・学力保障は「同和教育の総和」と言われてきた。「どこに進学・就職させるのか」を目標とした学力を重視するだけの教育ではなく、差別を見抜き、仲間を大切にし、生きる力を育む解放教育、同和教育が、子どもたちの低学力を克服する道筋であることを証明し、「一人も落ちこぼさない」授業づくり、教材開発にも大きな成果を残してきたのである。
 さらに、「解放奨学金」制度をはじめ、すべての子どものために奨学金制度の実現をはかり、高校・大学等で教育を受ける条件を整備するとともにそれまで差別を常態化させていた「社用紙」を撤廃させ、統一応募用紙を制定させるなど、すべての子どもの進学・就職の機会均等をめざす取り組みも進めてきた。
 その他にも教科書の無償配布、学級定員減の実現、加配教員の配置など、被差別の立場にある子どもや親たちの教育要求を出発点とし、教育の機会均等の実質的な保障を勝ち取ってきた。その教育運動の成果と今後の課題について、いま、もう一度考える時期に来ているのではないだろうか。
 経済のグローバル化や高度情報化により、日本の産業構造が大きく変化したことで、格差社会はより一層深刻さを増し、それが子どもたちの育ちに大きな影響を及ぼしている。経済的理由で進学を断念せざるをえない子ども、不安定・不公正な雇用状況に追いやられていく子どもをこれ以上増やさぬよう、奨学金制度や公正な採用選考を確立するシステムを一層強化・充実させる具体的な取り組みが必要とされている。
 このような厳しい時代だからこそ、私たちが培ってきた数多くの実践を自信を持って展開するときである。社会を、教育を私たちの側に引き戻すためにも、あらためて解放教育の原点を確認し、人権教育のさらなる充実をめざしたい。
 ひょうご解放教育交流集会実行委員は、第5回交流集会を2月16日に姫路市のイーグレひめじで開催する。
 全体会では大阪教育大学教授の園田雅春さんから「いま、あらためて、『解放教育』を考える」と題した記念講演を受け、今後の解放教育、人権教育の在り方について考えたい。教育の分科会では、学校や地域からの報告を受け、意見交換する。保育の分科会では兵庫人権保育研究協議会が昨年12月発行した絵本「かめたろう」の読み合わせをおこない、読み聞かせが持つ意味をあらためて考える。
 本集会を参加者の積極的な意見、提案を受けながら、解放教育・人権教育の現状と課題を明らかにし、今後の展望や仲間のつながりと拡がりを創るものとしたい。参加者の活発な議論を期待する。